週末ゲーム
第537回
懐かしくも新しいアブストラクト系シューティング3作品を紹介
シューティングの本質的な面白さと、独特な芸術性が同居する世界が魅力
(2013/10/11 10:51)
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、“アブストラクト系シューティング”と呼ばれるタイプのゲームを3本ご紹介する。
“アブストラクト系シューティング”とは?
“アブストラクト”というのは日本語で“抽象的”といった意味の言葉。最近のゲームはビジュアルがリアルになり、3Dで精細に描かれたものが主流だが、アブストラクト系シューティングはその逆を行く。敵や自機はシンプルにアイコン化され、背景も極めて簡易に描かれているものが多い。
ゲームとしては、限られたフィールド内で次々登場する敵を倒していく、というシンプルな内容のものがメイン。その中で、操作性やルール、ビジュアル表現などによってオリジナリティを出しており、シューティングゲームの本質的な面白さを感じさせる作品が多いのも特徴だ。
ゲーマーの筆者はこの手のゲームを見ると、世界初のシューティングゲームと言われる「Spacewar!」を思い出す。その進化系だと思って見ると、また趣があっていいものだ……というのは余談として、そろそろ作品紹介に移りたい。
定番のスタイルながら完成度の高さが光る逸品「Guardians of the Light」
正方形の限られたフィールド内に次々と発生する敵を倒していくシューティングゲーム。画面中央に光点として表示される自機を[W][A][S][D]キーで移動し、マウスカーソルで弾の射出方向を決めるという、移動と攻撃の操作を独立して動かせるタイプのゲームになっている。本作はWeb上で動作するブラウザーゲームだが、有償のPC版も用意されており、内容は同一だ。
特徴は、ここがポイント、と挙げるのも悩ましいほどの作品全体における完成度の高さ。ブラウザー上ですぐに遊べるという手軽さでありながら、ビジュアルは精細で、エフェクトも美しい。操作も奇をてらったものではなく快適に遊べる。
ゲームの流れはステージクリア型となっており、1ステージのプレイ時間は数分。武器はランサー、マシンガン、ホーミング、手裏剣の4種類をいつでも切り替えて使える。それぞれ特徴的な性能をもつ上、敵を倒すと出現する光点を拾うことで獲得したポイントを使って強化もできる。他に緊急回避的なボムも使用可能。
また通常モードの他に、ノンストップで敵を倒し続けるサバイバルモードも搭載している。こちらは攻略中に武器の強化アイテムが出現し、短時間で一気に自機を強化できるとともに、敵の攻撃も急激に強くなるところが魅力。一度やられるとゲームオーバー(シールドがあるので1ヒットで倒されたりはしないが)なので、通常モードとは違う緊張感で楽しめる。
ただ画面が綺麗なだけでなく、プレイ状況が自動で保存されたり、Xbox 360コントローラーでの操作にも対応していたりと、至れり尽くせりな内容。手軽に遊びたい人も、じっくり取り組みたい人も、幅広く楽しめるゲームになっている。
- 【著作権者】
- bluffman 氏
- 【対応OS】
- (Webブラウザー上で動作)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト(有償版あり)
- 【バージョン】
- 1.31
- ブラフマン bluffman
- http://bluffman.com/
- Guardians of the Light
- http://bluffman.com/003/
映像・音楽・テキストで作られる独自の世界観「ヴァンパイア・ヴラッディ・スターX」
中央に固定された自機から弾を周囲に撃ち、全方位から近寄ってくる敵を倒すタイプのシューティングゲーム。自機は移動できないため、マウスカーソルで弾を撃つ方向を決めるだけのシンプルな操作となっている。
敵は基本的に群体の形で現れ、全部倒すと星型のアイテムを落とす。これを取るとレベルアップし、レベルは右クリックで発動できるバリアを使用する際に消費される。敵はかなりの勢いで自機を取り囲んでくるので、適切に弾を当てるのはもちろん、危ない時は素直にバリアを使ってやり過ごすことも重要だ。
ゲーム進行はステージ制となっており、各ステージの最後にいるボスを倒せばクリア。クリア後には獲得したスコアを使って、弾の威力や弾数、速さなどをパワーアップできる。
ゲームモードは最初はEASYのみだが、プレイ内容により増加。最初から3方向にショットを撃てる代わりに敵の弾が増えるLIGHTモードや、弾をヒットさせた相手にロックオンして稲妻のようなビームを射出できるHARDモード(ただし敵がかなり硬くなっている)なども選べるようになる。簡単なのは確かにLIGHTモードなのだが、ただ簡単になるのではなく、手触りが変わるという味付けになっているのがユニーク。
そして本作のポイントとなるのが、ビジュアルと音楽、そしてステージ中に挿入されるテキストの融合。映像はタイトル画面から連想される通りの赤っぽい色で描かれ、抽象的なビジュアルで独自の世界観を作ろうとしているのが伝わってくる。シンプルなゲームながらセンスを感じる作品だ。
- 【著作権者】
- アンディーメンテ 氏
- 【対応OS】
- (編集部にてWindows 8で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 3.0
- あばたえくぼ
- http://andymente.moo.jp/
癖のある8つの武器でスコアアタック「Bullet System」
先に紹介した「Guardians of the Light」と同様、限られたフィールド内で自機を操作するタイプのシューティングゲーム。操作はカーソルキーで移動、[Z]または[C]キーで通常攻撃、[X]キーでサブ攻撃を行う。
本作では全く特性の異なる8つの武器が用意されており、ゲーム開始前に好きな武器を選んで遊ぶことが可能。武器は素直に正面に弾を撃つものもあれば、溜めて拡散弾を撃つもの、弾を撃つのではなく自機の周りに展開して敵を叩き落とすものなど、かなりバリエーション豊かな内容になっている。
ゲームはフィールド上の敵を全て倒すと次のステージに移る。ステージの区切りはあるものの、自機が倒されるまでノンストップで続く。コンティニューもないため、1回やられたら最初からやり直しだ。
武器はどれも癖が強く、操作のコツを掴むまではかなり難しいが、そこが本作の面白いところでもある。強い武器で攻略していくというより、特定の武器でどこまで行けるかを頑張るという方向性で考えられており、武器ごとにハイスコアが記録される。強化要素もなく、自分の腕前だけで挑むストイックなゲームになっている。
- 【著作権者】
- 神風工房 氏
- 【対応OS】
- (編集部にてWindows 8で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
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