レビュー

キーボード操作だけで扱えるシンプルな汎用定型文入力ツール「Snips」

テキストボックスに加え「コマンド プロンプト」に対応。ポータブルアプリなのも魅力

「Snips」v1.1

 「Snips」は、シンプルな汎用スニペットツール。Windowsに対応するフリーソフトで、編集部にてWindows 10で動作を確認した。“GitHub”のプロジェクトページからダウンロードできる。

 再利用のためにコードの断片を保存した“スニペット”の管理・挿入ツール。あらかじめ登録した定型文をキーボード入力のみでテキストボックスへすばやく挿入することが可能で、時候の挨拶などの定型文入力にも使える。さまざまなWindowsアプリケーションと連携できる汎用性の高さが特徴で、「コマンド プロンプト」までサポートされているのは珍しい点と言えるだろう。

 また、インストール不要のポータブルアプリになっているだけでなく、設定ファイルやスニペットがプレーンテキストで管理できるのも利点。USBメモリに入れて運用してもよいし、クラウドストレージを介して複数の環境で設定を同期して利用してもよいだろう。

 本ソフトはタスクトレイ常駐型になっており、初期設定では[Ctrl]+[`]キー(日本語キーボードでは[Ctrl]+[Shift]+[@]キー)でスニペット管理画面を呼び出せる。このホットキーになじめない場合は、設定ファイル“snips.ini”を編集することで変更することも可能。本ソフトはキー入力を自動化するツール「AutoHotkey」がベースとなっており、同ソフトのキー入力記法がそのまま利用できる。

 スニペット管理画面は、検索ボックスとスニペットのツリービューから成っている。この画面は呼び出すと最初から検索ボックスにフォーカスが当たっているので、そのままキーワードを入力すればスニペットを絞り込み検索できて便利。あとは目的のスニペットを選択し、[Enter]キーで確定させれば、アクティブなテキストボックスにスニペットが挿入される。

ホットキーでスニペット管理画面を呼び出す
検索ボックスにキーワードを入力してスニペットを絞り込み検索。管理画面を呼び出すと、すでに検索ボックスにフォーカスが当たっているので、スムーズに絞り込みに移れる

 一方、ツリービューはアプリケーションフォルダーにある“snips”フォルダー以下の階層をそのまま反映している。スニペットをテキストファイルに保存して好みのフォルダーへ配置し、タスクトレイアイコンの右クリックメニューにある[Reload]ボタンで再読み込みすれば、追加したスニペットがツリービューに現れるはずだ。検索ボックスからツリービューへフォーカスを移すには、下矢印キーが利用可能。あとは上下左右の矢印キーを利用してツリーをたどり、目的のスニペットを選択して[Enter]キーを押せばよい。

 なお、“snips”フォルダー以下のフォルダー名・ファイル名には日本語も利用できる。しかし検索の利便性を考えれば、英数字のみで管理する方がよいだろう。また、スニペットには最後の行に“<<-(数字)”というコマンドを記述しておくことが可能。これは“スニペットの挿入後に、末尾から(数字)個だけカーソルを戻す”ことを意味している。たとえば、

<strong></strong>
<<-10

 というスニペットを利用すれば、挿入後にHTMLの“strong”タグの中にカーソルがセットされる。うまく活用すれば、さらに入力効率を高めることができるだろう。

 本ソフトはオープンソースで開発されているので(ライセンスは“GNU GPL v3”)、便利なスニペットを思いついたならばプロジェクトに提案してみてはどうだろうか。もしリクエストが受け入れられれば、プリセットに含めてもらえるかもしれない。

スニペットは“snips”フォルダー以下でに保存。フォルダーとプレーンテキストで管理するシンプルなスタイルだ

ソフトウェア情報

「Snips」
【著作権者】
Ethan Piliavin 氏
【対応OS】
Windows(編集部にてWindows 10で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.1(17/01/16)