週末ゲーム

第597回

怪盗と少女の2人を操るスニーキングアクション「怪盗レオン」

ゴールへの道筋を探して的確に操作。笑えるシナリオで楽しさ倍増

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、アクションゲーム「怪盗レオン」をご紹介する。

発明王の怪盗と猫っぽい少女が2人で盗みを働く

レオンとツグミの2人を交互に操作する

 「怪盗レオン」は、自らの発明品を使ってお宝を盗んでいく怪盗、レオンが主人公となるアクションゲーム。各エリアにあるスイッチをすべて踏んでから、ゴール地点となる扉を目指す。1つのエリアを突破したら次のエリアへと移り、既定の数エリアを突破すればステージクリアとなる。

 レオンは左右移動とジャンプが可能。エリア内には懐中電灯を持つ警備員や、エリア内の一部を照らすサーチライトがあり、その光に接触するとミスになりステージの最初からやり直し。警備員が向きを変えたり、サーチライトが動いたりして光の位置が変わるので、うまく避けながら進んでいく。またステージ外に落下したり、触れてはいけない仕掛けなどに触れた場合もミスになる。リトライ回数は無制限だが、一部のステージでは制限時間内にクリアしないとゲームオーバーになる。

 警備員を倒すような攻撃手段はなく、ひたすら逃げて隠れて進む、いわゆるスニーキングアクションと呼ばれる内容になっている。ただレオンは特殊能力として、エリアの一部に存在する赤、青、緑の色をした壁に貼り付いて移動できる。ジャンプでは届かない高い場所にも移動が可能だ。

 また全身にまとうスーツの色を、壁と同じ赤、青、緑に変える能力もある。色は任意に変えられるほか、壁に貼り付いて動かないでいると、壁の色と同色に変化する。壁とスーツが同色の状態で貼り付いている時は、敵の光に触れても発見されずミスにならない。色の壁が続いている範囲では、貼り付いたまま上下左右に移動もできるので、光っている場所でも悠々とすり抜けられる。ただし壁からジャンプするなどして貼り付き状態を脱したり、別の色に変化したりすると、即座に発見される。

 少しゲームを進めると、ひょんなことからツグミという少女と出会い、紆余曲折を経て2人で盗みを働くことになる。ツグミも左右移動とジャンプという基本アクションはレオンと同じだが、全身スーツがなく貼り付きや色変化を使えない。その代わりに二度の空中ジャンプが可能で、ゆっくり落下できるという能力もある。レオンでは登れない高所や遠方の場所にも、ツグミなら到達できることがある。

 さらにツグミは、猫の鳴き真似という特技を持つ。鳴き真似をすると警備員たちが鳴き声に反応し、ツグミの居る方向へ懐中電灯を向ける。数秒経つと元に戻ってしまうが、その僅かな隙にレオンが裏から進んでいくという連携プレイができるようになる。

 ツグミと出会った後は、レオンとツグミの2人を切り替えながら操作する。一方を操作している時は、もう一方はその場に留まることになる。2人で協力してスイッチを踏み、2人揃ってゴール地点の扉に到達すればエリア突破だ。

主人公の怪盗レオン。自ら発明したアイテムを駆使して盗みを働く
相棒となるツグミ。猫の鳴き真似などレオンにはない能力を持つ
懐中電灯やサーチライトなどの光に当たるとミスになる
壁に貼り付き、同じ色になると見つからなくなる

謎解きパズルとスピーディなアクションの組み合わせ

突破する方法がなさそうなエリアも、よく考えれば道がある

 本作は敵の捜索網を突破するために、正確性と瞬発力が必要なアクションと、特定の手順を踏むことで難なく突破できるパズル要素という両面での攻略が求められる。

 アクション面では、警備員の向きやサーチライトの位置など、光の動きに合わせて俊敏に操作する場面が多い。また貼り付ける壁は、一定時間で色が順番に変化していくものがあり、それまでは同色だったものがいきなり違う色になって警備員に見つかる、ということもある。いずれもタイミングを誤ると一発でミスになるので、慎重かつ的確に操作する緊張感がある。

 パズル的な要素では、特定の順番でステージを周らなければゴールにたどり着かないというエリアがある。押せるスイッチが目の前にあっても、それを無視して奥のスイッチを先に押し、また戻ってきてから押さないとゴールにたどり着けないといった仕掛けだ。また一部のエリアではスタートしてすぐ便利そうな仕掛けがあるのだが、それを使うとクリア不可能になったり、他のルートの方がずっと簡単に抜けられたりすることもある。

