知られざるNASアプリの世界

 第4回

月額無料の「クラウド音楽」をNASで実現!ハイレゾ音楽も再生OK

大量の音楽ファイルも余裕で格納

月額0円で「クラウドで音楽再生」そしてハイレゾ再生も

ASUSTORのNASアプリは専用の「AppCentral」からインストールする。用意されているアプリは200近く
ASUSTORはASUSグループのNASメーカー。写真は2ベイの個人向けミドルレンジモデル「AS3102T

 近頃、iTunes MatchやGoogleミュージックのような、クラウド上の音楽ファイルをストリーミング再生できるサービスが増えています。

 何万曲というライブラリがある場合、すべての曲をデバイスにダウンロードして持ち歩くのは、容量面でも現実的ではありません。その点、クラウド上に音楽ファイルを置けば、モバイル回線を経由していつでもどこでも全ての音楽を聴くことができます。ストリーミングだけでなく、電波の入りにくい場所などではあらかじめダウンロードしてオフラインで聴くこともできます。

 もっとも、これらのクラウド音楽サービスは毎月決まった費用がかかってしまいますし、“アップロードした”と思っていた音楽ファイルがアップロードされていなかったり、またサービスがダウンしていてアクセスできないといったことも起こり得ます。またiTunes Matchのように、iOS以外では利用できないサービスも存在しています。

 その点、ASUSTOR NASがあれば、自宅のNASに保管したオリジナルの音楽ファイルをそのままストリーム再生できるので、月額料金もかかりませんし、“アップロードされていなかった”というトラブルも起こり得ません。容量も自由に拡張できるので、クラウド音楽サービスの利点はそのままに、さらに一歩先を行く活用ができます。iOS/Android両方のアプリが用意されているのも、利点と言えるでしょう。

 また、いわゆる“ハイレゾオーディオ”の再生やテレビを使った再生なども可能です。

 ASUSTOR NASをアプリで活用していく本連載、「クラウドストレージ」「ブログ」「動画」に続く今回は、音楽ファイルをいっそう便利に扱える、ASUSTOR NASの音楽アプリをチェックしていくことにしましょう。

知られざるNASアプリ:記事一覧
第1回:クラウドストレージ編:OneDriveの容量対策にも! オンラインストレージアプリを使ってみよう!
第2回:ブログ作成編:「自分ブログ」をNASで簡単に作ってみよう、世界標準「WordPress」をインストール
第3回:動画アプリ編:スマホの容量不足も解消OK?NASの動画アプリを使ってみよう
第4回:音楽アプリ編:月額無料の「クラウド音楽」をNASで実現!ハイレゾ音楽も再生OK
第5回:テレビ録画編:「テレビ録画の容量不足」をNASで解決、nasneとNASで録画し放題!
第6回:そのほか編:CD/DVDドライブをNASで共有!PCに無くてもDVDを再生可

まず入れたいメディアプレイヤーアプリ「SoundsGood」ストリーム再生やブラウザーからの再生も

「SoundsGood」。ASUSTOR NASで音楽を楽しむのであれば、まずは何はなくともインストールしておきたいアプリです

 一般的にNASに保存した音楽ファイルは、PC上からメディアプレイヤーソフトを使って再生します。しかし、せっかくASUSTORのNASを使うのであれば、アプリをインストールし、Webブラウザーから再生したり、スマホからの再生を可能にしたりと、幅広く活用したいものです。

 まず最初にNASにインストールすべきなのは、「SoundsGood」というアプリです。

 これをインストールすれば、NASの“Music”フォルダーに保存した音楽ファイルを、PCのブラウザー上から再生できるようになります。アーティストやアルバム、ジャンルなどで呼び出せるほか、プレイリストを作成するなど、メディアプレイヤーと同等の機能を備えています。

初期設定では、NASの“Music”フォルダーに保存されている音楽ファイルが読み込まれ、再生が可能になります
スマホアプリ「AiMusic」を使えばこれらNAS上の音楽ファイルをリモートで再生できます。自宅内LANから接続するには、[自動検出]ボタンをタップします

 さらにこの「SoundsGood」の利点として、スマホやタブレットからもストリーム/ダウンロード再生できるようになることが挙げられます。スマホで再生するには、専用アプリ「AiMusic」をスマホにインストールして使用します。iOS用とAndroid用があり、どちらの環境でも使えます。PCのブラウザーからアクセスしている時と同様、プレイリスト作成機能なども利用できます。

 また、前回の動画編でも紹介したDDNSを設定することにより、外出先でもスマホを使ってこれらNAS上の音楽ファイルを聴けるようになります。ストリーミング再生のほか、ダウンロードして繰り返し聴くこともできます。外出先で突然、昔よく聴いていたアルバムを聴きたくなったが、NASの中にしか保存していないという場合も、外出先から自宅のNASにアクセスし、それらをダウンロードできるというわけです。

iTunesのMP3ファイルをAndroidでも再生可能に!

