週末ゲーム

第543回

“HSPプログラムコンテスト2013”お勧め作品ピックアップ

窓の杜賞選出において注目されたゲーム10本を紹介

 “HSPプログラムコンテスト2013”は、プログラム言語HSP(Hot Soup Processor)を使って作られた作品のコンテスト。毎年開催されており、今年の応募総数は284作品となった。本誌・窓の杜も協賛しており、窓の杜賞の選出も予定している。

 コンテストの結果発表は12月1日に行われるが、一足お先に今回の『週末ゲーム』では、窓の杜賞の選考において注目されたゲーム作品を計10本、ピックアップしてご紹介する。

落ちもの+上げもの?数字を使ったアクションパズル「へんてこ」

「へんてこ」

 上から落ちてくる数字のブロックに向けて、下からブロックを撃ち出して消していくパズルゲーム。画面下側のマス目をクリックするとブロックが作られ、上に向かって撃ち出される。これを数字のブロックに当てると数字が減っていき、0になると消滅する。落ちてくる数字ブロックが画面下側のラインに到達してしまうとゲームオーバーだ。

 本作のポイントは2つ。まず下から撃ち出すブロックはマス目1個分だけではなく、マウスをドラッグすることで、長いブロックを好きな形で撃ち出せる。もう1つは、数字を減らす方法は、ぶつけるだけでなく囲うようにしてもいいということ。正確には“撃ち出したブロックと数字ブロックがぶつかったとき、接触する辺の数に応じて数字が減る”というルールになっており、たとえば上向きのコの字型にして撃ち出すと、数字を一気に3つ減らせる。

 この2点をうまく使うと、上から落ちてくる数字ブロックの並びに合わせて、端から端まで長く複雑なブロックを撃ち出し、複数の数字ブロックを一気に消すことができる。ただ消すだけなら、小さいブロックをどんどん撃ち出せばいいのだが、あえて溜めてまとめて消すのが爽快で、かつ高得点につながる。

 数字ブロックが落ちてくるスピードはかなりゆっくりだが、思考する時間は意外と長くなり、結構忙しいゲームになっている。それでもマウスだけで操作できるシンプルなルールであるところは、よく考えて作られている。

 ゲームモードは3タイプから選べる。違いはブロックを撃ち出すマス目の段がタイプ1は3段、タイプ2は4段、タイプ3は5段と増えていくこと。段が深くなれば同時消しを狙いやすくなり爽快感が増すのだが、撃ち出し側の段が増えた分だけゲームオーバーのラインも上がるので、難易度は上昇するというバランスになっている。

下から打ち上げるブロックを、上の数字ブロックの並びに合わせるように作るのがコツ
「へんてこ」
【著作権者】
ピコピコ男爵 氏
【対応OS】
Windows XP(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.0(13/10/13)

マウスを動かして幼女のレベルを上げるRPG「おさんぽようじょ」

「おさんぽようじょ」

 幼女のキャラクターが道中で出くわす敵と戦い、レベルを上げていくという2DサイドビューのRPG。目的は基本的にそれだけで、ゲーム内容もシンプルなら、ドット絵で描かれているビジュアルもシンプルなゲームだ。

 操作でユニークなのが、レベルの上げ方。普通なら出てくる敵を倒して経験値を得るのだが、本作ではマウスカーソルを動かしていると幼女が歩き、さらにマウスの移動量に応じて経験値が入るようになっている。マウスをすばやくぐるぐると回すだけでどんどんレベルが上がっていき、さらに探索ゲージが伸びてお宝を発見できる。

 途中で現れる敵とのバトルでも、マウスを動かしていると行動が早くなり、どんどん敵に攻撃して倒せる。またバトル時にはマウスを連続で3回以上クリックすると銃で、しばらくマウスをドラッグしていると魔法で攻撃可能。敵とのバトルでダメージを受けたら、マウスやキーボードを触らず放置していると、その場に座り込んで回復する。

 基本的にこれだけでゲームが進んでいくのだが、マウス操作が反映されるのは本作のウインドウがアクティブになっている時だけでなく、他のアプリの裏に回っていても構わない。本作を画面端に配置しておいて他の作業をしていれば、マウス操作によって勝手にレベルが上がるという仕組みになっている。

