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新生Acrobatで文書業務はどう進化するか ~新機能「PDF スペース」でアドビ、2025年の10大ニュースをまとめてみた

「Acrobat Studio」がもたらす変化を、アドビ社員が徹底解説

 本コーナーでは、アドビ製品に関するナレッジや活用法について、公式ブログ「Adobe Blog」の掲載内容をもとに、アドビの各スペシャリストより直伝していただきます。気になるトピックスはブログ本編もぜひチェックしてみてください。
今回は新しいプラットフォーム「Acrobat Studio」を徹底解説

 PDF閲覧や編集でおなじみの「Adobe Acrobat」に、今年2025年12月、新しいプラットフォーム「Acrobat Studio」の日本語版が登場しました。スタジオと名のつく通り、PDFをはじめとする、文書業務における課題解決をサポートする統合型のプラットフォームになります。

 今回は、Acrobatの製品マーケティングを担当している立川太郎氏が、「Acrobat Studio」および、新機能「PDF スペース」について徹底解説します。

Acrobat Studioがもたらす変化

 従来のAcrobatは、PDFを編集するのが主な役割でしたが、近年はAI技術の発展に伴い、処理する情報量が非常に増えています。と同時に、アウトプットの速度向上も求められています。Acrobat Studioは、スピーディーな情報処理のニーズに応えるものとして生まれました。

新しくなったAcrobatのホーム画面

 新しくなったAcrobatのホーム画面では、PDF編集に加えて、AIが集約した資料の読解をサポートし、分析や考察を深められる「PDF スペース」という新しいワークスペースが利用可能です。さらに「Adobe Express」と連携することで、得られたアイデアをスムーズにコンテンツ制作に移行できるので、文書の読解から編集、コンテンツ作成までを一気通貫で行えるようになります。

新たな情報ハブ「PDF スペース」で、あらゆるファイルを管理

 Acrobat Studioには、新機能「PDF スペース」が追加されています。

 「PDF スペース」には、Acrobat Studioのホーム画面からすぐにアクセスでき、PDF、Word、Excelなど、さまざまなドキュメントをアップロードしてワークスペースとして活用できます。「PDF スペース」はテーマに合わせて複数用意したり、他のユーザーにリンクを共有することも可能です。

 例えば「人事に関する書類」「◯◯のプロジェクトについて」など、テーマごとに必要なファイルを放り込める場所として使えるわけです。

「PDF スペース」の活用例:広報編

 ここでひとつ、アドビの広報部を例として活用方法をご紹介します。

 年末になると「XX年のまとめ記事」といった総括記事が多くみられます。情報の参照元としてプレスリリース(報道機関向け公式文書)に関する問い合わせが広報に入ることがあるわけですが、そうしたときにも「PDF スペース」が役立ちます。

 まず、Adobe Acrobatの「PDF スペース」で、追加したいファイルを選択して読み込ませます。ここでは2025年にアドビから発表された主なプレスリリースを追加しました。

「PDF スペース」には最大100ファイルまで追加可能

 「PDF スペース」にアップロードされたファイルは、自動的にAI アシスタントが要約し、インサイト(洞察、ニーズ)を提案してくれます。

読み込ませた情報をもとに、インサイトが複数示される

 さらにチャット欄で「◯◯について教えて」と入力すれば、AI アシスタントが引用付きの回答を出してくれます。具体的な例を挙げると、今年のニュースを振り返りたいときに「アドビの2025年の10大トピックスを箇条書きでまとめて」と指示すれば、膨大な情報の中から端的に情報を抽出できます。

 「PDF スペース」の独自の強みとして、アップロードした資料をそのままの状態で確認できる点が挙げられます。

 要約時にも引用元の資料と照らし合わせて事実確認ができるので、ハルシネーション(生成AIが勝手に情報を作り出してしまうこと)が発生するといった懸念がなく利用することができます。また、アップロードしたファイルはAIの学習に利用されないので、セキュリティの高い文書の処理にも対応しています。

引用元が明確なため、生成された情報の検証が簡単

 作成した「PDF スペース」は、独自の名前をつけて、指定したユーザーに共有することが可能です。

 受け手は、共有された「PDF スペース」をベースに、AI アシスタントのチャット機能を使って個別に質問をすることが可能になります。この場合、プレスリリースを読み込ませた「PDF スペース」を共有することで、「PDF スペース」がいわば24時間体制で対応可能なバーチャル広報室として機能するわけです。

例:「アドビのプレスリリース2025」24時間広報室(PDF スペース)

PDF編集ツールから、活きた情報を引き出すスペースへ

 「Acrobat Studio」や「PDF スペース」が登場したことで、従来のPDFに抱いていたイメージとは全く異なる活用フローが可能になります。

 PDFは情報を収めるコンテナです。同時に、Acrobat StudioとAI アシスタントによって、静的な文書ファイルから新たなアイデアや企画に直接的に活かす情報を引き出せる、動的な情報資産になり得ます。

 オフィスワーカーにとって、文書を読む行為というのは避けられないものです。その時間を短縮し、得られた情報の共有や整理もスムーズに行う、そうした強力なパートナーとして新生Acrobatをお役立てください。

参考ブログ:「Acrobatの先へ:新登場のAcrobat Studio日本語版で文書業務はどう進化するか、アドビ社員が徹底解説」

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