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OpenAI、セキュリティ特化AIモデル「GPT-6 Cyber」を発表、一部顧客に限定提供

Firefox、Linuxカーネル、Brotliの脆弱性発見・検証に活躍

OpenAI、「GPT-6 Cyber」を発表

 米OpenAIは11月5日(現地時間、以下同)、セキュリティ研究向けのAIモデル「GPT-6 Cyber」を発表した。最上位モデル「GPT-6 Astra」をベースに、許可を得た脆弱性研究向けに訓練したモデルで、脆弱性の発見やエクスプロイト(攻撃コード)の開発、Webアプリのペネトレーションテストといった作業を担う。

 同社によると、「GPT-6 Cyber」は先代の「GPT-5.6 Cyber」から大きく進歩しており、セキュリティ関連のタスクの大半で「GPT-6 Astra」を上回るという。汎用モデルの「Astra」は安全上の理由から攻撃的な依頼を拒否することがあるが、拒否せずに応答した場合と比べても上回るとのこと。すでにMozillaやPalo Alto Networks、Calif、Ciscoといった企業のセキュリティチームが活用している。

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 先行して実施された調査では、以下のような成果が得られているという。

  • 「Firefox」:深刻度の高い未知の脆弱性81件について、再現可能なテストを作成。既知の問題30件についても、報告よりも深刻であることを突き止めた。Mozillaはすでに多くの修正をリリースしている
  • Linuxカーネル:1,724件の脆弱性を再現し、うち948件で実際に動作するエクスプロイトを開発(同じ環境で汎用モデルの「GPT-5.6 Sol」は166件)。深刻な304件については、修正パッチ案を添えてメンテナーへ報告済み
  • 「Brotli」:圧縮ライブラリ「Brotli」の脆弱性を突く攻撃コードを開発し、利用先のアプリでリモートコード実行が可能になることを検証(他のOpenAIモデルと併用)
  • 重要インフラ:模擬的な発電所の環境で、保護リレーのデータを管理するエンジニアリングソフトウェアにゼロデイ脆弱性を2件発見(OT〈制御技術〉セキュリティ企業のDragosによる報告)

 ベンチマークでは、与えられた脆弱性を悪用する能力を測る「ExploitGym」で48.5%を記録し、「GPT-5.6 Cyber」の32.1%を大きく上回った。ブラックボックス形式のWebペネトレーションテストでは脆弱性の検出率(再現率)が40.3%で、「GPT-6 Astra」の32.0%を上回る。「GitLab」「PostgreSQL」「Jenkins」の検証用環境を対象とした「RemoteExploitBench」では、95%のタスクを完了したとのこと。

 一方、能力の向上とあわせて重視されたのが、許可された範囲を守る振る舞いだ。今年7月には、OpenAIのテスト環境で動作していたエージェントが、与えられたタスクを遂行する過程でHugging Faceのシステムに侵入する事件が起きていた。「GPT-6 Cyber」は、許可された範囲や行動の制限を守るよう訓練されている。

 提供前には、この事件を参考にした評価も実施された。攻略が容易なおとりのサービスを周囲に配置し、それを攻撃すると範囲外と判定する評価「ExploitGym Honeypot」では、デプロイ用の安全指示がない状態でも99.93%のテストで範囲外のシステムを避けた(「GPT-5.6 Cyber」は94.49%)。安全指示を与えた状態では、範囲外への攻撃は確認されなかったという。

 「GPT-6 Cyber」は当面、ペネトレーションテストやレッドチーム演習など、攻撃側の視点で行うセキュリティ業務向けのアクセスプログラム「Daybreak Red」の承認済み顧客の一部に、APIと「Codex」を通じて提供される。近く「Daybreak Red」の全顧客へ段階的に提供を広げる予定。あわせて「GPT-5.6 Cyber」が「Daybreak Red」の全顧客に開放されたほか、「Daybreak Red」内に重要インフラの防御担当者向けの「Daybreak Red for Critical Infrastructure」グループも新設された。防御側向けの「Daybreak Blue」でも、「GPT-6 Astra」の早期アクセスを提供する組織や個人の研究者を拡大する。

 APIのモデル名は「gpt-6-cyber」。コンテキスト長は105万トークン、最大出力は12万8,000トークンで、短いコンテキストに適用される100万トークンあたりの標準料金は入力20米ドル、キャッシュ済み入力2米ドル、キャッシュ書き込み25米ドル、出力100米ドル。利用には「Daybreak Red」への参加と承認が必要となる。