 また探索する中で発見したお宝はステータスを上昇させるのに加え、図鑑に記録される。何かを狙って集められるわけではないようだが、コレクション的な要素も楽しめる。

 一生懸命マウスを動かしてレベルを上げるのも楽しいが、放置しておいても遊べる環境ソフトっぽい印象もあるという、ユニークなアイデアを形にした作品だ。

【編集部より】HSPプログラムコンテスト事務局より、本作は別作者による作品を盗用したものである疑いが高く調査中であるとの連絡があり、これを受けて編集部にて調査したところ、作者のSNSアカウントにて盗用であることを認める謝罪文の掲載を確認いたしました。現在本作品の公開は終了しています。(2014/01/06)

 また2014年2月15日、HSPプログラムコンテスト2013 実行委員会より、「おさんぽようじょ」が第三者の作品を無断で流用しコンテストに応募した作品であるとして、規約違反によりエントリーの削除、および入賞の取り消しを行なうことを決定したと発表されました。詳細は下記リンクをご参照ください。(2014/02/17)

マウスを動かすだけでレベルアップするという不思議なテイストのゲーム

磁力を帯びる鉄骨でスパイをゴールに導くアクションパズル「パニックミッション」

「パニックミッション」

 電磁石で磁力を帯びた鉄骨を動かし、ステージ上にいる人(スパイ)をゴールに導く2Dサイドビューのアクションパズルゲーム。ステージクリア型のゲームとなっている。

 ステージ上に配置された電磁石に鉄骨をくっつけると、その鉄骨も磁力を帯びる。さらにその先に鉄骨がくっつくので、この特性を活用してゴールまでの道を作っていく。鉄骨を動かしたときに電磁石や磁力を帯びた鉄骨から離れてしまうと、下に落ちてしまうのがパズルとしてのポイントだ。

 スパイは基本的に左右へ勝手に歩くだけだが、1段分の高低差を乗り越えたり、1ブロック分の隙間を飛び越えたりすることが可能。しかし2段分以上落下したり、鉄骨の移動に巻き込まれたりすると即ゲームオーバーで、ステージの最初からやり直し。無事にゴールに辿りつければステージクリアとなる。

 また動くロボットも登場。こちらも鉄骨と同様に磁力を帯びるため、うまく場所とタイミングを合わせることで道代わりにできる。ただし動いている最中は“動く鉄骨”同然の存在なので、スパイを踏みつぶしていってしまう。「倉庫番」的な思考型パズルかと思いきや、ステージによってはスピードも求められる。

 なお、本作にはAndroid版も用意されている。

磁力がどのように及ぶのかを考えて、鉄骨やロボットを動かす。ときには急いで動かす必要がある場面も
「パニックミッション」
【著作権者】
Taorin 氏
【対応OS】
(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.0(13/08/15)

スピード勝負の3Dフライトアクション「Fastest Flyer 2」

「Fastest Flyer 2」

 戦闘機を操り、地形や敵の攻撃を避けながら進んでいく3Dフライトアクション。見た目はシューティングゲームだが、実際には決まったルートをできるだけ早くクリアすることが目的のゲームとなっている。

 フィールドにある地形や障害物、敵の攻撃に当たると、シールドゲージが減少する。これが0になるとゲームオーバーとなるので、なるべく接触しないように避けて進んでいく。

 自機は加速・減速が可能。減速時には敵をロックオンする機能があり、画面中央のロックオンサイトに敵を入れた後、減速のボタンを離せばショットが発射される。これで敵の攻撃を減らして進めるが、減速すること自体が早くクリアすることと相反するため、“できるだけ倒さず避けて進む”というのが本作のポイントだ。

 操作はキーボードとゲームパッドの両方に対応。場所によっては天地が逆転したりしてカメラがぐるぐると回る。カメラの回転方向に関わらず、自機は画面で見たままの方向に動くので、慌てず冷静に操作するのが大切だ。とはいえスピード勝負なので慌ててしまうのだが……。

スピード勝負のフライトアクションだが、ロックオン攻撃も気持ちいいので試してみてほしい
「Fastest Flyer 2」
【著作権者】
Makoto 氏
【対応OS】
Windows XP以降(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.11(13/11/22)

魔法を使ってスピード勝負のブロック崩し「マジカルストローク」

「マジカルストローク」

 ブロック崩しに独自のルールを組み込んだゲーム。ステージ上のブロックに玉を当ててすべて壊せばクリアとなるのは基本的に同じだ。

 独自ルールは2つの特殊操作。1つは画面上にある宝石のようなブロック“魔法石”を壊すことで、玉に特殊効果を与える魔法を使えるようになる。効果は最初に選んだキャラクターによって異なり、“サチ”では玉に貫通力を付与、“ナオ”では玉が2つに分裂する。この効果は魔法石を壊した数だけ、任意のタイミングで発動可能。

