週末ゲーム

学園都市が舞台の戦略シミュレーションゲーム「テリトワール」体験版

技術と資源を活用して領土の拡大を目指すターン制シミュレーション

(10/09/17)

タイトル画面

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、選び抜いた良作を毎週紹介していく。今回は、技術と資源を活用して領土を拡大し、生徒会同士の戦いに勝ち抜くのが目的のターン制シミュレーションゲーム「テリトワール」の体験版を紹介しよう。

ファンタジー世界の学園を舞台に2人の少女を中心とした物語が始まる

生徒会同士で都市運営を競うターン制のシミュレーションゲーム生徒会同士で都市運営を競うターン制のシミュレーションゲーム

シナリオモードでは主人公ファシルとその親友リアンを中心に、個性豊かなキャラクターたちが物語を盛り上げるシナリオモードでは主人公ファシルとその親友リアンを中心に、個性豊かなキャラクターたちが物語を盛り上げる

シナリオモードはチュートリアルを兼ねており、システムをじっくりと学べるシナリオモードはチュートリアルを兼ねており、システムをじっくりと学べる

 「テリトワール」は、戦士や魔導師、僧侶などさまざまな職業の育成を第一と掲げ、数多くの学園が存在する国“エラルドール”を舞台にしたターン制のシミュレーションゲーム。本作は現在開発中で、体験版がダウンロード可能となっている。今回はこの体験版を中心にご紹介しよう。

 エラルドールは、学園の生徒に実習として国内の産業や都市の運営、施設の建造も任せるという学生中心国家。そして、その活動を仕切るのが生徒会で、各学園の生徒会が領土(テリトリー)を広げるため、戦いや駆け引きを繰り広げている。

 ゲームの中心となるのは、剣士になるため遠い田舎から上京してきた純朴な少女“ファシル”と、物怖じをしない明るい性格で他生徒からの人気も高いエルフ族の少女“リアン”の2人。ゲームのシステムを少しずつ学んでいけるチュートリアルを兼ねた“シナリオモード”は、2人を中心としたさまざまなキャラクターの楽しいやり取りを見られるアドベンチャーパートと、都市運営を行うシミュレーションパートに分かれている。都市の運営や技術開発、戦闘などシステムがけっこう複雑なだけに、まずはシナリオモードでシステムを理解するのがオススメだ。体験版では物語の序章をプレイできる。

 一方、ストーリーと関係なくシミュレーションパートのみをプレイできるのが“フリー対戦”だ。ルールやマップ、終了までのターン数などを決めて戦いを楽しめる。体験版ではマップは1つのみ、マップの大きさも2種類、ターン数も50または100のみといった制限があるものの、100ターンあればゲームの面白さを十分に体験できるだろう。さらに、ネットワーク対戦機能も用意されており、体験版でも利用できる。

都市を拡大していくのが最大の目的

ユニットの招集や建設で都市を発展させてテリトリーを広げるのが最大の目的ユニットの招集や建設で都市を発展させてテリトリーを広げるのが最大の目的

住民の声に応える都市運営で支持率を伸ばすことで収入も増える住民の声に応える都市運営で支持率を伸ばすことで収入も増える

 シミュレーションパートの内容は、四角いマスで仕切られたクオータービューのマップ上で、資金を使って都市を運営したり、各ユニットを動かして敵対する生徒会と戦闘を繰り広げていくというもの。勝利条件は3種類あり、まず地上の70%を自分のテリトリーにするか、自分以外の生徒会をすべて倒すとその時点で勝利。そのほか制限ターン数以内に決着がつかなかった場合は、都市の発展などで獲得できるスコアが一番高い生徒会が勝利する仕組みだ。また、シナリオモードの場合は独自の勝利条件が設定されることもある。

 ゲームの基本的な流れは、まず“拠点”と呼ばれる1つめの都市を作ることから始まる。都市を作ると、マップに点在する牛や魚、銅といった資源を活用して自動的に施設を作る作業員“ノーム”の招集、戦闘ユニットの招集、都市を活性化させる建物の建設、アイテムの作成などが実行可能となる。1つの都市では同時に1つの招集または生産が可能。ほかの生徒会を戦闘で倒すのが目的であれば戦闘系のユニットをどんどん招集すればよさそうだが、都市を成長させなければ招集に多くのターンが必要となるなど、非常に効率が悪い。

 そこで重要になるのが、都市を成長させてよりよい都市に仕上げていくこと。都市を作ると、そこを中心としてターンの経過とともにじわじわとテリトリーが拡大され、収入なども向上していく。都市の名前をクリックすると、そこに住む住民の声が確認可能。住民が望む都市となればテリトリーの拡大スピードは上がり、招集スピードや生産性が高まるといった具合だ。また、都市の安定は収入増にもつながる。

 もちろん都市はマップ内に複数作ることが可能だが、拠点以外の都市を作るとターンごとに“維持費”を消費する。維持費は拠点から離れるほど高くなるのが難点で、攻めやすいように敵対する生徒会のテリトリー近くに都市を作ってしまうと、維持費がかかりすぎて収入がマイナスになり、生産性が大幅に落ちることも。また、敵の都市をユニットで占領すれば、自分の都市にすることも可能。招集や生産面では便利になるが、これも維持費増加につながる。そのため、まずは拠点の周囲を確実に発展させて、収入が安定する環境を作ることが大事となる。

