【第459回】
多彩なコンボで敵を倒す爽快アクションRPG「SELECTION」
基本はオーソドックスなRPGながら戦闘はサイドビューアクション
(11/08/26)
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、編集部がピックアップした良作を毎週紹介していく。今回は、通常の攻撃、特技、魔法を組み合わせたアクション性豊かな戦闘が楽しいRPG「SELECTION」を紹介しよう。
フィールド探索型RPG+戦闘はサイドビューアクション
「SELECTION」は、アルマスという街を中心に賞金稼ぎとして活躍する青年“ウィル・アルタナス”が主人公のフィールド探索型RPG。ある日、ウィルが捕らえた賞金首が脱走するという事件が起きる。ウィルは脱走犯を追って旅をすることになるが、その裏で世界を揺るがす大きな事件が起きつつあることを知る……というストーリーだ。
本作の基本は、街の人などから話を聞くとイベントが発生し、クリアすると次のイベントに移るというオーソドックスなRPGだ。街やダンジョンは2D見下ろし型で、ワールドマップでは3Dを使った斜め見下ろし型の画面に切り替わる。ワールドマップ画面の右上には世界全体のミニマップがあり、次の目的地を赤いマーカーで表示してくれるので、テンポよくイベントをこなしていけるのがうれしい。また、ストーリーが進むと船が手に入り、行動範囲がグッと広がる。ストーリーの進行以外に、各地に隠された財宝を探す楽しみが増えるのもポイントだ。
そして本作最大の醍醐味はアクション性の高い戦闘。エンカウントはランダムで、敵に遭遇するとサイドビューのアクション画面に切り替わる。戦闘では剣を振る通常の攻撃に加えて、威力の高い攻撃が繰り出せる“特技”を組み合わせることで、格闘ゲームのような連続技を敵に叩き込める。特技は多数用意されており、剣を振り上げる攻撃で敵を浮かせ、そこに攻撃を加える、いわゆる空中コンボのような芸当も可能だ。
また、ストーリーが進行すると仲間が増えていき、最大4人まで戦闘に参加できる。プレイヤーはそのうち1人を操作し、ほかのキャラクターは自動で戦う仕組みだ。攻撃、補助、回復など豊富な種類が存在する“魔法”もあり、敵を効率よく倒すための戦略を練られるのが面白い。
攻撃と特技でコンボを決めろ!
操作はキーボードのほかゲームパッドにも対応しており、移動のほか、攻撃A、攻撃Bという2種類の攻撃、ジャンプ、防御、魔法というアクションを駆使して戦うことになる。攻撃、魔法にはそれぞれプレイスタイルに応じた3種類の操作方法が用意されているのが大きな特徴だ。
攻撃のタイプ1は初心者向けで、攻撃Aボタンを連打すれば連続攻撃になり、攻撃Bボタンには特技を割り当てられる。特技は攻撃Bボタンを単独で押した場合のほか、攻撃Bボタンとカーソルキーの上、下、左右との組み合わせに対して割り当て可能なため、同時に4種類まで使用できる。通常攻撃を2回繰り出したあと、攻撃Bで特技を繰り出し、敵に大ダメージを与えるといった流れが簡単にできるのが便利だ。さらに攻撃Aボタンを押せば、自動で敵に近付いてくれるので攻撃を当てやすい。タイプ2もほぼ同じ操作だが、攻撃Aボタンを押しても自動で敵に近付かなくなる。攻撃する敵を常に自分で選びたい中級者向けの設定と言える。
タイプ3は操作が大幅に変わる。攻撃A、攻撃Bともに通常攻撃となり、特技はそれぞれに設定されている格闘ゲーム風のコマンドを入力して繰り出すことになる。たとえば、ウィルの特技“エリアルスレイ”ならば、カーソルキーを進行方向、下、進行方向斜め下の順に入力し、最後に攻撃Bボタンを押すことで発動。コマンドさえ覚えればすべての特技を戦闘で使えるため、タイプ1/2では不可能な通常攻撃と多くの特技を組み合わせた高度な連続技も繰り出せる。