 エリアは1画面に収まらないことが多い。その場に留まったまま、画面を移動させて先々の状況を確認することもできるので、まずは突破に最も適した手順を考えてから攻略するのが常道だ。何も考えずに突進していると、『こんなの絶対無理だ!』と思うエリアも多いのだが、全体を見渡してから考えるとまったく違う突破方法が見えてくることがある。アクションでゴリ押しできるエリアばかりではないので、詰まったら落ち着いて考えて進みたい。

 そうして攻略の手順がひらめいたとしても、簡単にクリアできるとは限らない。キャラクターは常に全力疾走かと思うほど移動速度が速く、ちょっとした移動のつもりが走り過ぎて光に当たったり、崖から転落したりしやすい。走りながらジャンプするような複合的な操作は思いきりと繊細さが要求され、移動しながらのジャンプが間に合わず落下、ジャンプした先で走り過ぎて落下、というのもよく発生する(筆者が慌てやすいだけかもしれない)。

 さらに終盤のステージになると、レオンとツグミの連携がよりシビアになってくる。色が変わる壁に貼り付いて移動しながら、壁の色に合わせて自分の色もすばやく変えるというのも序の口。スイッチを踏むと消える床の上にレオンを移動させ、ツグミがジャンプしてスイッチを踏む直前に操作を切り替え、即座にレオンをジャンプさせ、スイッチを踏むことで新たに現れた床に飛び移る……といったアクロバティックな操作を求められることもある。

 終盤は確かに難しいのだが、途中は操作を学びながら進められるバランスで、快適に進行できた。アクションが得意なら無理矢理突破することで時間短縮を狙うのもありだし、パズル的に頭を使ってじっくり解いてもいい。ステージクリアの時間が記録されるので、タイムアタック的な楽しみ方もある。またエリア内には時々、財宝の入った袋のようなものが落ちており、これをすべて拾ってからゴールするのもやり込み要素のひとつになっている。

 作者によると、ゲームクリアにかかる時間は2時間を想定しているそうだが、筆者は2時間ではまったくクリアできなかった。最終ステージがそれまでとは段違いに難しくて詰まってしまったのと、ストーリーを読ませる部分が割と多かったためだと思われる。

サーチライトの合間をギリギリで抜けていくのは大変だ
攻略の手順を間違えるとクリア不可能になるエリアもある
エリア内は自由に見渡せる。先々の状況を確認してから進むのがいい
終盤は2人をすばやく切り替え、ギリギリの操作を求められる

レオンとツグミの絶妙な掛け合いも見どころ

ツグミに姿を見られてしまうレオン

 本作のもうひとつの魅力はストーリーだ。アクションゲームではあるのだが、ステージの開始時とクリア後に、レオンやツグミが登場するイベントシーンが挿入される。これがなかなかのボリュームで、なおかつギャグとシリアスのバランスが取れていて楽しませてくれる。イベントシーンはテキストアドベンチャー風の画面で進行する。

 レオンは怪盗を名乗っているが、ただ高価なお宝を盗んでいるわけではない。何かしらの理由で不当に奪われたものだけを盗んで、ほとぼりが冷めた頃に持つべき人へと返す義賊だ。しかも色を自在に変えるスーツで、姿を一切見せることがない。ミステリアスな怪盗は、市民から憧れの目で見られることもあるようだ。

 ある日も完璧な手口で目当てのものを盗み出したレオンだったが、最後の最後で油断したのか、通りがかりの少女ツグミに姿を見られ、正体がばれてしまう。その後はツグミと行動を共にすることになる。

 いったい何があってツグミと一緒に盗みを働くことになり、その後どうなっていくのか……詳しい内容は伏せておくのでゲームをプレイしてストーリーを楽しんでいただきたいが、ツグミとの出会いの場面も本作のハイライトのひとつには違いない。イベントシーンのここぞという場面では1枚絵のイラストも使われ、演出的にも楽しませてくれる。

 アクションとパズルの複合で、うまく突破できた時の爽快感が本作の最大の魅力であるのは確か。それに加えて、テンポのいい会話とストーリー展開でプレイヤーを飽きさせない。難しさと気持ちよさと笑いの融合が見事で、遊んでいて純粋に楽しくさせられる作品だ。アクションだ、パズルだというジャンルを気にせず、ぜひ気軽に遊んでみていただきたい。

普段のシーンはテキストアドベンチャー風の立ち絵で進行。キザなレオンと能天気なツグミの会話がいちいち笑える
その他の登場人物も存在感があり、ストーリーを盛り上げてくれる
重要なシーンは1枚絵で描かれる。ここぞという時の演出は格好いい

ソフトウェア情報

「怪盗レオン」
【著作権者】
パルソニック 氏
【対応OS】
Windows Vista/7/8/8.1
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.01(15/05/10)

(石田 賀津男)