特集

『朝起きたらOSが勝手にWindows 10になってた!』場合の対処法 前編

元のバージョンのWindowsへのロールバックする方法を解説

“Windows 10 にようこそ!”画面

 『PCを使おうとしたら、OSが勝手にWindows 10になってた!』

 最近、こうした声がよく聞かれるようになった。

 Windows 10への無償アップグレードを行うアプリ「Windows 10 を入手(Get Windows 10、GWX)」は通常、アプリの[×]ボタンを押して終了させれば、ユーザーの許可なしで勝手にアップグレート処理を行うことはない。

 しかし、「KB3095675」がインストールされた環境では、アップグレードの“予約”が自動で行われることがあるようだ(筆者の環境では未確認)。このアップグレート予約は、単に[×]ボタンを押してアプリを終了させても解除されない上、放置するとWindows 10へのアップグレードが行われてしまう。アップグレードを回避したい場合は、画面の説明をよく読み、手動で取り消し処理を行う必要がある。

 ともあれ、PCが意図せずWindows 10にアップグレードされてしまった場合はどうすればよいのだろうか。本稿では、元の環境へ戻す手順と、その際の注意点を2回に分けて解説する。

“これは法的文書です”→[拒否]!

 PCが“Windows 10 にようこそ!”という画面になっていたら、『ようこそじゃねえよ!』という気持ちを抑え、[次へ]ボタンを押してみよう。

 もし“これは法的文書です”という画面が表示されたら、[承諾する]ボタンではなく、[拒否]ボタンを押す。すると“いいえ、Windows 10 への無料アップグレードを行いません”というダイアログが現れるので、再び[拒否]ボタンを押そう。

 するとOSの再起動が行われ、“以前のバージョンのWindowsへ復元しています”という画面が現れる。しばらく放置すると、PCが以前の環境へ巻き戻される。

“Windows 10 にようこそ!”画面
“これは法的文書です”画面。[拒否]ボタンを押す
“いいえ、Windows 10 への無料アップグレードを行いません”ダイアログ。再び[拒否]ボタンを押す
以前のバージョンのWindowsが復元される

 なお、PCが“Windows 10 にようこそ!”という画面ではなく、スクリーンショットにあるようなアップグレード画面になっていたら、あわててPCの電源を消したりせず、処理が終わるまで待つことをお勧めする。最悪の場合、システムが破壊されてしまうことがある。

アップグレード処理中はPCの電源を切らない

“すぐに使い始めることができます”→セットアップを完了させてロールバック

「Windows 10 を入手」アプリで先にライセンス条項への同意を行っていた場合

 もし「Windows 10 を入手」アプリで先にライセンス条項への同意を行っていた場合は、“これは法的文書です”という画面ではなく、代わりに“すぐに使い始めることができます”という画面が現れる。この画面が表示されている場合は、そのままWindows 10のセットアップを完了させるしかない。

 しかし、「Windows 10 を入手」アプリでアップグレードを行った場合は、1カ月以内であればいつでも元のバージョンのWindowsへ戻すことができる。“これは法的文書です”という画面で[承諾]ボタンを押してしまった場合も、同様の方法でロールバック処理が行えるので参考にしてほしい。

“すぐに使い始めることができます”画面。[設定のカスタマイズ]リンクをクリックしてカスタマイズを行ってもよいが、今回は[簡単設定を使う]ボタンを押して先を急ごう
“はじめまして、Cortana と申します。”画面。[今は実行しない]リンクをクリック
“新しい Windows 用の新しいアプリ”画面。[次へ]ボタンを押して先を急ごう
Windows 10のロック画面が現れる
ロックを解除するとログイン画面が現れる
初回起動時に行われる初期化処理。PCの電源を切らないようにしよう

 無事Windows 10が使えるようになったら、次はロールバック処理だ(もし余裕があれば、ロールバックを行う前にWindows 10を一通り試したり、念のためデータのバックアップを取っておくなどしておくとよいだろう)。

 ロールバック処理のためのコマンドは、[設定」アプリの[更新とセキュリティ]欄に用意されている。まず画面左下にあるWindowsロゴボタンを押してスタート画面を開き、[設定]メニューをクリックする。すると、[設定]アプリが起動する。

画面左下にあるWindowsロゴボタンを押してスタート画面を開く
[設定]アプリを起動

 続いて、[更新とセキュリティ]ボタンをクリック。画面が遷移したら、左ペインにある[回復]欄を選択しよう。

 すると、右ペインに“Windows 7 に戻す”(元のWindowsがWindows 7であった場合)というセクションが表示されている(クリーンインストールした場合は現れない)。あとはそこにある[開始する]ボタンを押せば、ロールバック処理が始まる。

[回復]欄。“Windows 7 に戻す”セクションにある[開始する]ボタンを押すとロールバック処理が始まる

 ロールバック処理は案内に従って進めていくだけで終わる。多少時間がかかる場合もあるが、特に難しい操作はない。

“更新プログラムをチェックしますか?”画面。今回は[チェックしない]ボタンを押す
“知っておくべきこと”画面。Windows 10へのアップグレードの直後にロールバックを行う場合は関係ない
“ロックアウトされないようにご注意ください”画面。元のバージョンのWindowsのパスワードを忘れてしまった場合は、ここから先へ進まないほうがよい
“Windows 10 をお試しいただきありがとうございます”画面。ここから先はロールバック処理となる
ロールバック処理の画面。PCの電源を切らないように
元のバージョンのWindowsのログイン画面

 ただし、元の環境のパスワードが必要になるので注意。もし忘れてしまった場合は、環境を復元してもログインできなくなる。Windows 10環境でデータをバックアップした後で、元のバージョンのOSを再インストールするしかない。この件に限らず、OSのパスワードはしっかり覚えておきたいところだ。

まとめ

ロールバック処理で復元した元の環境

 さて、ロールバック処理はうまくいっただろうか。よほどトリッキーな運用でもしていない限り、ユーザーデータが失われることはないはず。元の環境をそのまま取り戻せるはずだ。

 しかし、「Windows 10 を入手」アプリまでしっかり復元されてしまっているのはなんとかしたいところ。このまま放置していれば、また意図せずWindows 10へアップグレードされてしまわないとも限らない。アップグレードの勧誘画面を非表示にする、Windows 10へのアップグレードを無効化しておくといった処置を講じておくのがよいだろう。

 そこで弊誌で明日掲載予定の後編では、この「Windows 10 を入手」アプリをブロックする方法を案内する。