週末ゲーム

第562回

“ニコニコ自作ゲームフェス3”お勧め作品ピックアップ(後編)

魔女っ子から老婆、豆腐製品まで登場する多彩なアクションゲーム9本を紹介

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、ニコニコ動画にて開催された自作ゲームの祭典“ニコニコ自作ゲームフェス3”にて、窓の杜賞の選考で注目された作品を前編・後編の2回に分けてご紹介。後編ではアクションゲームを中心に紹介していく。

物理演算されたトラックでゴールを目指す「運べ!荷物!」

「運べ!荷物!」

 トラックを運転し、載せた荷物を無事にゴールまで運ぶアクションゲーム。運転と言っても車体を真横から見るスタイルで、操作は前進と後退、ブレーキしかないシンプルなもの。

 トラックとけん引する荷台、その上に積まれた荷物は、いずれも物理演算で挙動が計算されている。荷物は玉のようなものが無数に積まれている状態で固定されておらず、加速すると後ろに、ブレーキをかけると前に偏る。勢いが強過ぎれば、荷物が荷台からポロポロと落ちてしまう。

 また道中には、トラックが跳ねる小さな段差や、勝手に加速してしまう急な下り坂、巨大なエレベーターや、地面から突き出る杭など、荷物を落とすばかりか車体が吹っ飛ぶ仕掛けも満載。しかし吹っ飛ぶ車体の挙動も物理演算されており、豪快に散るのもまた見どころ。ゴール時にはかかった時間と残った荷物の量でスコアが決まるが、時間制限はなく、最悪荷物をすべて落としていてもクリアにはなる。

小さな段差で跳ねてひっくり返ったりする。走行不能になったら最初からやり直しなので、割と神経を使う
「運べ!荷物!」
【著作権者】
South 氏
【対応OS】
webブラウザ、Android
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
-

天才?魔女っ子の多彩な魔法を使いこなせ!「まじょりんぱ!~輝け!マジカル・ハート!~」

「まじょりんぱ!~輝け!マジカル・ハート!~」

 主人公の魔法少女コロンが、魔法を駆使して敵や仕掛けを突破していくアクションゲーム。マップ上にいる敵をすべて倒した後、ゴールとなる扉に辿りつけばステージクリア。

 アクションは基本的に左右の移動とジャンプ、魔法の発動のみ。魔法は派手な攻撃ばかりではなく、足場を作ったり、大ジャンプをしたりとバリエーションが豊富にある。先のステージに進むと火や風など新たな属性を入手でき、複数の属性を組み合わせた魔法も使えるため、魔法のバリエーションはかなりの数になる。

 魔法が増えれば移動手段が増えて行動範囲も広がり、ステージも難解になっていく。適切な魔法を切り替えて使う必要があり、アクションだけでなくパズル的な要素も強い。

 ステージは複数用意されており、純粋なバトルとなるボス戦も。またストーリーも展開され、魔法の世界で起こる事件に巻き込まれたコロンが急激に成長していく姿が、コミカルに、時にシリアスに描かれる。一昔前のアーケードゲームのような演出で、ゲームによくマッチしている。

見た目にはほんわかした印象だが、ゲームとしてはアクション・パズルともなかなか歯ごたえがある
「まじょりんぱ!」
【著作権者】
ぱるそに 氏
【対応OS】
webブラウザ
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.03(14/03/03)

全方位弾幕アクション「HyperMetalHUNGRY」

「HyperMetalHUNGRY」

 多彩な銃器を操って戦うアクションゲーム。見た目はオーソドックスなサイドビューのアクションだが、キーボードでキャラクターの移動とジャンプ、マウスクリックでマウスカーソルのある方に攻撃するという操作スタイルで、アクションゲームなのに全方位シューティングのような手触りになっている。

 ゲームはステージクリア型の進行で、フィールドにあるターゲットをすべて破壊すればクリア。途中で敵を倒すと稀にアイテムを落とし、拾うと新たな武器を入手できることがある。入手した武器は、メイン武器2種とサブ1種の計3つまで選んで装備可能だ。武器はランダムに入手できるようで、一度クリアしたステージを再度プレイすると新たな武器が見つかることもある。

 コンティニューは無限にできるので、繰り返しプレイして武器を集めるのも楽しみの一つ。またアクション自体がかなりシビアなので、ステージ攻略に向いた武器選びも重要。繰り返しプレイして武器探しと攻略法を探るという、やり込み型のアクションゲームとなっている。

