#モリトーク

明らかになった新Twitter APIの全貌

(12/09/11)

 前回の第23話ではTwitter APIの新仕様であるv1.1をおさらいし、Twitter社が十分な情報を開示していないことが混乱の原因になっていると解説した。その後、Twitter社が現地時間の9月5日にv1.1の詳細を公開したので、前回の記事で情報不足だった点を中心にまとめてみよう。

リクエストの種類ごとに示される新仕様(開発者向けページより引用)リクエストの種類ごとに示される新仕様(開発者向けページより引用)

 まずはリクエストの回数制限。リクエストの種類ごとに1時間あたり最大60回または720回ということだったが、15分あたり最大15回または180回へと変更されている。1時間あたりに換算すれば同数だが、短時間にリクエストを集中させることは不可能になった。この制限の対象となるのは“GET”と呼ばれるタイプのリクエストであり、たとえばタイムライン・ダイレクトメッセージ・リストの表示、ツイート・ユーザーの検索などがこれに該当する。

 このうち最大180回まで許されるリクエストは、ツイート・ユーザーの検索、個別ツイートの表示など、7種類しかない。ただし救済手段も用意されており、タイムラインの表示をはじめとする、“Streaming API”対応のリクエストであれば、接続が切れない限りは1回のリクエストで済む。また、“GET”リクエストの回数制限はユーザー単位ではなくアプリケーション単位で適用されるため、複数のクライアントを切り替えれば、ユーザー単位での最大リクエスト回数は増えることになる。

 一方、ツイート投稿などの“POST”と呼ばれるタイプのリクエストは、ユーザー単位で回数制限が適用される。その最大回数は明確に示されていないが、Twitterのヘルプページには以前から、ツイートの投稿はリツイートも含めて1日あたり最大1,000回、ダイレクトメッセージの送信が1日あたり最大250回であると表記されていたので、おそらくこれを引き続き採用するということなのだろう。

モバイル環境向けのツイート表示例(開発者向けページより引用)モバイル環境向けのツイート表示例(開発者向けページより引用)

 ツイート表示のルールは“Guidelines”から“Requirements”へと昇格し、モバイル環境上での例が示された。これもやはりTwitter公式サイトに準拠するものとなっており、デスクトップ環境上のそれも含めて10月5日から有効になるようなので、猶予期間が1カ月を切っている。ただし、API v1.1の正式な開始は来年の3月5日からとなっているため、ルールから外れた場合に下される制裁がどちらの日付から始まるのかは判断がつかない。

 そして、クライアント限定の制限である、10万人のユーザー数制限については、それがクライアントだけを対象にしたものであることを強調した上で、ユーザー数が10万人を超える場合に必要とされる承認の詳細は依然として明らかにしていない。そのなかでTwitter社は、サードパーティ製クライアントを『the small number of clients』『the small set of clients』と表現し、軽視とも取れる発言をしている。このままでは開発者の不安は拭えず、クライアント開発への新規参入も遠のいてしまうだろう。とくにWindows 8の発売を控えるWindows環境では、“Windowsストアアプリ”でTwitterクライアントの開発が盛り上がる可能性もあったため残念でならない。

(中井 浩晶)