『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、選び抜いた良作を毎週紹介していく。今回は、“Unreal Engine 3”を利用した3Dアクションパズルゲーム「The Ball」 を紹介しよう。

ボールを転がして遺跡からの脱出を目指す

　スポーツ系FPSとして超有名な「Unreal Tournament 3」。このソフトで使われているゲームエンジン“Unreal Engine 3”は非常に完成度が高く、FPSをはじめアクションゲームやMMORPGなど数多くのビッグタイトルに採用されるほど。ちょっとゲームに詳しい人ならば、その名前を目にしたことはあるだろう。

　実は、このエンジンを利用したゲームを開発できる開発キットが2009年末に無償で公開され、教育目的や非商用目的で利用可能となっている。そのなかで生まれたのが、今回紹介する3Dアクションパズルゲーム「The Ball」。エンジンの開発元であるEpic Gamesが開催したコンテストで優勝したという、メーカーお墨付きとも言えるゲームだ。

　本作の基本的な操作は一般的なFPSと同じ。だたし、敵を倒すのが目的ではなく、プレイヤーがもつ銃のような装置を使って巨大なボールを押したり引いたりして、遺跡内にちりばめられた仕掛けを解きながらゴールを目指すというもの。ボールをどう転がしたら先に進めるのか、トラップを解くためのボタンを押すにはどう行動したらいいのか悩みながら進むのが、難しくも楽しいゲームだ。

　基本操作は［W］［S］［A］［D］キーで前後および左右への移動、スペースキーでジャンプ、［Shift］キーでしゃがみとなっている。また、ボールに接触してマウスを左クリックすると転がすことができ、離れたボールは右クリックで引き寄せることが可能だ。なお、溶岩や針の床など明らかにダメージを受けそうな場所に落ちるとミスとなり、少し前からやり直しとなる。また、画面左下に表示される体力は敵に触れると減っていき、体力がゼロになってもミスだ。左下にはもう1つ数値が表示されるが、こちらはプレイヤーとボールの距離を示している。

絶妙なボールコントロールでトラップをクリアせよ

　本作最大のポイントになるのがボールのコントロール。マウスの左クリックでボールを転がすといっても、実際はビリヤードのようにボールを突き出す感じだ。ボールはかなりの勢いで飛んでいくので、そのままではちょっとだけ動かすというわけにはいかない。

　そこで登場するのが、右クリックでボールを引き寄せる動作。プレイヤーにボールがくっつくので転がす方向の調整に便利なのをはじめ、転がした瞬間に引き寄せればボールに急ブレーキをかけられるため、スピード調整にも使える。

　トラップによっては、ボールの絶妙なコントロールが要求されることもある。フロアが広い序盤のうちに、ボールをある程度うまく調整できるように練習しておきたい。また、遺跡には数々のスイッチがあるが、青いスイッチがプレイヤーが押すもので、赤いスイッチがボールで押すものと分かれている。

　なお、遺跡のあちこちにあるトラップは、パズル的頭脳とボールの微妙な操作の両方を求められるものが多い。たとえば、プレイヤーが落ちると即死になるトゲがついた床へボールを転がして足場代わりにしたり、プレイヤーが行くことができない遠くのスイッチをボールを飛ばして押したりといった具合だ。どうやってもボールが回収できなくなるように見える場面もあり、それならば見えない場所に解決策があるのでは……などと、頭をひねりながら進むのが楽しいところ。途中からは巨大なテントウ虫といった化け物も登場するが、プレイヤーは武器を持っていないため直接は倒せない。ボールをうまく転がして踏みつぶすのが基本的な対処法だ。

　なお、本作にはボールを転がすゲーム以外に、“Survival”というゲームモードも用意されている。こちらはボールを転がして敵をひたすら倒していくモードで、体力がゼロになるとゲームオーバーだ。敵を倒す訓練に使ってもいいだろう。

　Unreal Engine 3を使っているだけに、画面は非常に美しい。遺跡には隠しアイテムも散りばめられており、探検する楽しみもあるという充実した内容だ。難易度はそれほど高くはなく、数時間でクリアできるだろう。現在は製品化が予定されており、今後も楽しみなタイトルだ。