週末ゲーム
第650回
歴史と戦争の目撃者となれ!ギリシャ史劇風SRPG「エリーニュエス」
織り成される人間ドラマと、戦術重視のゲームデザインを楽しめる
2016年9月23日 11:04
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、古代ギリシャを舞台とした架空の戦史を描くシミュレーションRPG「エリーニュエス」を紹介する。
本作はゲーム制作ツール「SRPG Studio」製の作品となっており、ゲームクリアまでの時間は約5~6時間。武器や資金などのリソース管理が重要なゲームとなっているが、ゲーム開始時に難易度設定が行えるため、本格的なSRPGを求めている人だけでなく、ライトユーザーにもオススメできる作品となっている。
実在の歴史をモチーフにした戦争を生き抜け!
本作の主人公は、ギリシャの一国“アテナイ”の地理学者・兼軍人の“デモステネス”。海軍の指揮官としての任務中、平穏な海の上で空を見上げていた彼だが、そこに怪しげな艦隊が迫る。停止命令を発するデモステネス達だが、相手の艦隊はそれに構わずに進軍。衝突やむなしと考えた彼は、上司であり義兄でもある“エウリュメドーン”らと、敵艦隊の迎撃を行うが……。
本作の特徴であり魅力となる部分は、史劇風に描かれる物語だ。実在のギリシャの歴史や固有名をモチーフに、架空の戦史が展開されていく。物語の内容としては、ヒーローのような存在が世界の物事を解決するものではなく、大きな歴史の流れや隠された策謀に、人々が翻弄されつつも戦い抜く人間ドラマとなっている。
デモステネスたちの母国アテナイを中心とした“デロス同盟”に対し、周辺諸国はどう働きかけるのか。戦乱は次第に一筋縄ではいかない様相を見せはじめ、常に物語の先を気にさせてくれる。
本作には国家名や人名など固有名が多く出現するが、それら固有名詞を一覧で見ることができる“人物寸評”や“備忘録”システムにより、登場する国・人名などをいつでも振り返ることができるようになっている。作り込まれた設定が雰囲気を盛り上げてくれることも特徴なので、こちらのシステムも参考にしてみよう。
“リソース管理”が勝敗を分ける戦術性の高いシステム
本作のゲームデザインは、マス目状のマップ上でユニットを動かし攻略していくオーソドックスな形式のSRPGとなっている。ポイントは、レベルアップ時の能力値の上昇が限られたものとなるため、レベルを上げて敵を圧倒することはできず、味方ユニットの装備や、攻略にあたってどういった進軍を行うかというプレイヤーの戦術が重要になる点だ。
また、武器は使用回数制限があり、かつ購入するための資金がゲーム全体を通して手に入りにくいため、リソースの管理がなによりも重要になってくる。無駄使いは許されないのだ。
攻略のコツは、とにかく敵の“各個撃破”を意識することだ。HPの回復手段が限られており、戦闘中は味方のユニットが一人でも倒れるとゲームオーバーとなるため、なるべく損害を少なくするような進軍方法が求められるのだ。
また、敵の反撃を受けない攻撃方法を選択することなども大事だ。たとえば、近接武器しか持っていない相手に対して弓による間接攻撃を行ったり、防御能力の高い重装歩兵を前衛として先行させるなど、味方ユニットのHPを温存する工夫も重要。勝利条件によっては、強力な敵軍との戦闘をなるべく回避して、敵ボスを一気に倒すなどのプレイヤーによる判断も必要になってくる。
ソフトウェア情報
- 「エリーニュエス」
- 【著作権者】
- 八風 氏
- 【対応OS】
- 64bit版を含むWindows 7/8/10
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.13(16/09/20)