 もう1つは大魔法。玉をブロックに連続ヒットさせるとコンボとなり、画面右にある魔力ゲージが溜まっていく。これが満タンになったときに大魔法ボタンを押すと、玉の周囲に魔法陣が現れ、周囲のブロックを一度に破壊できる。ブロック崩しでは狙いにくい最後の1ブロックを狙うのにも便利だ。

 他にも、ボタンを押している間だけ玉の移動速度を上げるという機能もある。ステージを早くクリアするとスコアボーナスが付くので、これらの機能を活用していかにすばやくクリアするかを競うゲームとなっている。

ブロック崩しにスピード感を加え、短時間でクリアすることを目標にしている
「マジカルストローク」
【著作権者】
祐矢 氏
【対応OS】
Windows XP以降(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.31(13/11/25)

ユニットの成長が鍵を握るディフェンスアクション「ランクアップ防衛」

「ランクアップ防衛」

 画面の上側から次々と現れる敵を、味方ユニットで撃退して制限時間まで耐えるディフェンスアクションゲーム。ユニットは基本的にオートで戦い、プレイヤーはそれを補助的に操作する。制限時間は1分から15分まで、1分刻みで変更できる。

 時間の経過や敵にダメージを与えることで、画面右にあるゲージが溜まっていく。ゲージが1/3溜まると、ユニットをクリックすることで一時的な強化(クラスチェンジ)が可能。ゲージを消費して広範囲の敵を攻撃できる。

 さらにゲージが満タンになったところで画面下のボタンをクリックすると、味方全体がランクアップする。一定のレベルにランクアップすることで、強化による攻撃の種類が変わったり、新たな味方ユニットを登場させたり(ゲージを2/3消費)できるようになる。

 味方ユニットは、最前線で敵と戦う剣士、後方から遠距離攻撃を仕掛けるボウガン兵、最後尾で味方ユニットを回復させる衛生兵の3種類。このうち剣士だけはランクアップすることで登場できる最大数を増やせる。制限時間までに味方ユニットが1体でも生き残っていれば防衛成功だ。

 長めの時間に設定すると、敵と味方のユニットの数がだんだんと増えていき、難易度が上がっていく。ゲージを溜めて早くランクアップさせれば、ユニットの数を増やして戦いを優位に進められるが、無理に溜めようとするとユニットの一時強化ができずに倒されてしまい逆効果。敵の戦力を見ながら、ゲージをどう使うのかタイミングを見計らうのがポイントだ。

最大15分生き残れば勝ち。ランクアップでどんどん派手になっていく強化が見どころ
「ランクアップ防衛」
【著作権者】
George Mikami 氏
【対応OS】
Windows 8(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.0(13/11/04)

モンスターをエサで釣る思考型パズル「FEED THE MONSTER」

「FEED THE MONSTER」

 限られた数のエサをフィールドに配置し、モンスターを誘導して穴にはめるパズルゲーム。配置されているすべてのモンスターを穴に落とせばクリアとなる。マウスだけで操作可能。

 プレイヤーが可能な操作は、フィールドにエサを配置するだけ。エサを最短距離で取りにこようとする白いモンスター“もにゅ”と、“もにゅ”を捕食しようとする他のモンスター“もぐぅ”がいるので、最終的にすべてのモンスターを穴に落とせるエサの配置を探る。試行回数に制限はなく、何度でもやり直しができる。

 ルールはシンプルで、“もにゅ”を穴に落とすだけなら簡単だ。しかし“もにゅ”をエサで誘導して“もぐぅ”を穴に落としつつ、最終的には“もにゅ”も穴に落とさねばならない……というのは、ルールのシンプルさとは裏腹にかなり難易度が高い。じっと考えていてもなかなか答えが見つからないので、とにかく試してみて動きを見て答えを探る、といったプレイになる。

エサだけでモンスターの動きを制御するパズル。失敗のペナルティはないので何度でも挑戦できる
「FEED THE MONSTER」
【著作権者】
KOMARI 氏
【対応OS】
Windows XP/7(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.02(13/11/16)