 ここでひとつテクニックをご紹介。

 もしPC上で「iTunes」を使っているのであれば、「iTunes」のデータフォルダー(“iTunesMedia”フォルダーの場所)をNAS上の“Music”フォルダーに設定してしまいましょう。そうすれば、「iTunes」で管理しているMP3ファイルを、「SoundsGood」を経由してiPhoneだけでなくAndroidでも再生できるようになります。これまでMP3ファイルを保存していたPCのドライブもまるごと空けることができ、まさに一石二鳥というわけです。

ASUSTOR NASが検出されました。タップしたのち、NASに設定したユーザー名とパスワードを入力してログインします。なお外出先から接続する際はクラウドIDの入力も必要になります
「AiMusic」のトップページからは、NAS上の音楽ファイルについて、ジャンル、アーティスト、アルバムなどさまざまな切り口で呼び出して再生できます。プレイリストを作る機能も用意されています
これはアルバムを呼び出した様子です。アートワークも取得され表示されます
再生画面は一般的なメディアプレイヤーアプリと同様で、リピート、シャッフルなどの機能も備えています。ダウンロードしてオフラインで聴くこともできます


テレビで音楽を楽しめる「KODI」「おうちジュークボックス」でBGMにも

 ASUSTOR NASに保存した音楽ファイルは、ほかにもさまざまに活用できます。

 例えば、HDMIで接続したテレビやスピーカーで音楽を再生、ジュークボックスさながらに楽しむ、といった事も可能です。

 これには、動画編でも紹介したNASアプリ「KODI」を使います。リモコンアプリをインストールしたスマホを使えば、曲の情報をテレビに表示しながら選択できるので、操作性も抜群です。

 「KODI」では複数のフォルダーを読み込み元として登録できるのはもちろん、ほかのUPnPデバイスやSAMBAサーバーのフォルダーを読み込み元として登録できますので、家庭内のさまざまな機器に分散している音楽ファイルを呼び出し、HDMI接続したテレビやスピーカーで聴くことができます。アルバムやアーティストなどの条件で呼び出すことも可能なほか、プレイリストを作って保管しておくこともできます。写真を表示しながらバックグラウンドで音楽を楽しむことも可能です。

「KODI」では、NASのHDMI端子に接続したテレビをリモコンで操作します。写真、動画などのジャンルの中から今回は“音楽”を選択します
音楽ファイルが保存されているフォルダーを指定します
音楽ファイルを読み込んで選択すれば再生できます
アーティスト、アルバム、フォルダーなどさまざまな切り口で曲を呼び出して再生が行えます。もちろんシャッフルやリピートといった機能も用意されています


高音質な“ハイレゾオーディオ”もそのまま再生USB DACと組み合わせて使う「Hi-Res Player」

 最近は、CDをはるかに超えた音質を持つ“ハイレゾオーディオ”に注目が集まっています。ASUSTOR主催のイベントによると、“繊細な音の変化も、大きな大音量も、同時に表現できる幅広いダイナミックレンジが特徴の1つ”だそうで、クラシックやアニソンなどを中心に音源データもかなりの量が流通しています。

 これらハイレゾ音源のファイルは、通常のMP3ファイルなどに比べてファイルサイズが大きいため、数が多いとあっという間に内蔵ハードディスクを埋め尽くしてしまいます。でもNASがあれば大丈夫。大容量のドライブで余裕を持って保管できますので、ハイレゾ音源との相性は抜群です。導入コストが安価で済むという利点もあり、ハイレゾ音源の保管場所としてNASを購入する人は、これから確実に増えてくることでしょう。

 さて、ASUSTOR NASには、保存したハイレゾ音源を活用できる「Hi-Res Player」というアプリが用意されています。これはブラウザー上で操作できるハイレゾ専用の音楽プレイヤーで、2通りの使い方ができます。

 ひとつはNAS本体のUSBポートにハイレゾ対応のUSB DACを接続、再生するというものです(対応機種一覧はこちら)。

 この場合は、PCのブラウザー、もしくはHDMIポートに接続したテレビから曲を選び、USB DACの先に繋がれたアンプおよびスピーカーから再生します。「Hi-Res Player」はDSDの再生にも対応しており、極上のハイレゾ再生環境を安価に構築できるのが特徴です。

 もうひとつ、PCのブラウザー上から直接再生する方法もあります。この場合はハイレゾ本来の音質ではなく、PCのサウンド機能にあわせた(CDに近い音質での)再生となりますが、気軽に楽しむにはぴったりです。やや相性があり、環境によっては再生できない場合もありますが、あくまでサブとして考えておけば、悪いものではありません。

 この「Hi-Res Player」、まだ登場して間もありませんが、いち早く日本語化されていて初心者でも使いやすいこと、またなによりハイレゾ音源に早期に着目してアプリを用意するという先見性など、今後の展開は大いに期待を抱かせます。ハイレゾ音源の魅力にハマっている人は、このアプリを始めとして、ASUSTORのハイレゾへの取り組みはチェックしておいたほうがよいかもしれません。

「Hi-Res Player」は、NASに保存したハイレゾ音源を再生できるプレイヤー。左側の曲リストををクリックして曲をプレイリスト(右側)に追加、プレイリストを操作して再生します
アプリは日本語化されていますので初心者にも容易に扱えます。ボタンがたくさんあって迷いますが、基本はメディアプレイヤーですので、ひとつずつ確かめながら慣れていくとよいでしょう
オーディオ出力の項目では、NASのUSBポートに接続したUSB DAC、HDMIポートに接続したテレビなどの機器、さらにはPC上での再生と、再生先を切り替えられます

[制作協力:ASUSTOR / ユニスター]

(林田 幸一)