週末ゲーム

第581回

“HSPプログラムコンテスト2014”お勧め作品ピックアップ

総合最優秀賞、窓の杜編集部賞を含む9作品を紹介

“HSPプログラムコンテスト2014”公式サイト

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、フリーのプログラミング言語「Hot Soup Processor」(以下、「HSP」)で作成されたプログラムのコンテスト“HSPプログラムコンテスト2014”の参加作品から、窓の杜編集部がピックアップした作品をご紹介する。

 今回は220作品以上の応募があり、うち75作品が入賞している。本コンテストには弊誌も協賛しており、“株式会社インプレス 窓の杜編集部賞”として、「BlockBridge for Dish」「Kacotte!」「動画サイトdeパズル」の3作品を選出した。

 なおコンテスト参加作品のうち、マルチエンディング横スクロールシューティング「ZEXIDE HORIZON」は前回紹介しているので、こちらも併せてご覧いただきたい。

迫りくる橋を削り落としていくアクションパズル「BlockBridge for Dish」

「BlockBridge for Dish」

 自陣に次々と迫りくる敵の橋を切り離していくアクションパズルゲーム。敵の橋はブロックのように見えるもので、右にある敵陣から左にある自陣へと伸びようとしてくる。橋には敵兵が乗っており、自陣に接岸されると火を放ってきて、一定量まで自陣に火が回るとゲームオーバー。

 橋は2色のブロックでできている。また橋は同色のブロックが3つ繋がったものが集まって構成されると決まっている。ブロックは一見するとすべて繋がっているのだが、橋を構成する3つのブロックを推理し、マウスのドラッグでなぞると、その部分が脱落する。この要領で敵の橋を切り崩して、自陣に近付けさせないようにする。

 敵陣から続く橋の根元を切り取れば、その先に伸びる橋もすべて脱落する。あえて自陣近くまで敵の橋を伸ばさせた後、根元付近の橋だけを切り崩してやれば、一度に大量の橋を脱落させることが可能。大量の橋を落とすと同時に、大量の敵兵も落とすことができ、大量得点が得られる。

 推理が外れた時、また画面をクリックした時には、敵の橋が強制的に伸びてくる。これを使って自陣まで橋を伸ばしてやると、短時間に繰り返し橋を落とせて爽快だ(注意しないと敵兵にやられてゲームオーバーになるが)。ルールは単純ながら、延々遊び続けてしまう中毒性のあるゲームになっている。

どんどん伸びてくる橋の中から、色の違いをヒントに3個単位のブロックを割り出し、削り落としていく。まとめて落とすと気分爽快
「BlockBridge for Dish」
【著作権者】
kimco 氏
【対応OS】
Windows XP以降(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.9(14/11/30)

魔力ラインで囲んで浄化するアクション「Kacotte!」

「Kacotte!」

 ステージに落ちているリンゴを回収するアクションゲーム。ゲームスタート時、フィールドには毒リンゴが落ちており、この状態では触れるとミスになる。主人公が移動した跡に引かれる魔力のラインで囲んだ場所は浄化される効果があり、毒リンゴを綺麗なリンゴに変化させることが可能。浄化の後、リンゴを拾っていく。

 毒リンゴを浄化すると、同時に敵キャラクターが湧き出してくる。敵も同じく浄化することで倒せるが、触れてしまうとミスとなる。また魔力ラインに沿って高速で主人公を追いかけてくるタイプの敵や、主人公にはできない斜め方向の移動をしてくる敵もいる。さらに敵は倒してもすぐに別の場所で復活するので、いかに敵をやり過ごしつつリンゴを浄化・回収するかがポイントになる。

 すべてのリンゴを浄化した後に回収すればステージクリア。リンゴを浄化するほど敵が増えるのと、リンゴを回収するほど魔力ラインが長くなることにより、ステージの後半になるほど緻密な操作が求められる。焦ると操作を誤って毒リンゴを取ってしまうという凡ミスも発生したりして、シンプルな見た目によらずハードなプレイ感がある。

