#モリトーク
第71話
電源プランで楽しむ節電
(2013/9/3 10:29)
東日本大震災が発生した直後、Windows環境でも節電の重要性が高まった。しかし、あの日から2年半、その意識が薄れてしまった人も多いのではないだろうか。窓の杜が先週のレビュー記事で取り上げた「Full Throttle Override」を試しながら、そんなことをふと思い出した。
「Full Throttle Override」はCPUをフルパワーで動作させるツールであり、省電力とは無縁のように思えるが、使い方によっては節電にも貢献する。
Vista以降のWindowsには、“バランス”“高パフォーマンス”“省電力”という3つの電源プランが標準で用意されており、その切り替えによってCPUのパフォーマンスと消費電力が変化する。たとえば、ハードウェアモニター「HWiNFO」でCPUの動作を監視すると、各電源プランの特性がわかってくる。
“バランス”では、CPUの動作周波数が負荷に応じて最大値から最小値まで自動的に切り替わる。一般的な用途であれば、CPUの省電力機能が効果的に働くため、パフォーマンスと省電力性を両立させることが可能だ。
“高パフォーマンス”はCPUの動作周波数を積極的に上昇させる。高負荷時の処理能力は“バランス”でも“高パフォーマンス”でもほとんど変わらないが、負荷が変化するときの即応性は“高パフォーマンス”のほうが有利だと考えればよい。ただし、ターボ機能がCPUに搭載されている場合、“高パフォーマンス”ではその作動率が上がるため、“バランス”のときよりもさらに即応性は高まる。
“省電力”は“高パフォーマンス”と正反対に、CPUの動作周波数を可能な限り上昇させない。バッテリー駆動時などに節電を優先したいときはもちろん、放熱ファンの騒音を抑えたいときにも“省電力”が便利だ。
「Full Throttle Override」を利用すれば、手動または自動で電源プランを“高パフォーマンス”へ切り替えたり、CPUの動作周波数を強制的に上限値へ引き上げることができる。そのため、“バランス”または“高パフォーマンス”を選択した状態で「Full Throttle Override」が働くと、即応性は高まるものの、無駄な消費電力も増える。
一方、“省電力”と「Full Throttle Override」を組み合わせたときには、おもしろい効果が得られる。“省電力”では、CPUの動作周波数が上限値に達することは稀で、CPUのターボ機能もほとんど作動しない。そこで、Webブラウジングなどの軽作業を“省電力”環境でこなし、処理が重いアプリケーションを使用するときだけ、「Full Throttle Override」でCPUの動作周波数を開放すれば、パフォーマンスと省電力性のメリハリを最大化することができる。
節電といえば、面倒なイメージが強い。しかし、OS任せだった電源管理にオンラインソフトを加えれば、それも楽しみへと変わるだろう。