新選組隊士の襲撃を描いた3Dアクション「池田屋事件」

「池田屋事件」

 タイトルの通り、新選組が尊王攘夷派の志士を襲撃した池田屋事件をテーマにした3Dアクション。プレイヤーは新選組の隊士を操り、敵となる志士を斬り伏せる。操作はマウスとキーボードを使うFPSのようなスタイルで、左クリックで攻撃、右クリックで防御。移動と攻撃を組み合わせることで突きなども繰り出すことが可能。

 操作するキャラクターは最初は近藤勇だが、マウスホイールまたは[PageUp][PageDown]キーで、沖田総司や永倉新八など10人の隊士を切り替えて操作できる。自分が操作していないキャラクターはAIによる自動操作となる。

 敵の志士をすべて倒せばクリアとなるが、その前に自分が操作しているキャラクターが倒されるとゲームオーバー。自分が操作していなければ隊士が何人倒されても構わないので、ダメージを受けたら他の隊士に操作を切り替えることで安全に進める。

 ゲームとしてはオーソドックスなものだが、池田屋の建物をきちんと再現しようとしており、雰囲気はうまく出ている。また内容は池田屋での争いだけに絞って作られているので、1回のプレイは数分程度と短時間で遊べる。

池田屋事件を再現したゲーム。意外と短時間でサクサク遊べるのも魅力
「池田屋事件」
【著作権者】
Izumi Creators Meeting
【対応OS】
Windows(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.01(13/10/29)

敵のスキルを奪って戦う横スクロールアクション「アルト」

「アルト」

 倒した敵のスキルを身に付けて戦うアクションゲーム。グラフィックスは3Dを使っているが、奥行きはなく純粋な横スクロールタイプのゲームとなっている。操作はキーボードとゲームパッドの両方に対応する。

 フィールドにあるさまざまな障害物や敵を突破して、どんどん先へと進んでいく。敵からダメージを受けたり、フィールドから落下したりするとHPが減り、0になると家(スタート地点)に戻される。ただし一度入ったフィールドには、敵を倒すとまれに出現する“スマフォ”というアイテムですぐに移動可能。

 アクション面では、最初はパンチやキックによる近距離攻撃しかできないが、敵を倒すことでアイテムが出現し、それを取ると敵のスキルを身に付けられる。たとえば火を吐く恐竜のようなモンスターを倒して出たアイテムを取ると、火を吐くスキルを使えるようになるといった具合だ。スキルを使用するとスキルゲージを消費するが、時間が経つと自動的に回復する。

 新しいスキルを覚えると古いものは上書きされてしまう。ただしスキルを覚えた状態で家に戻ると、お気に入りスキルとして登録でき、拾ったスキルとは別に常時固定で使い続けられる。

 全体的にはオーソドックスなスタイルのアクションゲームだが、UIやグラフィックスなどが丁寧に作られており、クオリティの高さが光る。

グラフィックスも美しい横スクロールタイプのアクション。敵のスキルを活用して戦う
「アルト」
【著作権者】
魔女オイラ 氏
【対応OS】
Windows XP/Vista/7(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.0(13/11/11)

ポップな音楽で旗上げ対戦「ハタアゲわいえい」

「ハタアゲわいえい」

 赤上げて、白下げて……の旗上げを題材にした旗上げアクションゲーム。ノリのいい音楽とともに、旗の上げ下げの指示に従ってキャラクターを操作する。

 ゲームとしては旗上げそのもので、曲の4拍子に合わせて『赤』『あげ』『て!』、『白』『下げ』『ない!』といった指示が出るので、左右のカーソルキーでその通りに動かす。正解するのはもちろん、4拍子の最後のタイミングにぴったり合わせて動かすと高得点になる。

 また、たとえば赤を下げている時に『赤下げて!』や『赤上げない!』と赤を動かす必要のない指示が出たとき、関係ない白の旗を4拍子に合わせて動かすと高得点になるという要素もある。

 ゲームはストーリー仕立てになっており、NPCとの対戦でスコアを競い、勝てば次のステージへと進める。ストーリーモード以外に、最大4人での対戦モードも搭載する。

 冷静に考えると音楽に意味はないのだが、テンポに乗って旗の上げ下げをするというプレイが意外とはまっていて楽しい。音楽ゲームとは違うものの、その一種のような感覚でプレイできる。

旗上げを音楽ゲーム風に仕立てたゲーム。簡単そうに見えてなかなか難しい
「ハタアゲわいえい」
【著作権者】
A.C 氏
【対応OS】
Windows XP/Vista/7/8/8.1
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.00(13/11/01)

(石田 賀津男)