レビュー
テンポのよいサイドビュー・タッグバトルが魅力のRPG「Recovery Pain 序」
攻撃・支援担当の連携がポイント。体勢を整え、連続攻撃でたたみかけろ!
(2015/3/31 11:00)
「Recovery Pain 序」は、独自の戦闘システムが特徴のファンタジーRPG。フリーゲームとして公開されており、作者のWebサイトからダウンロードできる。
主人公は、半年より前の記憶がない男“リベルテ”。ギルドの仕事を請け負いながら暮らしていたが、同じく記憶がない少女“ポプリ”と出逢い、やがてある事件を経て旅立つことになる。本作は開発中の作品「Recovery Pain」の序章にあたるもので、プレイ時間は2~3時間ほど。セーブデータは完成版に持ち越し可能となる予定だ。
本作の一番の特徴は、独自システムによるサイドビューバトル。同時に戦う敵は1体で敵味方が交互に行動するシンプルな作りだが、1ターンに複数回行動できる点や、攻撃担当のリベルテと魔法支援を行うポプリがタッグを組むことにより、独特の戦術性を生み出している。
ポイントとなるのは、1ターンごとの行動回数。回数が残っている限り、通常攻撃や特技、魔法による能力アップや回復といった行動を自由に行えるが、魔法を使うには行動回数を1回使って魔力を溜める必要がある。とくに回復魔法は溜めた魔力に応じて威力が上がり、3つ溜めると状態異常も回復可能だ。
溜めた魔力は次のターンへ持ち越せるため、いざという時のため余裕のあるうちに魔力を溜めておくなど、限られた行動回数を攻撃と支援へどう割り振るかが戦術の要。また、攻撃を回避されると行動回数が残っていてもターンが終了してしまう。強力な特技ほど命中率は低い傾向にあるので、特技の使用に必要なMPのやり繰りも含め、連続攻撃をどう組み立てていくかも考え所だ。
戦闘コマンドはカーソルキーと決定ボタンの組み合わせで即座に実行、攻撃・支援担当の切り替えもキャンセルボタンにより一瞬で行える。攻撃演出も派手ながらスピーディでキレがよく、戦闘は非常にハイテンポ。エンカウント方式はランダムだが、ザコ戦からは100%逃げることができ、戦闘開始・終了もほぼノーウェイトなのでストレスはない。
一方で敵も複数回行動してくるので、油断すると大ダメージを食らうことも。まれに出現する強敵やダンジョンのボスとの戦いでは、一手ごとに考え込むような死闘を味わえる。ザコ戦はサクサク、強敵・ボス戦はじっくりというメリハリの利いたバトルが本作の大きな魅力だ。戦闘ボイスによる演出も賑やかで、戦闘開始・終了時に挟まれるリベルテとポプリの掛け合い台詞はバリエーションもあって楽しめる。
自由度の高いキャラクター育成も特徴。レベルはなく、敵を倒すと入手できる“SP”を割り振りって、LP(HPに相当)やMP、攻撃力や防御力、行動回数などを個別に上げたり特技を習得できる。行動回数を上げるメリットが大きいゲームだが、行動回数を上げるために必要なSPは徐々に増えていくほか、武器や防具などの装備品には重さがあり、装備すると重さの分だけ行動回数が下がる。強い装備品ほど重いので、行動回数とどちらを重視するかなどの戦略が必要となってくる。
移動中にジャンプできることを活かしたフィールドなどダンジョンにも特色があり、ひとつひとつのダンジョンは短めでゲームの進行自体もテンポがよい。シナリオ面では、本筋はシリアスなストーリーだがキャラクターの掛け合いにはギャグ調のものも多く、パーティで会話するスキットもあり旅路を盛り上げてくれる。また本作はマルチシナリオ型となっており、序章の段階でもプレイヤーの選択により物語に大きな分岐が発生する。どちらのルートでもこの先どうなるのか大いに気になる展開となっており、完成版の公開も楽しみな作品だ。
ソフトウェア情報
- 「Recovery Pain 序」
- 【著作権者】
- 雪花香 氏
- 【対応OS】
- Windows(編集部にてWindows 7/8.1で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.17(15/03/31)