魔力ラインで毒リンゴや敵を囲んで浄化。長いラインで一気に浄化するのは気持ちいいが、同時にリスクも高まる。焦らず大胆に操作したい
「Kacotte!」
【著作権者】
あんすこえむ 氏
【対応OS】
Windows 7/8.1
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.22(14/11/17)

好きな動画を素材に遊べるパズルゲーム「動画サイトdeパズル」

「動画サイトdeパズル」

 YouTubeやニコニコ動画などで視聴できる動画を素材にして遊ぶパズルゲーム。画面左に再生される動画を見ながら、画面右では分割されバラバラに配置された動画のパネルを正しい位置に並べ直していく。

 パネルの数は縦横2分割4枚から6分割36枚まで自由に変更可能。またパズルのルールも、クリックした2枚のパネルを入れ替えるものから、裏表や上下左右の入れ替わったパネルを動かすものなど複数あり、難易度も調整できる。どうしてもわからない時は、パネルに番号を表示させるヒント機能も用意されている。

 映像が動くパズルというのはコンピューターならではのものだが、本作はそれに加えて、プレイヤーの好みの動画をパズルの素材に使えるというアイデアがユニーク。動画そのものをソフトに同梱するわけではないので、著作権絡みの問題は出ない……という思惑も見え、色々うまくやったなあという印象だ。

 ただパズルのサイズと動画のサイズがマッチしないこともあり(画面解像度など環境依存の面が大きいと思われる)、その場合は動画が左画面の真ん中に来るようスクロールして手動で調整する必要がある。筆者の環境ではサイズがうまく合わせられなかったので、ぜいたくを言えばもう一歩、詰めの作りこみが欲しいところだ。

 なお、ローカルにある動画ファイルで同様のゲームをプレイできる「うごいてかん」も今回のコンテストの出展作品となっている。

YouTubeなどの動画サイトで、自分の好きな動画を使ってパズルゲームを楽しめる。ローカルの動画ファイルに対応した「うごいてかん」も別途出展されている(画像右下)
「動画サイトdeパズル」
【著作権者】
伊豆 千穂 氏
【対応OS】
Windows Vista/7/8(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.62(14/11/29)

2Dライクな手触りの3Dスクロールシューティング「CHARYBDIS」

「CHARYBDIS」

 2つのオプションを操作しながら戦う3Dシューティングゲーム。3Dフィールドは円形のチューブ状に作られており、コースを強制スクロールしながら進んでいく。自機はチューブの縁に沿って、回転するようなイメージでのみ動かせるというもので、見た目は3Dだが操作感は2Dシューティングに近いゲームだ。

 自機の他には左右に配置された2つのオプションもあり、円形のフィールドに沿って動かすことが可能。自機の近くから離れた場所まで、自在に動かして攻撃できるほか、自機に最も近付けた時には、1本の強力な直線レーザーが撃てる。オプションは無敵扱いなので、自機は敵弾を避けつつ、オプションを敵にぶつけるような動きで攻撃することも可能だ。

 ゲームはステージクリア型の進行で、各ステージの最後にいるボスを倒せばステージクリア。敵を倒して進むばかりではなく、破壊できない障害物を避けて進むステージや、それらが複合された場所もある。チューブ状のステージを活かしたギミックで、プレイ中は敵と敵弾、障害物のそれぞれに対処するため、かなりの集中力が必要だ。

 ただ操作自体は単純で、オプションと合体した際のレーザー以外にパワーアップ要素もない。避けて倒すというシューティングゲーム本来の楽しさに集中したゲームと言える。

 なお本作は、本コンテストにおける最優秀賞となる“総合最優秀・ツェナワークス賞”を受賞している。

強制スクロールの3Dフィールドを進んでいく。移動範囲が円形に制限されているため、見た目は3Dだが手触りは2Dっぽくもある
「CHARYBDIS」
【著作権者】
Makoto 氏
【対応OS】
Windows XP以降(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.06(14/11/22)

スポーツカイトをDUALSHOCK 4で操作「カイトフライト」

「カイトフライト」

 スポーツカイト(凧)をモチーフにしたフライトシミュレーション風アクションゲーム。カイトを操作して、フィールドに出現する鳥などの障害物をひたすら避ける。カイトが敵に3回接触するとゲームオーバー。制限時間いっぱいまで飛び続ければクリアとなる。