なお、特技を繰り出すには“SP”ゲージが必要。SPゲージは敵を攻撃することで増えていく。敵に攻撃を当てると“のけぞり”状態となり、さらに攻撃を加えると“コンボ”となって、SPゲージの上昇量が増加する。ちなみに特技は攻撃ばかりではなく、能力を高めるもの、敵の動きを制限するものなど、キャラクターごとにさまざまな用途のものが用意されている。
魔法については、タイプ1/2は簡単に魔法を発動できるが、魔法を放つには“錬魔”ゲージが溜まるのを待つ必要があるため時間がかかるのが難点。タイプ3は魔法それぞれに設定されたコマンドを入力すれば、一瞬で錬魔ゲージが溜まるため、すぐに魔法を放てるのが大きなメリットだ。ただし、コマンドを覚える必要があり、入力に失敗すると魔法を発動できないというリスクがある。
味方との連携を考えて戦術を練るのも楽しみのひとつ
戦闘時、操作キャラクター以外の仲間が魔法を重視するのか、回復を重視するのか、どんな敵を攻撃するのかなど大まかな戦術は事前に指定が可能だ。とはいえ、すべて思い通りに動くわけではないので、魔法を使うのに必要なMPが少なくなった味方のMPを回復させるなど、プレイヤーが状況に応じて手助けする場面も多くなる。敵を倒すばかりではなく、パーティ全体のHPやMPの状態をマメにチェックするクセをつけておきたい。
戦闘のコツは、敵に合わせた戦術を立てること。空を飛んでいる敵には、ジャンプしての攻撃や対空用の特技が有効で、逆に地面に這っているような敵は攻撃が当たりにくいため、下から上に打ち上げる攻撃で浮かせて連続攻撃を行うとダメージを与えやすい。自分が操作するキャラクターの攻撃パターンや特技をしっかりと把握することが大切だ。ちなみに特技は訓練所で、魔法はお店で、それぞれお金を払って身につけることになる。近接戦闘を中心とするのか、回復役なのかなど、各キャラクターの役割を考えながら身につける特技や魔法を決めていこう。
キャラクターごとに特長があるのも面白い。たとえば最初に仲間になる女の子“フェリア・ブルーフィールド”は、体力や防御力は低いが攻撃魔法が得意な上、魔力を高めたりMPを吸い取る特技を覚えられる。明るい性格でパーティのムードメーカーになっているのも楽しい。同じく女の子の“エスナ・フライアット”はスピードが速いためコンボを決めやすく、敵の防御力をある程度無効化できる専用武器があるなど、ユニークな要素をもつ。
ストーリーでは一貫して“正義とは何か?”をテーマにしているのが見どころ。悪徳商人を狙う海賊を倒すことが本当に正義なのか? といった場面がストーリーの節目ごとに登場する。主人公をはじめとする、登場キャラクターたちの信念と葛藤が垣間見られるのも大きな魅力だ。
ちょっとした事件から、世界のピンチへ……王道と言えるストーリー展開だが、戦闘の楽しさでグイグイとゲームに引き込まれていく。フィールド上で敵と出会うエンカウント率はやや高めだが、ボス戦以外はほぼ逃げられるので、それほどイライラもない。そのため、戦闘技術を駆使して低レベルクリアを狙ったり、逆にそれぞれのキャラクターを最強まで鍛え上げるなど、幅広いプレイスタイルで楽しめる。ダンジョンもそれほど複雑ではなく、サクサクとストーリーが進んでいくのもポイント。作者が3年以上開発にかけた渾身の作品で、テンポよく進みながらもクリアまで10時間は必要とボリュームもタップリ。アクション性の高いRPGを楽しみたいなら、ぜひプレイしてみてほしい作品だ。
- 【著作権者】
- アキラ 氏
- 【対応OS】
- Windows XP(編集部にてWindows Vista/7で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.0b2(11/08/22)