技術研究によって建設できる建物や招集できるユニットが増えていく技術研究によって建設できる建物や招集できるユニットが増えていく

 ゲームを進める上で重要になるのが、拠点を作ることで実行可能になる“技術研究”だ。研究は1つずつ行うことができ、研究対象ごとに設定されたターン数の経過でさまざまな技術を実現する。たとえば格闘術を研究すれば、戦闘能力の高い“格闘家”を招集できるようになったり、近接戦闘系のユニットを1段階強い状態で招集できる“道場”の建設が可能になるなど、戦略の幅を大幅に広げるものが揃っている。漁業や畜産など収入を高める技術も多く、都市の開発状況や戦況に合わせて必要なものを研究していくことが大切だ。

交渉で弱点を補おう。準備が整ったら宣戦布告!

交渉では技術を交換したりとさまざまな駆け引きが楽しめる交渉では技術を交換したりとさまざまな駆け引きが楽しめる

 都市を安定して発展させるためには、ほかの生徒会との交渉も重要となる。便利なのは交換だ。ほかの生徒会と資金や資源、研究成果などを交換できるというもので、ターン数のかかる研究成果を資金と交換して手に入れる、または自分のテリトリーにはない資源を研究成果と交換するなど、戦略の幅が広がる。ちなみに、銅や鉄といった資源がないと招集できないユニットもあるので、交換が役立つ場面はかなり多い。都市を作りすぎて維持費がかかりすぎる場合に、研究を資金と交換して維持費を補充するのもアリだ。

 このほか交渉では、相手のユニットが自分のテリトリーに入るのを許可するか、といった取り決めも可能だ。また、ほかの生徒会と戦うには“宣戦布告”を行う必要がある。ここで重要なのは、宣戦布告すると相手のテリトリー内に居る自分のユニットがテリトリー外に追い出されてしまうこと。相手の都市を自分のユニットで囲んでから宣戦布告しても意味がないわけだ。

 戦闘で重要なのは、あからじめマップを開拓しておくことと、近接系・遠距離系のユニットをバランスよく使うことだ。マップは最初ほとんどが霧で見えなくなっており、自分のユニットが霧の先に進むことで見える範囲が広がる仕組み。相手の出方を探るためにも、移動力のあるユニットを偵察に出すなどして早い段階でマップ全体を見えるようにしておきたい。

 また、剣士や格闘家など近接系のユニットは攻防ともにバランスのよい戦力だが、敵の反撃を受けるのが難点。その点、弓使いや魔法使いなど遠距離系のユニットは防御力こそ低いが、2マス以上離れた場所へ攻撃できるため、近接系ユニットの反撃を受けないという大きなメリットをもつ。とくに都市を攻める際は防衛側が有利になるよう都市自体に耐久力が設定されており、これを削りきるまでは敵を倒せず反撃を受けやすい。そんなときは遠距離系のユニットで都市の耐久力を削るのが有効だ。

移動したことのない場所は霧に隠れている。マップ探索も重要な作業だ移動したことのない場所は霧に隠れている。マップ探索も重要な作業だ

耐久力に優れる都市を攻めるときは反撃されない遠距離ユニットが便利耐久力に優れる都市を攻めるときは反撃されない遠距離ユニットが便利

 また、ユニットは1マスに3体まで置くことができ、それを1グループとして同時に行動させられる。単独行動では敵の攻撃を一人で受けることになるので、実際には3体で1ユニットと考えて行動したほうがいい。ただし、移動力はグループのうち一番低いユニットに合わせる形になってしまう。そのためグループは、移動力が同じユニットで組むのがベターだ。遠距離ユニットで敵の体力を削り、近接ユニットでトドメを刺すのが一番手堅い。それぞれのユニットを同じ程度の数、招集しておきたい。

今回紹介した以外にも、主要キャラは必殺技といえる“スキル”を身につけられるなどさまざまな要素がある今回紹介した以外にも、主要キャラは必殺技といえる“スキル”を身につけられるなどさまざまな要素がある

 体験版は、フリー対戦でも難易度が“やさしい”に固定されているので敵の攻撃は激しくないものの、ターン数が最大100に限られているため、スコアの高さ以外で決着をつけるのがけっこう難しい。それだけに、もっと効率よくプレイできないか何度も試したくなる。完成版では、戦闘や都市の発展に活きてくる“技術研究”の数も増えるようで、戦局にどう影響するのかが楽しみだ。本作はシステムは複雑だが、キャラクターがコミカルで楽しく、シナリオモードで基礎から学べるのでとっつきやすい。シミュレーションゲームが好きな人はもちろん、興味はあるけど難しそうという人もぜひプレイしてみてほしい。

【著作権者】
EasyGameStation
【対応OS】
Windows 98/Me/2000/XP/Vista/7
【ソフト種別】
体験版
【バージョン】
2(10/08/28)
【ファイルサイズ】
123MB

(芹澤 正芳)