レビュー
シンプルこの上ないMarkdownエディター「Typora」
編集画面とプレビュー画面が1つに。スムーズな使い勝手も魅力
2017年10月13日 06:00
「Typora」は、シンプルこの上ないMarkdownエディター。Windows/Mac/Linuxに対応しており、編集部にてWindows 10で動作を確認した。本ソフトの公式サイトからダウンロードできる。現在はベータ版につき、無償で利用できる。
本ソフトの特徴は、Markdown記法のテキスト編集と変換後のHTML文書のプレビューが1画面で行えること。Markdownエディターは編集画面とプレビュー画面の2ペイン構成になっているのが普通だが、「Typora」はその2つを1つの画面に統合し、入力したMarkdownテキストを逐次その場でスタイリングしていく仕組みで、最近はすっかり死語になってしまった“WYSIWYG(見たままが得られる)”を実現している。2つの画面を目で行ったり来たりする必要がないという快適さもさることながら、ツールバーなどのユーザーインターフェイスを極限まで削ぎ落してることも相まって、見た目にもシンプルな印象を与える。
かといって使い勝手が失われているわけではない。むしろ、スムーズな使い勝手に注力されているのも「Typora」の特徴と言えるだろう。たとえば、各種キーボードショートカットをサポートしており、カスタマイズも自由に行えるほか、画像ファイルはドラッグ&ドロップ操作で追加することも可能。オートセーブとリカバリーをサポートしているのも心強い。
そのほかにも、編集位置を常に真ん中に表示する“タイプライター”モードや、編集行のみを明るく残して他の部分は暗くする“フォーカス”モードを搭載。カスタムCSSによるスタイリングの変更や、テーマ機能による見栄えのカスタマイズにも対応している。
また、初期状態では隠されているが、ステータスバー左端の丸いボタンを押せばファイルリストやアウトラインを表示するサイドバーへアクセスできる。さらにその右隣にあるボタンを押せば、Markdownコードを見ることが可能。「Typora」では基本的にMarkdownコードが隠蔽されているが、あえてコードを閲覧したい場合や、コードをコピー&ペーストしたい場合などはこのボタンを押すとよい。
肝心のMarkdown記法は、もっとも広く使われていると思われる方言“GitHub Flavored Markdown(GFM)”を採用している。そのため、URLの自動リンクや“~~”による打ち消し、“```”によるコードブロック表現、コードのシンタックスハイライト(構文色分け)、表(テーブル)、タスクリストなどが利用可能。そのほかにも、静的サイト生成システム「Jekyll」などで利用される“YAML Front-matter”、「Tex」風の数式表現の埋め込み、目次(TOC)の生成・埋め込み、添え字、上付き文字、ハイライトなどを独自にサポートしている。ただし、一部記法は初期状態で無効化されているので注意しよう。
なお、HTML文書への変換処理はコマンドラインツール「Pandoc」を利用する仕組み。[Help]-[Install and Use Pandoc]メニューで用意されているマニュアルは英文だが、基本的に最新版をインストールしてOSを再起動するだけなので難しくないだろう。「Pandoc」が導入されると、HTML文書のほかにも「Microsoft Office」や「TeX」など対応する形式のドキュメントをインポート・エクスポートできるようになる。
ソフトウェア情報
- 「Typora」
- 【著作権者】
- ABNER 氏
- 【対応OS】
- Windows/Mac/Linux(編集部にてWindows 10で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト(ベータ版につき)
- 【バージョン】
- 0.9.37 (beta)