特集

『朝起きたらOSが勝手にWindows 10になってた!』場合の対処法 後編

意図しないWindows 10へのアップグレードを阻止するツールを紹介

Windows 10から元のバージョンのWindowsへロールバックした環境。「Windows 10 を入手」アプリも復活している

 前編では、意図せずPCがWindows 10へアップグレードされてしまった場合の対処法を解説した。もし利用許諾画面が表示されていた場合は[拒否]ボタンを押せばよいし、1カ月以内であれば「設定」アプリのロールバック機能で元のバージョンのWindows環境を取り戻すことができる。

 しかし、ロールバックした環境には「Windows 10 を入手(GWX)」が依然存在する。これを放置すれば、また意図せずWindows 10へアップグレードされてしまわないとも限らない。もしWindows 10が不要ならば、無効化しておくのがよいだろう。

 Microsoftは、そのための方法を公式に案内している。

 つまるところ、レジストリを編集して“DisableGwx”と“DisableOSUpgrade”というキーを作成し、無効を表す値“1”をセットすればよいのだが、初心者には少し手順が煩雑で、難しいかもしれない。

 そこで、後編ではその手間を軽減するオンラインツールをいくつか紹介しよう。

日本語で利用できるのがうれしい「Windows 10へのアップグレード抑止設定ツール」

「Windows 10へのアップグレード抑止設定ツール」

 まず最初に紹介したいのは、「Windows 10へのアップグレード抑止設定ツール」だ。これは前述のレジストリ操作をGUIで行えるツール。日本発のツールであるため、ユーザーインターフェイスが日本語になっているのがうれしい。最新版にはソースコードが付属しており、処理の内容が確認できるのも安心だ。

レジストリ編集による対策だけでは不安な場合は「GWX Control Panel」

「GWX Control Panel」

 レジストリを編集して「Windows 10 を入手」アプリを無効化する方法は基本中の基本だが、果たしてそれだけでよいのだろうか。たとえば、レジストリを編集した後もアップグレード関連のプロセスが残ってしまっている可能性や、“Windows Update”の配信などをきっかけに「Windows 10 を入手」アプリが再活性化する可能性も否定できない。

 「GWX Control Panel」は、そうした可能性を徹底的に排除することを目的としている。最大の特徴は、バックグラウンドでアップグレード関連の設定が変更されていないかを監視できること。家族とPCを共有している場合などでは、PCに慣れないユーザーが間違ってアップグレードしてしまう危険がないわけではない。そういう場合は、このツールを導入してブロックを徹底したい。

 なお、似たようなツールとして電机本舗が公開している「Windows10アップグレードチェッカー」がある。単体で配布されていないのが難点だが、英語が苦手なユーザーにとっては心強い。

とにかく手っ取り早く無効化したい場合は「Never10」

「Never10」

 一方、『細かい仕組みに興味はない、ワンボタンでサクッと無効化してしまいたい』といった場合は「Never10」がよいだろう。ユーザーインターフェイスのデザインが少しマルウェア風なのが不安を誘うが、利用実績は十分で、お手軽さでは一番といえる。

 また、精力的にアップデートが行われている点も評価できる。最新版では「Windows 10 を入手」アプリがダウンロードしたアップグレード用のファイルを削除する機能が追加されている(この機能は「GWX Control Panel」でも利用可能)。

バランス重視の「GWX Stopper」

「GWX Stopper」

 最後に紹介するのは「GWX Stopper」だ。このソフトは「Never10」の簡便さと、「GWX Control Panel」のような「Windows 10 を入手」アプリの再活性化防止機能の両方を備える。

 なお、本ソフトで「Windows 10 を入手」アプリを無効化すると元に戻すことができなくなるようだ。しかし、元に戻す必要を感じないならば、大きな欠点とはならないだろう。

まとめ

 PCが勝手にWindows 10へアップグレードされてしまい、やろうとしていた作業が中断されたり、慣れた手順が使えなくなってフラストレーションが溜まるというのは理解できる。しかし、Windows 10へのアップグレードを一度体験しておくのはまったくの無駄というわけでもない。

 というのも、同社によれば、無償キャンペーン期間内に一度でもアップグレードを完了したPCは、いつでも再びWindows 10へアップグレードできるようになるのだという。この再アップグレードは、キャンペーン期間が過ぎた後でも無償で行える。つまり、1度でもWindows 10へアップグレードしてしまえば、そのPCは“無償アップグレード権”を手に入れたことになるわけだ(ただし、ディスクの入れ替えなど、PCのハードウェア構成が大きく変わる場合は不明。サポートに問い合わせてほしい)。

 その意味では、アップグレードとロールバックの手間もけっして無駄とばかりは言えない。もし時間に余裕があるのならば、“無償アップグレード権”の入手のついでに、ハードウェアとアプリケーションの互換性を一通りチェックしておくと、後日Windows 10へアップグレードする際に役立つだろう。