特集

ポッキーでプログラミング? 多彩な子供向けプログラミング学習ツールが大集合

“第3回G7プログラミングラーニングサミット”レポート(後編)

“プログラミング教育明日会議”の教材研究ブースの様子

 2017年8月22日、早稲田大学西早稲田キャンパス63号館において、“第3回G7プログラミングラーニングサミット”が開催された。

 本イベントは、早稲田大学グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所および(株)フジテレビKIDSの産学協同プロジェクトとして、世界各国のプログラミング学習ツールを紹介し、それらのツール群を体験ならびに比較調査するために開催されているものであり、今回が第3回目の開催となる。

 前編では、“第3回G7プログラミングラーニングサミット”のワークショップと体験・展示ブースの様子をレポートしたが、後編では併催イベントである、一般社団法人みんなのコード主催の“プログラミング教育明日会議”とP-kies Club主催の「ぼうしロボ」ワークショップも様子をレポートする。

グリコの「GLICODE」など10社が多彩なプログラミング学習のための教材を展示

 “プログラミング教育明日会議”は、講演部屋(201号室)と教材研究部屋(202号室)、模擬授業部屋(203号室)の3つの部屋を使って開催されたが、ここではさまざまなプログラミング学習のための教材が展示されていた202号室の様子を紹介する。

江崎グリコ(株)が展示・デモしていた「GLICODE」。ポッキーを並べてプログラミング学習ができるというユニークな教材だ。本物のお菓子を使えない小学校でも、ポッキーのカードを使って学習できる

 202号室のスペースはかなり広く、全部で10のブースが設けられていたが、混雑することなくゆっくりと見ることができた。江崎グリコ(株)は、お菓子のポッキーでプログラミングを学習できるというユニークな教材「GLICODE」の展示やデモを行なっており、注目を集めていた。

 「GLICODE」では、タブレットやスマートフォンで動作する無料アプリを利用する。アプリを起動して、ミッションを確認したら、ポッキーを白い紙の上に並べる。ポッキーを上下左右の方向に置くと、チョコレートのついてる方向に進めという命令となり、ハの字に並べると、その間の命令を繰り返せという命令になる。並べたポッキーを、スマートフォンやタブレットの内蔵カメラで撮影すると、自動的にブロックプログラムに変換される。“ハグハグ”というキャラクターを動かして、ゴールの女の子のところまで連れていけばクリアだ。

「GLICODE」は、タブレットやスマートフォンで動作する無料アプリとポッキーを利用する。アプリの操作も簡単だ
このようにポッキーを白い紙の上に並べる。チョコレートのついてる方向に進めという命令になる
並べたポッキーをカメラで撮影すると、自動的にブロックプログラムに変換される(左側に表示される)
プログラム通りにハグハグというキャラクターが動く。ゴールの女の子のところまで連れていけばクリアだ
(株)ナリカは、「レゴWeDo 2.0」や「教育版レゴ マインドストームEV3」の展示を行なっていた

 (株)ナリカは、「レゴWeDo 2.0」「教育版レゴ マインドストームEV3」に関する展示やデモを行なっていた。「レゴWeDo 2.0」を使って製作された自動トイレの模型や「教育版レゴ マインドストームEV3」を使って製作された宇宙エレベーターの模型が展示されており、宇宙エレベーターは実際にテザーと呼ばれる細長い布をタイヤで挟んで、昇降するデモが行なわれていた。

「レゴWeDo 2.0」で作成した自動トイレの模型
こちらは「教育版レゴ マインドストームEV3」を使って製作された宇宙エレベーターの模型
【宇宙エレベーターの動作の様子。上に達するとアームを開いて荷物を下ろし、また下に降りていく】
「教育版レゴ マインドストームEV3」を使って製作された宇宙エレベーターの動作(“第3回G7プログラミングラーニングサミット”レポート)

 中国のUFACTORY社は、学習用アームロボット「uArm」の展示を行なっていた。「uArm」は、先端のユニットを交換できることが特徴である。デモでは吸盤で吸着するユニットが装着されていたが、他のユニットに交換することで、さまざまな応用が可能になる。

