石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』

499円なのに98%の圧倒的好評! 30分で遊べるサバイバルアクション「Vampire Survivors」

30分で止められるかどうかはあなた次第……

「Vampire Survivors」のタイトル画面

任天堂も注目する2Dアクションゲーム

 Nintendo Switch Onlineの加入者限定イベント「いっせいトライアル」にて、2Dアクションゲーム「Vampire Survivors」が2月17日12時から24日17時59分まで提供される。期間中は、Nintendo Switch Onlineの加入者は本作を無料でプレイできる。Nintendo Switch Onlineの7日間無料体験チケットも配布中だ。

 なぜ本連載でSwitchの話をするのかと思われたかもしれないが、本作はPC版も提供されているのでご安心いただきたい。2024年末には「Epic Games Store」で無料配布されており、気づいたら持っていたという方もいらっしゃるのでは。

 もし無料配布を受け取れていなくても悲観しないで欲しい。本作は499円と低価格で、さらにセール価格で売られていることも多い(2月12日時点では、Steamで25%OFFの374円)ので、気軽に入手できる。PCやSwitch以外にも、家庭用ゲーム機やスマートフォンでも販売されているので、好みのプラットフォームでお試しいただきたい。

30分間のサバイバルゲーム……慣れれば超爽快アクションに

見た目はかなり古臭い2Dゲーム

 本作は2Dグラフィックスを採用したアクションゲーム。絵的にはかなり古めかしく、ドット絵もかなり荒いので、なかなかやる気が起きないという方も多いだろう。

 しかし本作は2021年の早期アクセス、そして2022年の発売を経て、世界的な人気を博している。Steamのレビューは23万件を超えており、なおかつ98%が好評を付けるという、極めて高い評価を得ている作品だ。本作の発売後、「○○Survivor」というフォロワー作品が多数登場していることも、人気の裏付けと言える。

23万件以上の評価でなお98%が好評という驚異的な人気

 ではゲームを見ていこう。プレイヤーは1人のキャラクターを操作し、襲い掛かってくるモンスターを倒しながら、30分間生き残るのが目標となる。基本的には、ひたすら敵を倒すか、あるいは逃げて、ただ生き延びればいい。

 操作するのはキャラクターの移動のみ。攻撃は一定時間で自動的に発動する。例えば初期キャラクターの「アントニオ」は鞭を持っており、1秒少々の間隔で自動的に鞭を振って攻撃する。プレイヤーはその攻撃のリズムに合わせて、敵が鞭に当たる場所に移動して攻撃する。

一定間隔で勝手に振られる鞭を、キャラクターの移動だけで上手く敵に当てていく

 敵を倒すと、宝石のようなアイテムを落とすことがある。近づくと拾い上げ、経験値を獲得できる。一定の経験値が貯まるとレベルアップし、画面には複数のアイテムが提示される。

敵を倒した後に、宝石のようなアイテムが落ちている。近寄ると拾える
レベルが上がるとアイテムが提示される

 アイテムにはそれぞれ効果があり、武器であれば新たな攻撃手段を獲得。その他のアイテムは体力や攻撃力の上昇など、能力を強化させる。レベルアップするごとに1つのアイテムを選べるので、これによってキャラクターが強化されていく。既に持っているアイテムも提示され、獲得するごとにアイテムのレベルが上がり、強化されていく。

武器を選ぶと、既に持っている武器とは別の攻撃が同時にできるようになる

 あとはとにかく、キャラクターを成長させながら生き延びるだけ。時間が経過するごとに敵もだんだんと強くなっていくので、敵の勢いに負けずにうまく強化できるかが攻略のポイントとなる。

 アイテムはレベルアップのほかに、時々出現するボスモンスターを倒した時に出現する宝箱からも入手できる。多数の敵に囲まれながらボスを倒すのは大変だが、リターンも大きいので積極的に狙っていきたい。

普通のモンスターより大きかったり、周囲が光るように描かれたモンスターがボス級
宝箱は手持ちのアイテムのうちのどれかをランダムに入手。能力を強化できる

 最終的には6つの武器と6つの強化アイテムを獲得できる。各アイテムのレベルを上げていくことで、キャラクターの攻撃も最初とはまるで別人のように激しくなり、多数の敵を一気に撃退できるようになっていく。