 カイトは何もしなければ直線移動し、方向キーの左右で旋回、上下で進行速度の調整ができる。速度を落とせば空中停止したり、後方にも移動できるあたりは、飛行機ではなくカイトらしい挙動だ。

 敵となる鳥は、時間が経つごとに増えてきて身動きがとりづらくなる。また時々、画面下から高速の砲弾のようなものが飛んできたりもして、長時間避け続けるのが難しい。

 時折現れる黄色い風船を取ると、一定時間無敵になるというゲーム的な要素もある。画面端に接触するとその場で停止してしまうが、ミスにはならない(糸の長さが限界というイメージだろうか)。

 またPlayStation 4用のコントローラーであるDUALSHOCK 4による操作にも対応している。L2・R2のアナログトリガーを使い、L2は左、R2は右に旋回。さらにL2とR2を同時に強く引くと前方に加速できる。作者によると、『スポーツカイトの操作感を再現している』のだそうだ。キー操作に比べ、急加速が可能になるなど操作感も変化する。結果として2ボタンだけで操作できている点も面白いので、可能ならこのスタイルでプレイしてみてほしい。

スポーツカイトをイメージした回避アクションゲーム。DUALSHOCK 4を使うと、リアルなプレイ感が得られる……らしい(筆者はスポーツカイト未経験……)
「カイトフライト」
【著作権者】
GENKI 氏
【対応OS】
Windows Vista以降(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.10(14/10/31)

回って跳ねる棒を操るだけのアクションゲーム「ジミなスティック」

「ジミなスティック」

 ゴムのように跳ねる棒を操り、高く跳んだり回転させたりすることで得点になるアクションゲーム。約1分間の制限時間の中でハイスコアを競う。棒の操作は、マウスの左クリックで左回転、右クリックで右回転するのみ。画面内には操作する棒以外のものはなく、極めてシンプルな作りになっている。

 棒は自らが回転する勢いを使って跳ねることができる。棒の挙動は物理計算されており、跳ねた後は重力に従って落ちてくる。棒が落ちてきて接地した角度によって、跳ねる方向も変化する仕組み。マウスをドラッグし続けると棒の回転速度が速くなり、落下した時に跳ねる力が大きくなる。

 より高く跳んだり、空中で回転させたりすることで高得点が得られる。しかし回転が速すぎると、接地する瞬間の棒の角度がわからなくなり、どこに跳ねるのか予想できなくなる。壁や天井に接触すると大幅に減点されてしまうので、極力触れないようにしつつもギリギリの高さになるよう操作せねばならない。

 ゲーム自体は極めて単純ながら、棒の挙動を制御するのは極めて難しく、油断せずとも思わぬ方向へと跳ねていってしまう。ちょっとでも回転を速くすると、跳ねる方向は時の運状態になってしまうが、そうしないと高得点が取れないジレンマも。タイトル通り地味なゲームなのに、熱中して何度もリトライさせられてしまった。

棒を回転させるだけの操作ながら、思い通りにいかないのが歯がゆくも面白い。得点ランキングもあり熱中度が高い
「ジミなスティック」
【著作権者】
Nushanu 氏
【対応OS】
Windows(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.0(14/10/26)

ラインを1本に繋ぐパズルゲーム「URA-LOGIC / ウラロジ」

「URA-LOGIC / ウラロジ」

 パネルを動かしてラインを繋ぐパズルゲーム。フィールドの端から2本の青いラインが伸びているが、フィールドの途中で途切れている。プレイヤーは赤いラインが描かれたパネルを動かし、赤と青のラインを組み合わせて途切れたラインを接続する。

 フィールドは正方形のブロック単位で作られており、どこにもつながっていない青いラインが描かれている床もある。動かせるのは赤いラインが描かれたパネルのみ。移動はスライドだけで、回転させたり持ち上げたりはできない。動きに制約がある中で、元からあるラインを活かしつつ、どうパネルを配置すれば繋げられるかを試行錯誤する。

