週末ゲーム

第576回

大爆発で敵を倒す爽快シューティング風ゲーム「ムラサキ」

弾幕を避けて爆発で反撃!パズル要素の強い新ジャンル作品

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、シューティング風ゲーム「ムラサキ」をご紹介する。

ブロックを撃って大爆発に巻き込め!

画面は2Dシューティングゲーム風

 「ムラサキ」は、ブロックを爆発させて敵を倒すシューティング風ゲーム。爆発の危機に瀕する世界を救うために、海浬と沙月という2人の主人公が戦う(細かい理由はひとまず気にしないでいただきたい)。

 本作は一見すると縦スクロールの2Dシューティングゲームに見えるのだが、実態は少し異なる。作者は本作のジャンルを“爆発パズル物理アクションゲーム”と呼んでおり、これがゲームの内容を過不足なく表している。

 基本操作は、前後左右への移動と前方へのショット、弾数制限のある必殺攻撃のみと極めてシンプル。ショットは敵を倒したり、弾を消したりという効果があるものの、常に単発しか出せないため攻撃力としては乏しい。しかしショットを浮遊するブロックに当てると爆発を引き起こし、敵や弾を巻き込んで消すことができる。

 ブロックにショットを当てると、そのブロックは弾かれて1秒ほど動き、その後で爆発する。この時、弾かれたブロックが同じ色のブロックに接触すると、そのブロックも弾かれて爆発する。爆発までの動きで玉突き的に接触したブロックが増えるほど、ブロックの爆発力は上昇。5つほどまとめて爆発させられれば、フィールドの全体を爆風に巻き込めるほど大きなものになる。これで多数の敵や弾を一度に撃破することが可能だ。

 ブロックは時間が経過すると、フィールド上に新しいものが次々と湧き出てくる。ブロックの色は序盤は2色で、後に3色以上に増加。色の異なるブロックは互いに接触判定がなく、ショットも最初に命中したブロックにのみ当たり判定が出るので、同色のブロックが固まっている場所を撃てば大きな爆発を狙える。特定の色のブロックだけを狙うような神経質な操作は求められないので、派手な爆発による爽快感が気軽に味わえる。

 爆発は攻略のみならず、巻き込んだ敵や弾を半透明の得点アイテムに変えられるので得点稼ぎの点でも重要だ。なおステージの左右の壁には触れてもダメージを受けず、むしろ触れると浮遊する得点アイテムを回収できるので、大爆発の後は壁に触れることで得点稼ぎがはかどる。

海浬と沙月の2人が世界を救うために戦う
赤や青の色をしたブロックを撃つと弾かれたように動き、その後爆発する
爆発に敵や弾を巻き込んで消していく

ボス戦の弾幕から生まれる格別の爽快感

ボス戦は弾幕も厳しく、シューティングゲームっぽさが増す

 本作はステージクリア型のゲームとなっており、各ステージの最後にはボスが登場する。ボスにダメージを与えるには、ショットを当てる、ブロックの爆風に巻き込むという方法に加え、ボスが放った弾を爆風で消すという方法がある。爆風で消された弾は楔のような形になり、ボスへと飛んでいってダメージを与えてくれる。

 先述の通り、ショットは連射が効かないため、これだけでボスに勝つのは難しい。またボスの攻撃もかなり激しいものがあるので、爆風による弾消しも必要になってくる。攻撃と防御の両面で、ボスの弾消しが重要になるゲームだ。

 ただ、目に見えるブロックを撃っているだけでは爆風の範囲は狭く、ボスに効果的なダメージは与えられない。ボスの弾を消すことがダメージになるということは、ボスの弾がない時に爆発をさせてもダメージが稼げないということになる。あえてボスに多数の弾を撃たせてから、爆風で一度に消して反撃するというのが効果的な戦い方だ。

 またブロックの数が少ないと爆風も小さくなるので、適度な個数になるまで待つのも大切。ボスの攻撃を回避してブロックの増加を待ち、ここぞというタイミングで大爆発を起こして敵弾を一気に消し、大ダメージを与える。静と動のメリハリがある戦いで、シューティングゲーム的な弾幕避けの楽しさと、爆風による爽快感が繰り返し味わえる。

 またボスに一定のダメージを与えると会話シーンが挟まれ、このとき赤いモヤモヤしたアイテムが出現することがある。これを拾うと、ボスが決闘モードとなり、拾わなかった場合とは異なる激しい攻撃を仕掛けてくる。さながら弾幕シューティングのような状態になるが、それでも敵弾を爆発で消せることには変わりない。苛烈な攻撃を避けつつ、うまく大爆発を引き起こせた時の爽快感が実に癖になる。

ボスの攻撃を避けつつ、ブロックが溜まるのを待つ
画面内に多くの弾があるのを見計らって起爆。一気に大ダメージを与えられる
決闘モードに入れば、ボスの攻撃がさらに苛烈になる。難しくはなるが、反撃の爽快感は抜群だ

実は仕掛けや謎解きの多いパズルゲーム?

ただ倒すだけではクリアにならないボスもいる

 本作は深く考えずに遊んでいると、エンディングには到達できない。一部のボスは、特定のパターンで戦わないとクリアできず、強制的にステージ攻略失敗扱いになる。ただ回避や爆破が上手なだけではクリアできないという辺りも、一般的なシューティングゲームとは趣が異なる。

 爆発は爽快だが、効率よく狙った爆発を起こすにはコツが要る。ショットで弾かれるブロックの動きは物理計算されており、たとえばブロックの左側を撃てば右に飛んでいく。動きのイメージは、ビリヤードを想像していただくとわかりやすい。多くのブロックを接触させて大きな爆風を作るには、最初のブロックを撃つ場所が極めて重要になる。

 ブロックの数が多くなれば大爆発を作りやすくはなるのだが、あまりブロックを溜めすぎると、移動できる場所を塞がれて身動きが取りづらくなる。とくにショットは正面にしか撃てないので、フィールドの最下部にブロックが来てしまうと、撃ったり他のブロックをぶつけたりするのが極めて難しくなる。敵の弾幕が来たのに、撃ちたいブロックを撃てる位置まで移動できない……というのが、油断していると結構な割合で起こる。

 そのため、身動きが取れる範囲でブロックを壊しつつ溜めるという計画性も求められる。この辺りはまさにパズルだ。このように、単なるシューティングゲームとは違う面白さや頭の使いどころがあるのが、本作の魅力と言える。

 このほか、特定の条件を満たすことで解除される実績要素もある。やりこみ要素として機能するが、ここにはエンディングを見るためのヒントも隠されているので、攻略に詰まったらまず実績の解除に励むのがいい。また一度聴いた音楽は実績として登録され、何度でも聴き直せる。

 ゲームを攻略してボスとの会話を眺めたり、実績を解除していくことで、本作のストーリーも見えてくる。テキストアドベンチャーゲームのように事細かに語られるわけではないが、世界が爆発するという破天荒な設定からは想像できない、ちょっと泣ける物語も見えてくる。ゲームだけでなく世界全体を楽しむつもりで、じっくり遊んでいただきたい。

ブロックが多ければ楽になるとは限らない。接触するとダメージになるため邪魔になることも
実績要素もあり。開放することで新たな設定やストーリーを読める
ボス戦では合間に会話シーンもある。実績で見られる話題と絡めて、世界観を楽しみたい

ソフトウェア情報

「ムラサキ」
【著作権者】
カタテマ
【対応OS】
(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.0.0(14/10/16)

(石田 賀津男)