余裕がないときの心の整え方 特別出張版

上司から無茶なお願い! イライラが抑えられない【禅マインドフルネス】

人間関係が良好になる「あるある」

この集中連載では、医師であり禅僧の川野泰周氏がストレス社会の「あるある」問題の向き合い方について教えてくれる著書『「あるある」で学ぶ 余裕がないときの心の整え方(できるビジネス)』から抜粋した“心が折れるその前に、あなたの心を整える方法”を、心がざわつく年末に、短期集中連載というかたちで忙しいビジネスパーソンの皆さま、家庭を支える主婦の皆さま、将来を模索している学生の皆さまにお届けします。

上司から無茶なお願い! イライラが抑えられない

私、今感情に支配されています?

 仕事を終えて友人との飲み会に行こうとしたら上司から衝撃の一言が。

「明日の会議の資料を作ってほしい! 今日中に仕上げてね」

 急なお願いによって残業確定でイライラ。社内における上下関係はある意味絶対的です。

 会社組織の中で働いていると、時として無茶(※1)な要求を上司から振られることもあります。

 イライラを抱えたままで行動に移すことはよくありません。コミュニケーションが雑になりますし、集中力が途切れがちです。そんなときあなたはマイナスの感情に支配された状態になっているのです。

※1

一説によると、もともと禅とも関わりが深い茶道から派生した言葉。茶道の世界では訪れた客にお茶も出さないことは非礼とされており、そこから転じて「筋道が立たず、道理に合わない」という意味になりました。

イライラを連鎖させるか、手放すか

 人間は感情の動物です。他者のせいで思い通りにいかないとき、自分の努力ではどうしようもないときに、イライラが生まれるのです。問題なのはそのイライラを引きずってしまうこと。

 あなたも一つのイライラから負の感情が連鎖して、どんどんネガティブな気持ちになった覚えはありませんか? いったん負の感情にとらわれると、その連鎖から抜け出すのは容易ではありません。

 マインドフルネスの世界では、瞬間的に感じたイライラや怒りを、そっと心から手放すことを推奨しています。いったんその思いを手放して、目の前の出来事に集中するのです。ここでは怒りの手放し方を教えましょう。

イライラは六秒待て

 怒りの感情と上手に付き合うアンガー・マネジメント理論(※2)では、怒りのピークは六秒と言われています。怒りに満ちたとき、あなたの呼吸は浅くなっていませんか? ゆっくり深呼吸を三回繰り返しましょう。

  • 怒りのピークが過ぎる
  • 意識が負の感情から呼吸に切り替わる
  • 深呼吸は落ち着きを取り戻せる

 以上の効果で思いを手放すことができるはずです。

※2

イライラの感情、すなわち怒りをコントロールすることです。

呼吸は最高のツール

 イライラしているときは、交感神経が優位になっています。交感神経は「戦う神経」であり過剰なストレスを感じたときに優位に働きます。それに対して副交感神経は「休む神経」であり気持ちを緩める働きをします。

 そして呼吸は、意識的に二つの神経を働かせるための唯一のカギなのです。

  • 息を吸う→交感神経を働かせる
  • 息を吐く→副交感神経を働かせる

 深い呼吸で落ち着きを取り戻せるのは、息を吐くことで副交感神経が働くからですね。感情によって呼吸は左右されますが、呼吸によって感情を左右できるのです。呼吸はストレス社会を生き抜く、最高のツールと言えるでしょう。

【POINT!】
思いをいったん手放す
怒りのピークは六秒
深呼吸を三回繰り返す

坐禅会イベントの告知

 11月21日(月)の19時30分に東京神保町にて「心を整えるマインドフルネス坐禅会~東京夜景のなかで禅を体感~」という坐禅会も実施いたしますので、「仕事や人間関係......いろいろ面倒」「最近、疲れてるな......」と感じている方、仕事帰りに夜景の中で体験できる坐禅会に参加してみませんか?

坐禅会概要

日時:2016年11月21日(月)19:30-20:30(19:00受付開始)
場所:インプレスセミナールーム
東京都千代田区神田神保町1-105 神保町三井ビルディング 23階
参加費:1,080円(税込)
定員:30名(先着順)

川野泰周(かわの たいしゅう)

精神科・心療内科医/臨済宗建長寺派林香寺住職

精神保健指定医・日本精神神経学会認定専門医・医師会認定産業医。

1980年横浜生まれ。2004年慶応義塾大学医学部医学科卒業。臨床研修修了後、慶應義塾大学病院精神神経科、国立病院機構久里浜医療センターなどで精神科医として診療に従事。2011年より建長寺専門道場にて3年半にわたる禅修行。2014年末より横浜にある臨済宗建長寺派林香寺住職となる。現在寺務の傍ら都内及び横浜市内にあるクリニック等で精神科診療にあたっている。

うつ病、神経症、PTSD、睡眠障害などに対し薬物療法と並び禅やマインドフルネスの実践を含む心理療法を積極的に取り入れた診療に当たっている。またビジネスパーソン、看護職、介護職、学校教員、子育て世代の主婦などを対象に幅広く講演・講義を行っている。