中国のUFACTORYは、学習用アームロボット「uArm」の展示・デモを行なっていた
「uArm」は先端のユニットを交換することで、さまざまな応用が可能だ。このデモでは、吸盤で吸着するユニットを装着している
【「uArm」の動作の様子】
学習用アームロボット「uArm」の動作(“第3回G7プログラミングラーニングサミット”レポート)

 同じく、中国のMakeblock Co., Ltd.は、STEM教育用ロボット「mBot」と新製品の教育用ドローン「Airblock」を展示していた。「mBot」は、低価格で高機能なことから、日本を含む各国の教育機関で採用されている。「Airblock」は、プログラムによる飛行が可能なほか、羽根の部分がモジュール構造になっていることが特徴であり、水に浮いて進む、ホバークラフト形態に組み替えることもできる。

中国のMakeblockは、STEM教育用ロボット「mBot」を展示していた。「mBot」は多くの教育機関で採用されており、低価格ながら多くのセンサーを搭載しているため、さまざまな応用が可能だ
こちらはMakblockの新製品「Airblock」。プログラムによる飛行が可能な教育用ドローンであり、ホバークラフト形態に組み替えることもできる
(株)アフレルも「レゴWeDo 2.0」「教育版レゴ マインドストームEV3」の展示を行なっていた

 その他、「Minecraft: Education Edition」「プログル」「ルビィのぼうけん」「アルゴロジック」の展示やデモも行われていた。

日本マイクロソフト(株)は、「Minecraft: Education Edition」を使ったプログラミングの展示やデモを行なっていた
第3回G7プログラミングラーニングサミットの「Minecraft」のワークショップと同じく、“MakeCode”を使ったプログラミングを実演していた
一般社団法人 みんなのコードは、教科学習に特化したプログラミング教材「プログル」の展示とデモを行なっていた
現時点では、多角形コースと公倍数コースの2つのコースが用意されている。こちらは多角形コースである
(株)翔泳社は、PCや機器を使わないアンプラグドなプログラミング教育支援教材「ルビィのぼうけん」の展示とデモを行なっていた
JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)は、アルゴリズムを学習できるパズルゲーム「アルゴロジック」のデモを行なっていた

iPhoneでくちばしや鼻などを動かすことができる「ぼうしロボ」のワークショップが人気

 フジテレビKIDSが運営する「P-kies Club」主催の「ぼうしロボ」のワークショップも親子連れに大人気であった。「ぼうしロボ」とは、ぼうしを自由にデコレーションし、くちばしや鼻などをサーボモーターで動かせるロボットで、子ども達は目を輝かせて製作に取り組んでいた。オリジナリティあふれた「ぼうしロボ」を作る作り上げていた。サーボモーターのケーブルをiPhoneのヘッドホン端子に接続することによって、専用アプリでサーボモーターを制御できるようになる。

「ぼうしロボ」ワークショップの様子。さまざまな材料が与えられ、好きなデザインの「ぼうしロボ」を作ることができる
サーボモーターをぼうしに取り付けているところ
参加者全員で記念撮影。参加者はそれぞれオリジナリティにあふれた「ぼうしロボ」を作っていた

 iPhoneの画面を指でスライドさせると、その動きに応じてサーボモーターに取り付けたくちばしや鼻などが動くという仕組みだ。パーツの取り付けにはグルーガンが使われていた。グルーガンを使うのは初めてという子どもも多かったようだが、すぐに慣れて、世界にひとつだけの「ぼうしロボ」を作り上げていた。ワークショップは2時間であったが、夢中で製作している子ども達にはあっという間に感じたようだ。最後に自分で作った「ぼうしロボ」をかぶって笑顔で記念撮影をして、ワークショップは終了した。

【「ぼうしロボ」の動作の様子。iPhoneの画面を指でスライドさせると、サーボモーターが動き、くちばしが開閉する】
くちばしや鼻などをサーボモーターで動かせるロボット「ぼうしロボ」の動作(“第3回G7プログラミングラーニングサミット”レポート)