 ポイントは、赤いラインのあるパネルは半透明になっていること。青いラインが描かれた床にパネルを重ねると、青と赤の両方のラインが生かされる。ただラインを繋ぐことだけを考えるのではなく、あえて一部のラインを無駄にしつつも重ね置きすることが求められる場合もある。

 ゲームとしてはステージクリア型で、制限時間や移動回数に制限はない。単純にクリアするだけならじっくり考えてプレイできるが、クリア時には経過時間と移動回数が表示されるので、なるべく早く少ない手順でクリアするのも目標になる。

ゲーム説明にほとんど文字を用いないで、サイバーな世界を赤と青で描く雰囲気も本作の魅力だ
「URA-LOGIC / ウラロジ」
【著作権者】
Maruchu 氏
【対応OS】
Windows(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.00(14/10/31)

足して15を作り続ける頭脳派ゲーム「15RUSH」

「15RUSH」

 1から7までの数字が書かれたチップを、足して15になるようになぞっていくパズルゲーム。マウスのドラッグでチップをなぞり、15になったところで離せばチップが消えて得点になる。始点は画面下方にある背景色が違う部分にあるチップに限定されており、上の方のチップでは15のカウントが始まらないので注意。

 得点はなぞるチップの数が増えるほど高くなる。チップは15未満の数字で指を離したり、15を超える数字になってしまった際にも消えてしまうが、無得点となるだけでペナルティはない。

 ちょうど15にできた際、始点となったチップの数字が画面下の星マークでカウントされ、1から7まですべてを揃えると“スターチップ”が降ってくる。スターチップへなぞるように触れると、一定時間は15以上の数字でも15扱いとなるフィーバー状態に。とにかくなぞれば得点になるというボーナスタイムだ。

 1ゲームの制限時間は60秒で、15を揃えても残り時間が増えたりはしない。唯一、フィーバー中のみは時間のカウントが止まるので、いかにすばやくスターチップを出してフィーバーに持っていくかがハイスコアのポイントになる。慣れないうちは15をいくつか作るだけで精一杯だが、慣れてくると狙ってスターチップが作れるようになり、なかなか忙しいゲームになってくる。

見た目のシンプルさとは裏腹に、最初は難しく、慣れると忙しい。常に足し算で頭を使うゲームになっている
「15RUSH」
【著作権者】
app 氏
【対応OS】
Windows(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.0.1(14/08/12)

地理に詳しいだけでは解けない「隣接都道府県パズル neighboring prefectures puzzle」

「隣接都道府県パズル neighboring prefectures puzzle」

 47都道府県の名前が書かれたパネルを並べ替え、すべてのパネルが地理的に隣接する都道府県とくっつくように配置するというパズルゲーム。パネルはクリックすると色が変わり、その状態で別のパネルをクリックすると、2つのパネルの位置が入れ替わる。これを繰り返してクリアを目指す。

 海を隔てた都道府県同士でも隣接扱いとなるよう設定されており(でなければ北海道や沖縄が成立しないが)、各都道府県がどこと隣接するかはヘルプで確認可能。難易度設定は3段階で、難しいものほど動かせない固定パネルの数が増える。

 時間や回数の制限はなく、誰でもいつかはクリアできる。ただし、クリア時には動かした回数や、より多くの都道府県パネルを隣接させていることなどが評価され、得点が算出される。少ない移動で、より多くのパネルを隣接をさせられるように動かしたい。

 日本の地理を理解している人ほど有利にプレイできることは言うまでもないが、内陸県は隣接する都道府県が多いため使いやすく、海に囲まれた県のパネルは逆に使いづらい傾向がある。使いにくいパネルを端で消費し、使いやすいパネルは4方向が開くようにする……といったゲーム的なコツも必要。地理とパズルで、二重に頭を使うゲームになっている。

『鳥取と島根はどっちがどっちだっけ?』などと失礼な悩みを持っているとクリアが遅れる。しかし地理に詳しくとも、パズル的にも簡単には行かない
「隣接都道府県パズル neighboring prefectures puzzle」
【著作権者】
Taddi 氏
【対応OS】
Windows XP以降(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.00(14/10/27)

(石田 賀津男)