知られざるNASアプリの世界

 第3回

スマホの容量不足も解消OK? NASの動画アプリを使ってみよう

テレビでの再生や、「スマホでリモコン操作」まで

動画をNASに入れれば、スマホでも、テレビでも、PCでも再生OK

ASUSTORのNASアプリは専用の「AppCentral」からインストールする。用意されているアプリは200近く
ASUSTORはASUSグループのNASメーカー。写真は2ベイの個人向けミドルレンジモデル「AS3102T

 スマホやPCの容量を圧迫しがちなもの、といえば写真や動画、そして音楽といったマルチメディアデータではないでしょうか。

 ファイルサイズが大きく、スマホの買い換え要因になりかねないこうしたデータも、大容量のNAS(=ネットワーク接続HDD)であれば余裕で保存でき、ASUSTOR NASでは無線LAN、あるいはインターネット経由で便利に再生できます。

 また、ASUSTOR NASに保存すれば、他のPCやスマホ、タブレットからの再生はもちろん、大画面テレビで再生することも可能です。さまざまな機器からアクセス・再生できるようになることで、これまでの何倍も活用が可能になるというわけです。

 「知られざるNASアプリの世界」3回目となる今回は、こうしたマルチメディアデータの中から、動画ファイルをピックアップ。これらを最大限に活用するためのアプリを紹介しましょう。1回目の「クラウドストレージ編」、2回目の「ブログ作成編」とあわせてご覧下さい。

 なお、ASUSTORのNASにはDTCP-IPに対応したアプリも存在します。これらについては別途ご紹介しますので、お楽しみに。

知られざるNASアプリ:記事一覧
第1回:クラウドストレージ編:OneDriveの容量対策にも! オンラインストレージアプリを使ってみよう!
第2回:ブログ作成編:「自分ブログ」をNASで簡単に作ってみよう、世界標準「WordPress」をインストール
第3回:動画アプリ編:スマホの容量不足も解消OK?NASの動画アプリを使ってみよう
第4回:音楽アプリ編:月額無料の「クラウド音楽」をNASで実現!ハイレゾ音楽も再生OK
第5回:テレビ録画編:「テレビ録画の容量不足」をNASで解決、nasneとNASで録画し放題!
第6回:そのほか編:CD/DVDドライブをNASで共有!PCに無くてもDVDを再生可


“スマホ+NASで動画鑑賞”の基本アプリ「LooksGood」Webブラウザー再生や解像度変換も

 ASUSTORのNASには標準でUPnPサーバー機能が搭載されていますので、PCの動画再生ソフトで観るだけではなく、“Video”フォルダーに保存した動画を同じネットワーク上にあるUPnP対応デバイスで呼び出して再生できたりと、活用方法は多彩です。そして、NAS向けに用意されているアプリを追加することで、活用の幅はいっそう広がります。

 まず紹介するのは「LooksGood」というアプリです。

 このアプリにはいくつもの機能がありますが、もっとも大きな特徴は、iOS/Android向けのスマホアプリ「AiVideos」と組み合わせて、スマホ上で動画を再生できるようになることです。

 わざわざPCを起動しなくても、スマホから直接NAS上の動画ファイルを選び、楽しむことができますので、NASに撮り溜めたムービーを、就寝前に布団の中でちょっとだけ楽しむ、なんてのもお手のものです。

 さらに、以前紹介したDDNSの設定が完了していれば、外出先から自宅のNASにログインし、ストリーミングで動画を楽しむこともできてしまいます。

 動画再生ともなるとデータ転送量が大きくなりますので、低容量のモバイル回線を契約している場合はお勧めしませんが、たとえば出張先のホテルなどでWi-Fiにつなぎ、自宅のNASに保存されている動画を鑑賞する、という使い方は現実的でしょう。

 また、解像度を落として再生したり、いったんダウンロードしてから再生することもできるので、通信速度や環境にあわせて、活用すると良いでしょう。レジューム機能も備えているので、ダウンロードが中断してもそこから再開できるのも、「AiVideos」の便利なところです。

「LooksGood」。ASUSTOR NASで動画を扱う場合に基本となるアプリですので、必ずインストールしておきましょう
「LooksGood」にはさまざまな機能があり、動画を対応Webブラウザー上で再生できるほか、動画を指定の解像度に変換することもできます
AiVideosの利用例
スマホアプリ「AiVideos」。「LooksGood」と組み合わせることで、ASUSTOR NAS上の動画をスマホで観ることができます
インストール後、アプリを起動して[自動検出]ボタンをタップします。前回紹介したDDNSが設定済みであれば、クラウドIDを用いてのログインも可能です
自動検出を実行するとASUSTOR NASが見つかりますのでタップします
IDとパスワードを入力してログインします
ログインが完了し、フォルダーが表示されました。[Video]をタップし、目的の動画の再生を行います
動画が一覧表示されました。観たい動画を選んでタップします
そして動画が再生されます。DDNSが設定済みであればモバイル回線を使って外出先からの鑑賞もできます


テレビにNASを直結、メディアプレーヤーに変身させる「KODI」YouTubeも再生OK

 動画関係ではもう一つ「KODI」も紹介しておきましょう。これはテレビとNASをHDMIで直結し、テレビで動画を再生できるアプリです。

 動画に限らず、写真などの画像を表示したり、音楽を再生したり、さらにWebサイトやYouTubeを観たりと、NASをメディアプレーヤーのように使えてしまうので驚きです。なお、製品によってはHDMIを搭載していないモデルもあるので、これから購入しよう、という方は購入時に確認した方が良いでしょう。