フィールドを自在に拡大縮小できるのがビジュアル面での特徴。まるで弾幕シューティングのような苛烈な攻撃が襲ってくる
「HyperMetalHUNGRY」
【著作権者】
しるこ 氏
【対応OS】
Windows XP/Vista/7/8および64bit版のVista/7/8(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.03(14/04/14)

強烈な平手打ちと縦ロールのドリルで戦う「KAMISAWAGI」

「KAMISAWAGI」

 平手打ちと縦ロール髪のドリルで戦う謎の少女が主人公のアクションゲーム。アクションとしてはサイドビューのオーソドックスなスタイルで、フィールドのどこかにあるゴール地点を目指して、敵を倒しながら進んでいく。

 ボタンを押しているだけでパンパンと連打される平手打ちや、敵を貫通して飛んでいく縦ロール髪ドリルは、それだけで爽快感がある。途中、敵を倒したり障害物を壊したりするとお金を入手でき、新たな武器を購入することで少女が強化される。何度倒されても復活できるが、初期位置からの再スタートとなるため難易度は高め。繰り返しプレイしてお金を貯めて、強力な武器を手に入れつつ攻略を目指す。

 迷い込んだ森から脱出するために、呪いをかけられた“ふにゃり”を助ける……といったストーリーもある。ラフで独特なタッチのイラストで、ほぼ説明のないまま強引に展開するところも味があって面白い。

設定はネタっぽいが、アクションは本格的。クリア後は新たな装備を探すやり込み要素もあり
「KAMISAWAGI」
【著作権者】
simatten(FUNOVELTY) 氏
【対応OS】
Windows XP/Vista/7および64bit版のVista/7(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.07(14/03/07)

ひたすら豆腐製品を倒し続けろ!「EOF (END OF THE THOFU)」

「EOF (END OF THE THOFU)」

 黒服の少女が豆腐と戦うサイドビューのアクションゲーム。最初は何をするゲームなのかわからず戸惑ってしまうが、フィールド中央にある豆腐屋に押し寄せる豆腐製品達を、店に近づけないよう倒しまくるというもの。豆腐製品が豆腐屋に接触すると画面上部の豆腐屋ライフゲージが減少し、ゲージが0になったらゲームオーバーだ。

 操作は移動とジャンプ、攻撃、オーバードライブとシンプル。攻撃ボタンは連打したり、空中から仕掛けたりすることでモーションが変化してコンボになる。またオーバードライブを使うと、左下にあるゲージを消費して周囲の敵に大ダメージを与えることが可能。オーバードライブゲージは敵に攻撃すると徐々に回復していく。

 豆腐製品に近づいて倒しまくるだけのゲームだが、空を飛ぶ油揚げ、地面から湧き出るおから、倒しても分裂する湯葉など、癖のある敵が次々と出現する。見た目はバカバカしいゲームだが、本気で遊ぶと左へ右へと忙しく動かねばならず、意外と熱中してしまう魅力がある。

敵の名前を文字で書いてしまうやっつけ感はすごいが、ゲームとしてはなぜか必死になってやってしまう面白さをもっている
「EOF (END OF THE THOFU)」
【著作権者】
零距離攻撃
【対応OS】
Windows 7および64bit版の7(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.01(14/01/17)

ダンディなバネで空中殺法アクション「発条中毒」

「発条中毒」

 バネを使った動きが特徴のアクションゲーム。ダンディズムにこだわる主人公“逆本ベテルギウス陛下”が、体ひとつで敵を打ち倒していく。ちなみにタイトルは“ばねちゅうどく”と読む。

 バネは空中にいる時に発動でき、体が空中に固定されたような状態になる。この時に方向キーの上下左右を押すと、その方向にバネが引っ張られ、ビヨンビヨンと主人公の体がバネで揺れ始める。バネの動きに合わせて上下や左右に方向キーを入れると振幅が大きくなり、その状態からバネを外すと、文字通り弾かれるように主人公が飛んでいく。

 飛んでいる最中に攻撃すると、その勢いが強いほど攻撃力がアップ。敵は空中にいることが多く、敵の位置とバネを揺らす方向を考えて、体ごとタックルするような感じで攻撃を仕掛ける。なかなか思い通りにいかないが、空中の敵を綺麗に撃墜できた時は爽快だ。だんだんバネで飛ぶのが楽しくなってくるのは、まさに中毒といったところか。

ステージの合間には、よくわからないキャラクター説明も。ゲームシステムとは関係ないが、このセンスも買いたい
「発条中毒」
【著作権者】
アキタカ 氏
【対応OS】
Windows(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
-(14/02/06)