複数の武器を同時に使えるようになると、攻撃がかなり派手になる

 また特定の武器と強化アイテムを組み合わせて持っていると、各武器の最高レベルを上回る能力を持つ、進化武器を入手できる。どの武器と強化アイテムを組み合わせると進化するのかがわかれば、生存がさらに楽になる。

 この辺りがわかってくると、生存目的だったプレイの感覚が全く変わってくる。後半になると敵が画面中を埋め尽くすような状態になってくるが、プレイヤー側も画面中に攻撃をまき散らすようになる。ものすごい勢いで迫る敵を、ものともせずに駆逐していくのが実に爽快で、とても中毒性が高い。

終盤はとんでもない数の敵に襲われる。これに対抗できるアイテムを整えておかねばならない

何度でもやり直してキャラクターを強化

 目標の30分まで生き延びるとどうなるのかは、せっかくなので自分でプレイして確かめていただきたい。基本的には30分でゲームは終わる。レベルアップ時のアイテム選択や宝箱を開く時には、ゲーム中の時間経過が止まるので、実時間では30分プラスアルファのプレイ時間となる。

 敵に触れるとダメージを受け、ライフが0になったらそこで終了。再び最初からやり直しだ。それ以外のペナルティはなく、逆にプレイするごとにメリットがある。

敵に触れてライフが0になるとゲームオーバー

 プレイ中、経験値のほかに宝箱などからお金を入手できる。お金はプレイ中には使えないが、プレイ後に能力の強化や、別のプレイヤーキャラクターの解放に使える。たとえ途中でやられたとしてもお金は持ち帰れる。プレイすればするほど、徐々に能力が底上げされていく仕組みだ。

手に入れたお金で能力を底上げできる

 またゲームを進めると、新たなアイテムを入手できることがある。新たな武器が手に入れば、また別の戦い方ができるようになる楽しみがある。さらにプレイ結果に応じて新たなマップも開放されていくので、ステージクリア型のアクションゲームの感覚でも楽しめる。

 本作は遊べば遊ぶほど新たな要素が増えていくのが楽しい。いろいろなキャラクターやアイテムを使い分けていくのも楽しいし、お金で能力を底上げしていくのも楽しい。移動操作だけとはいえ、多数の敵を相手にするアクション性も高く、アクションゲームが得意な人にはやり込みの楽しさもある。苦手な人も地道に強化するのがまた楽しいはずだ。

キャラクターやマップなど、新要素が少しずつ解放されていく

「30分あれば1プレイできる」の罠

 これらのゲームシステムだけでも相当遊べる面白さがあるのだが、本作で何より危険な楽しさを生み出しているのが、1プレイ30分の安心感だ。ゲームはそれなりの時間をかけて遊ばないといけない作品も多く、それがプレッシャーになってやる気を削いでしまうことも多い。しかし本作なら、『30分で終わるから、1プレイやってみようか』という気持ちになる。

 そうして遊び始めて、途中でやられたら『まだ30分やってないから!』と自分に言い訳してもう1プレイ始めてしまう。新しいキャラクターやマップが解放されたら『ちょっとだけ試してみよう、途中でわざとやられればいいから』と1プレイを始めては、きっちり最後まで遊んでしまう。

『おっ、新しいマップが増えた。最後にちょっとやってみよう』とプレイしている時の筆者。時計はもう深夜0時を過ぎている

 30分で終わるはずが、永遠に終わらない。この中毒性の高さは、なかなか他にはないものだ。筆者も本稿のためにプレイしてみようと思っただけのはずなのに、数日で10時間近くも遊んでしまった。

 そして記事を書き終えた今もまだまだ遊びたい。これだけ遊んでも解放された要素はまだ少数で、試していないアイテムも数多くある。さらに本作には5つのDLCも用意されており、この先どれだけ新要素があるのかすら見通せない。

 ゲームにコスパなどと言うつもりはないが、手軽に始められるゲームでこれだけ熱中できてしまうのがとても恐ろしい。2Dベースのゲームで、PCの要求スペックはないに等しいくらい低いので、皆様にもぜひ気軽に遊んでみていただきたい。一度触れてしまえば、気軽な遊びで済むとは思えないが。

武器が乏しい序盤を地道に生き延びるのも、とんでもない数の敵を相手にする終盤も、どちらもちゃんと楽しい
著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身

ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/

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 PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。