ニュース
マルチプロセス技術“e10s”が導入された「Firefox 48」が正式版に
ユーザーインターフェイスやセキュリティの改善、脆弱性の修正なども
2016年8月3日 11:50
Mozillaは3日、Webブラウザー「Firefox」の最新安定版v48.0を公開した。Windows/Mac/Linuxなどに対応する寄付歓迎のフリーソフトで、現在MozillaのWebサイトからダウンロード可能。Windows版は窓の杜ライブラリからもダウンロードできる。
「Firefox 48」の注目点は、“Electrolysis(e10s)”が導入されたこと。“e10s”は、これまで単一であった「Firefox」のプロセスをユーザーインターフェイスとコンテンツで分離することで、アプリケーション全体の応答性改善を図る技術。万が一に一部のプロセスがフリーズしても、他の部分への影響を最小限に抑えることができる。「Firefox」の歴史においてもっとも大掛かりな技術的変更のひとつであるといえるだろう。
ただし、本バージョンの段階で“e10s”が利用可能になるのは全ユーザーの1%に留まるという。これは安定性を優先させるためで、問題がなければ徐々に“e10s”の利用を拡大させていく予定であるという。手元の「Firefox」で“e10s”が有効であるかどうかは、“about:support”画面で確認できる。
また、「Firefox 48」ではユーザーインターフェイスの改善がいくつか盛り込まれている。
まず、ロケーションバーのデザインが改善され、検索キーワードを入力した際に表示されるプルダウンが2列表示から1列表示へと改められた。プルダウンの表示幅も拡大され、一度に表示できる検索候補の件数も増えている。また、ブックマークや開いているタブを検索結果に表示する際は、それを示すアイコンが表示されるようになった。
もう一つの改善は、アドオン画面(about:addons)の“アドオン入手”パネルだ。デザインが改善されてアドオンの紹介がより魅力的になっただけでなく、トグルボタンをON/OFFするだけで簡単にお勧めのテーマや拡張機能を導入できるようになっている。
セキュリティ面ではダウンロード保護機能が改良され、危険なソフトや望ましくないソフトをダウンロードした場合に警告が表示されるようになった。また、ダウンロード保護機能の挙動をコントロールするためのオプションが設定画面に追加された。
開発者向けの改善では、“WebExtensions”の実装が安定版になったことやメモリツールにツリーマップ表示機能が追加されたこと、エラーコンソールが廃止されブラウザコンソールを利用するようになったこと、コンソールパネルで通信の詳細を見られるようになったことなどがトピック。また、Mozillaによって検証・署名されていないアドオンは読み込まれなくなったのも注意点だ。
なお、本バージョンでは23件の脆弱性が修正されている。深刻度の内訳はMozillaの基準で4段階中最も高い“最高”が3件、2番目に高い“高”が7件、3番目に高い“中”が11件、最も低い“低”が2件となっている。