頭を飛ばして体を引っ張る磁力アクション「磁力超人マグネリヨン」

「磁力超人マグネリヨン」

 頭が磁石でできたキャラクター(おそらく彼が磁力超人マグネリヨン)を操るパズルアクションゲーム。頭の部分の磁石は左右または上方に射出できるようになっており、壁に接触するとそのままくっつく特性がある。

 頭がくっついたら、次は体を頭の位置に引っ張るようにして持ってこられる。たとえば頭を天井にくっつけたら、体もその位置まで引っ張り上げることが可能。これを使って高い壁を乗り越えたりできるというわけだ。横方向も同様に、ジャンプで越えられない穴を飛び越えられる。また頭の磁石は、射線上にいる敵を倒せる力も備えている。

 画面上にあるコインをすべて取得して、矢印で示された場所まで移動できればステージクリア。磁石をくっつける位置が肝になっており、すばやいアクションよりも、じっくり考えるパズル要素が強いゲームになっている。

頭をどこにくっつけて、体をどこから引っ張るかがパズル要素。一見移動できそうにない場所も、磁力を使えば行けるようになっている
「磁力超人マグネリヨン」
【著作権者】
coolstep 氏
【対応OS】
Windows XP/Vista/7/8(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.10(14/04/03)

敵を凍らせて能力を奪い取れ!「ムームーのアクション2」

「ムームーのアクション2」

 熱と氷を操るキャラクターが戦うアクションゲーム。各ステージで敵や仕掛けをやり過ごしつつ、ゴール地点に到着すればクリアとなる。

 特徴はダメージ判定。敵は氷か火のいずれかの攻撃を仕掛けてくる。火の攻撃を受ければゲージが上がって赤い色が伸び、氷の攻撃を受けるとゲージが下がって青い色が伸びる。赤が最高に達したり、青が最低に達するとミス。これを活用して、青が伸びていると思ったら火の攻撃を食らって調整もできるという仕組みだ。

 またプレイヤーの攻撃もユニーク。最初は直線に飛ぶ氷なのだが、この攻撃で凍らせた敵を吸収することで別の攻撃に変更できるようになる。たとえば吸収した敵が爆弾を使う火の敵なら、プレイヤーの攻撃が跳ねる爆弾に変えることが可能。ただし火の敵を吸収した時には、火の攻撃を受けた時と同じようにゲージが火の方に動く。一度得た武器は他の武器を得るまで変更できないので、ゲージの状態やステージの攻略法を考えながら武器を選ぶ戦略性もある。

凍らせてから吸収して、自分の能力を変化させられる。凍らせた敵は持ち上げて投げたりもできるので、氷の扱いが攻略のポイントに
「ムームーのアクション2」
【著作権者】
mumimumi 氏
【対応OS】
Windows XP/Vista/7/8および64bit版のVista/7/8(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.3(14/02/12)

スーパー老婆の本格派アクションゲーム「スーパーピチピチガールヒコ美」

「スーパーピチピチガールヒコ美」

 タイトルに反して、どう見ても老婆のキャラクターで進むアクションゲーム。老婆の基本攻撃は頭突きで、敵は夢に出てきそうな奇妙な生物、ゲームの説明はアラビア文字で書かれていたりするなど、見た目は完全にネタに走った作品。

 きっと一発ネタ物だろう思って遊んでみると、これが意外としっかりできたアクションになっている。攻撃は頭突きの他に、踏みつけ、正面と斜め上への火炎砲も使用可能。移動は左右とジャンプに加え、ダッシュも可能となっている。ダッシュ距離が長くなると垂直の壁を登れたり、水上を走れたりという、見た目に笑えるけれど実際に役立つ技もある。

 途中で時々拾える巻物を使うと、さまざまな効果を得ることが可能。画面全体にダメージを与えるありがちなものもあれば、若返って空を飛べるようになったり、空から爆弾が雨あられと降ってきて敵だけでなく自分もダメージをもらったり、応援団が出現するが効果がよくわからなかったりと、ネタもやりたい放題。笑えるけれどゲームとしてもきちんと完成しているところが実に憎らしい作品だ。

イロモノかと思いきや、ギミックが多彩に盛り込まれた完成度の高いアクションゲーム。見た目に騙されず真面目に遊んでみてほしい
「スーパーピチピチガールヒコ美」
【著作権者】
O松 氏
【対応OS】
Windows XP/8(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
-(14/01/30)

(石田 賀津男)