杜のVR部

第45回

覗き込むアクションアドベンチャー「Mythos of the World Axis」

“神の視点”で三人称視点のゲームはここまで面白くなる!

 VRで体験するゲームは、これまでにない面白さを実現する。その分、従来のゲームとは違ったゲームデザインが必要になる。そのポイントのひとつが視点だ。主人公の視点と同じ一人称の視点、キャラクターの後ろからついていく三人称追尾視点、三人称だが、ゲームステージを見下ろすようなより抽象的な視点(いわゆる神の視点)。VRのゲームで没入感が高いからといって、すべて一人称にすればいいというわけではない。プレイしてみるとわかるが、視点ごとにそれなりの面白さがある。Oculus Rift向け「Luchy's Tale」は三人称追尾視点、「AirMech VR」は神の視点のゲームだ(第40回参考)。

 今回紹介する「Mythos of the World Axis」は、神の視点を存分に楽しめるOculus Rift DK2向けのアドベンチャーゲームだ。さっそくどんなゲームか紹介していこう。

古代神殿がテーマだ

“覗きこむ”面白さ

 この「Mythos of the World Axis」は、Oculus Rift DK2向けのソフトを試験的に公開できるOculus Shareで9月にリリースされて以来、すでに4,000ダウンロード、平均評価4.9/5と非常に高評価。

 プレイを開始すると、さっそく神殿に立つ主人公の姿が目に入る。プレイヤーはかなり遠い視点から主人公を見ており、頭を動かすと神殿を見回すことができる。とはいっても松明を持った主人公が移動しないと灯りがないので真っ暗なのだが……。

スタート地点の様子。キャラクターとプレイヤーはかなり遠い
暗い神殿が広がっている

 このゲームの目的は主人公を操作して、スタート地点からも見える“アルター”に火を灯すこと。神殿の中を進んでいこう。アクションとはいえ、操作は基本的にはジャンプのみなので、あまり工夫は必要ない。また、マーキングという仕組みにより、“マーカー”という名前のワープポイントを常に設置することができるため、足を踏み外して落ちてしまったときも、すぐにワープし直せば何ということはない。

ワープできるマーカーは明るく、周囲を照らすことも可能
落ちて死にそうになったらマーカーにワープ!(落ちて死ぬとスタート地点からやり直し)

 そのため、アクション・アドベンチャーゲームにしては非常にシンプルでそれ自体に面白みはあまりない。では、高評価の理由は何か。それはプレイヤーの位置をトラッキングするポジショントラッキングを有効活用し、程よく作り込まれたミニチュア感と“覗きこむ面白さ”が上手くデザインされているから、にほかならない。

 確かにスタートした時点では少し遠くにいるキャラクターを動かしているという感覚だが、近付きたければ頭をぐっと前に近付ければよい。キャラクターがよく見えるところまで近付くことができる。また、柱が邪魔で見えないときなどは、少し回りこむようにして右から覗いて操作したり、裏になっている部分を覗き込んでみたり。さらには、高い場所にキャラクターが行ったときには、立ち上がって上から見下ろしてみたり……。

覗き込むとここまで近付くことが可能
奥まで覗きこむことができる
立ち上がると見下ろし視点になる

 もともと神殿はUnreal Engine 4によって非常に美しいグラフィックで描画されているため、近付くと解像度が荒くなるなんてことは一切なく、神殿のディテールがくっきりと綺麗に見えるのもポイントだ。遠くからキャラクターを見守る存在としての楽しみがデザインされている。

 東京ゲームショウなどでプレイできた「AirMech VR」も、自分のキャラクターに近付けることが魅力的だった。そして「AirMech VR」ではプレイヤーは自軍に指示を出している指揮官で、眼前の戦況をミニチュアで見て操作しているといった設定だったが、この「Mythos of the World Axis」でもプレイヤーの設定が存在する。最後にゴールのアルターに到達したときにその正体がわかるので、合わせて楽しみにしていただきたい。

 色々な角度から俯瞰したり近付くことができる神の視点をうまく活用したゲームは、視点を変えること自体が非常に楽しい。今後VRのゲームで期待できそうだ。

「Mythos of the World Axis」プレイ実況動画
今回からOculus Rift DK2向けのコンテンツに関しては、実況を行うことにした。ボイスの入れ方や話し方などまだ不慣れなところもあるがご容赦いただきたい。また、最後にネタバレがあるので、結末を見たくない方は途中で視聴を中断することをお勧めする
「Mythos of the World Axis」
【著作権者】
Ats Kurvet 氏
【対応OS】
Windows(Oculus Runtime for Windows 0.6以降が必要)
【対応ハードウェア】
Oculus Rift DK2
【ソフト種別】
フリーソフト(寄付歓迎)
【バージョン】
0.1.0

Oculus Rift DK2版評価PCスペック(参考)

マウスコンピューター G-Tune NEXTGEAR-MICRO im550PA6-SP2
【CPU】
インテル Core i7-4790K プロセッサー(4コア/4.00GHz/TB時最大4.40GHz/8MB スマートキャッシュ/HT対応)
【メモリ】
16GB PC3-12800 (8GB×2/デュアルチャネル)
【グラフィックボード】
AMD Radeon R9 Fury X(4GB)
【fps】
両コンテンツとも75fps
【ヘッドホン】
Creative Sound Blaster EVO Zx

(もぐらゲームス:すんくぼ)