やじうまの杜

「Windows 10 S」でLinuxは利用できる? 答えは――

「Windows 10 S」はあくまでも“技術的ではないユーザー”をターゲットとしたSKU

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「Ubuntu」「SUSE」「Fedora」といったLinuxディストリビューションも“ストア”から入手できるように

 先日発表された「Windows 10 S」は「Windows 10」の教育向けバージョンで、“ストア”から入手できる“安全な”アプリのみが動作するのが特徴です。アプリのラインナップ不足が少し不安ですが、UWP化されたデスクトップアプリもサポートされるとのこと。すでに「Spotify」や「iTunes」(!)などが“ストア”から入手できるようになることが発表されているので、あまり心配しなくてよさそうです。「Windows 10 S」の普及が“ストア”アプリの充実にもつながることを期待したいところですね。

 さて、「Ubuntu」「SUSE」「Fedora」といったLinuxディストリビューションも“ストア”から入手できるようになることも発表されていますが、これらも「Windows 10 S」で利用できるのでしょうか? その疑問に、Microsoft社のRich Turner氏が答えてくれています。

 答えは、残念ながら“No”――残念ながら、利用できません。

 「Windows 10 S」のターゲットは、教師・子ども・非技術系学生・コンテンツ制作者など、あくまでも“技術的ではないユーザー”をターゲットとしたSKU(≒エディション)になるそうです。

 「Windows 10 S」は、“ストア”からダウンロード・インストールしたアプリしか実行できません。その多くは、あらかじめ許可されたリソースや機能にしかアクセスできない、非常に制約の厳しいサンドボックス環境で動作することになります。おかげでマルウェアを心配することなく、安全かつ快適に利用できるというわけです。デスクトップアプリを変換して“ストア”から配布できるようにしたアプリはもう少し制限が緩いですが、Microsoftによる審査を受けた一部のパブリッシャーのみのものに限られているので、こちらも比較的安心して使えます。

 つまり、「Windows 10 S」は電源を入れさえすれば高速かつ安定して動作し、しかもマルウェアなどに煩わせられない――そんな環境になっているというわけ。

 Linux環境(WSL:Window Subsystem for Linux)は確かに“ストア”から導入可能ですが、いったんインストールされてしまえば自由にシステムをイジれてしまいます。これは「Windows 10 S」の目的にそぐわないため、無効化されても仕方ないと言えば仕方のないところですね。いろいろイジってカスタマイズしたいユーザーは「Windows 10 Pro」などを購入してくださいというわけですね。

 同様の理由で、「コマンド プロンプト(cmd.exe)」や「PowerShell」の動作もサポートされないようです。開発者・管理者・パワーユーザーにはあまり関係のないSKUになりそうです。