 App Centralから「KODI」をインストールしたら、HDMIケーブルを使ってASUSTOR NASをテレビに接続します。特に何もしなくても、テレビが信号を検出し、KODIと同時にインストールされた“ASUSTOR Portal”と呼ばれるトップページを表示してくれます。

 メニューの中から「KODI」を選んで起動すると、画像や動画、音楽といったメニューバーが表示されます。ここからさまざまなコンテンツを呼び出して、テレビ画面上で再生できるというわけです。おっと、この時点ではまだ英語表示なので、動画ではなく“Video”、音楽ではなく“Music”となっているかもしれませんね。このあとの作業に備えて、設定から日本語表示に切り替えておきましょう。

 日本語表示に切り替わったら、今回は動画を再生しますので、メニューバーの中から[動画]を選択します。もっとも、最初の時点ではフォルダーが指定されておらず、まるっきりの空ですので、[ビデオの追加]を選び、ビデオを保存してあるフォルダーのパスを追加しましょう。パスは複数追加できますので、デフォルトで動画を置いてある“Video”フォルダーのほか、任意の置き場所を指定することもできます。指定が終わったらフォルダーが参照できるようになりますので、お好きな動画を選んで再生するだけです。

 ここで面白いのは、動画の読み込み元となるフォルダーを選ぶ際、ASUSTOR NAS上の共有フォルダーだけでなく、ネットワーク上にあるほかのUPnPデバイスやSMBサーバー上のフォルダーも指定できること。

 まったく別のNASの共有フォルダーはもちろんのこと、PC上のフォルダーからも動画を読み込むことができます。つまり、テレビにこのASUSTOR NASをつないでおけば、家庭内のさまざまなデバイスやサーバー上に存在するあらゆるメディアファイルを、ASUSTOR NAS経由でテレビで楽しめてしまうのです。これこそが、ASUSTOR NASとKODIを組み合わせて使う醍醐味と言っていいでしょう。

「KODI」。NAS背面のHDMI端子につないだテレビを使って、動画や音楽の再生、写真表示などが行えるアプリです。ちなみにこの原稿を書いている時点では、ベータ版としてバージョン16が提供されており、そちらでないと動かない場合もあるようです
「KODI」をインストールすると、ほかに「ASUSTOR Portal」や「Chrome」など複数のアプリが同時にインストールされます。少し時間がかかりますが、気長に待ちましょう
アプリのインストールが終わるとこのような画面が表示されます。PCで表示できるのはここまでです。あとはHDMIケーブルでNASに接続したテレビ上で、作業を続行します
テレビが信号を検出し「ASUSTOR Portal」の画面が表示されます。「KODI」と書かれたアイコンがありますので選択して起動します。ちなみに操作はリモコンアプリ(後述)を使って行います
こちらが「KODI」のホーム画面です。ここでは日本語表示になっていますが、初期設定は英語ですので、まずは設定画面から日本語に変更しておきましょう
ホーム画面で[動画]をタップするとフォルダーの一覧が表示されます。最初は何もありませんので[ビデオの追加...]をタップします
[参照]をタップしてフォルダーを追加します
NAS上のフォルダーを追加するには[ASUSTOR 共有フォルダ]をタップし[Video]を選択します。ほかのUPnPデバイスやSMBサーバー上のフォルダーも追加できるのが面白いところです
動画の一覧が表示されました。タップすると再生が始まります。プレイリストを作って管理することもできます
再生画面。1,080pの高解像度で動画を再生できます。もちろん、一時停止や早送り、早戻しもできます


テレビ+NASの操作はスマホからスマホ用のリモコンアプリ「AiRemote Control」

 ここまで見てきた「KODI」の画面はすべてテレビに表示されているわけですが、タッチパネルでもないテレビで、いったいどうやって操作すればよいのでしょうか。実はこれらの操作は、スマホを使ってリモコンで操作しているのです。

 iOS/Android向けに用意されている「AiRemote Control」というリモコンアプリを使えば、スマホをリモコンとして使えるようになります。これを使えば、テレビに映し出されているメニュー項目を選択したり、コンテンツを再生したり、早送りや早戻し、音量調整、リピート、シャッフルなどの操作が行えるというわけです。

 「AiRemote Control」を使うためには、ASUSTOR NAS側に「Remote Center」というアプリが必要ですが、「KODI」を導入した段階で自動的にインストールされますので、新たにアプリをインストールする必要はありません。このほか、「KODI」用に「Official Kodi Remote」(iOS用)や「Kore」(Android用)というリモコンアプリもあり、こちらも同様に「KODI」のメニューをスマホから操作できます。

 ちなみに、スマホは持っていないのでこのリモコンアプリは使えないという場合、オプションのリモコンキットも販売されています。このほか、USBキーボードやマウスを接続して使うこともできますので、いざという時はそちらを使うのでもよいでしょう。

AiRemoteの利用例
「AiRemote Control」。これをスマホにインストールしておけば、さきほどの「AiRemote Control」と同様にアプリによるリモート操作が行なるようになります
上下左右の項目選択と決定が行えます
再生や一時停止、早送りや頭出しといった操作の時はこの画面に切り替えます
KODIを操作できるAndroid用のリモコンアプリ「Kore」も用意されています
Official Kodi Remoteの利用例
上下左右の項目選択と決定が行えるほか、動画の再生中は一時停止や早送りなども行えます
スワイプして隣の画面に切り替えると、動画を手元で表示しながら再生や一時停止、早送りや早戻し、音量調整、リピート、シャッフルなどの操作が行えます

[制作協力:ASUSTOR / ユニスター]

(林田 幸一)