レビュー

来年の干支、サルの姿も。浮世絵に描かれた動物のベクター画像素材

歌川芳虎の“新板けだもの尽”を元に、当時の風習を垣間見れる

データの配布サイト

 “26 Free Vector Animal Graphics - Ukiyo-e-SVG”は、幕末期にかけて活躍した浮世絵絵師歌川芳虎の“新板けだもの尽”を元に、馬や虎、猫といった26種類の動物をベクター画像にしたデータ。Creative Commons Attribution 3.0 LicenseのCC BY 3.0にもとづいて提供されており、無償でダウンロード可能。

 本データはSVG形式のベクター画像として提供されており、対応するビューワーで閲覧することで、倍率に関わらず高い鮮明さを保ったまま画像を楽しめる。収録されている画像には今日の常識に照らしあわせても違和感のない狸や狐などが浮世絵らしいデフォルメされた姿で描かれている。

 さらに、鼻が長いという現実の特徴をなぞりつつも牙を生やした獏のように、当時の日本では存在こそ伝わっていたものの、実際人々の目に触れることのなかったであろう生き物が、伝承や推測を元に描かれているのが面白い。麒麟なども、動物園で見かけるキリンではなく、ビールのラベルでお馴染みの伝説上の生き物が描かれている。

ベクター画像なので切り取っても鮮明さは変わらないのが嬉しい

 また、「Inkscape」など、ベクター画像の編集に対応するソフトを用いれば、個別の動物を抜き出すことができる。来年の干支であるサルも登録されているので、年賀状に浮世絵の世界からやってきたサルを登場させるのも良いかもしれない。

(市川 祐吉)