マルわかり!Windows 10 Mobileガイド

第78回

LAN上の共有フォルダーからファイルを取り出せない!

「Total Commander」ならアクセス可能

 Windows 10 MobileはモバイルOSとしての基本的な機能を備えているだけでなく、タッチパネル搭載のWindows 10パソコンに近い操作感で利用できるのが特徴だ。本連載ではWindows 10 MobileのTipsのほか、OSを取り巻く旬の話題などを紹介する。

LANやOneDriveにも対応する多機能ファイラー

 Windows 10 Mobileは「エクスプローラー」を備えているため、一見するとWindows 10のようにLAN上の共有フォルダーにアクセスできるように見えるが、実はアクセスできない。エクスプローラーを起動しても、アクセスできる領域は本体のユーザーフォルダーや、SDカードのみである。

「エクスプローラー」で“このデバイス”にアクセスした状態。システムフォルダーなどへのアクセスは禁止されている

 Windows Phone 8.x時代から使っている読者諸氏なら、共有フォルダーへアクセスできる「ShareFolder Explorer」の存在を思い出すと思われるが、開発者のJ. Arturo氏は2016年7月の時点で同アプリの開発終了をブログ上で表明している。

「ストア」アプリで「ShareFolder Explorer」のページにアクセスすると、“~現在は使用できません”というメッセージが現れる

 そこで今回は「Total Commander」を使ったアクセス方法を紹介しよう。ちなみに本アプリはWindows 3.1時代にリリースされた有名ファイラーのモバイルアプリ版。当時は多くの国産ファイラーアプリが存在したため、初めて目にする方も多いかもしれないが、海外では著名アプリのひとつに数えられている。共有フォルダーへのアクセスは「ShareFolder Explorer」と同じく、「SharpCifs」ライブラリを用いているので、内部ロジックに大差はない。

 さて、「Total Commander」を起動すると、“写真”や“音楽”といった各ユーザーフォルダーに加えて、FTPやOneDriveといったインターネット上のサービスも並んでいるが、今回はLANへの接続設定を紹介する。ちなみに[設定]画面ではWINSサーバーの指定が可能だが、LAN内で未設定の場合は改めて指定する必要はない。

「Total Commander」のトップ画面。ここから[LAN]をタップする
[新しい接続]をタップして接続設定を行う
まずは接続名をテキストボックスへ入力する。内容は自身がわかりやすければ何でもよい
[サーバー名/ディレクトリ]欄には“{コンピューター名}/{共有フォルダー名}”の形式でアクセス先を入力。[ユーザー名]および[パスワード]欄は接続先PCのアカウント情報を入力する

 接続設定を作成し終えたら、アイコンをタップすれば何の問題もなくアクセスできる。若干の癖があるものの、単独・複数ファイルのローカルストレージなどへのコピーなども行える。“若干の癖”とは「Total Commander」がファイラーとして動作する点だ。2画面ファイラーをイメージするとわかりやすいのだが、フリック操作で切り替わる2画面間でファイルのコピーを行う仕組みのため、左画面で共有フォルダー上のファイルを選択し、右画面で保存先を選択してコピーを実行する。この感覚に慣れれば使いやすくなるだろう。

リストに加わった接続情報をタップすると、ネットワークへの接続を開始する
こちらが接続した状態。ご覧のように日本語名を付けたフォルダーへもアクセスできる
ファイルを選択してから長押しすると現れるコンテキストメニューからコピー操作が可能だ

 ただし、そのままではWindows 10の共有フォルダーにアクセスできない。前述した操作はNAS(Samba)で行っており、Windows 10上の共有フォルダーに同様の手順でアクセスするとエラーになる。

Windows 10上の共有フォルダーにアクセスすると、エラーになってしまう

 これはWindows 10側のLAN Manager認証方式がNTLMv2に固定されているからだ。Windows 10の「ローカル セキュリティ ポリシー」で設定を変更するか、レジストリの“HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Lsa”キーに並ぶDWORD値“LmCompatibilityLevel”のデータを“1”に変更する。さらに[共有の詳細設定]画面で[40 ビット暗号化または 56 ビット暗号化を使用するデバイスのためのファイル共有を有効にする]項目を選択することで、Windows 10上の共有フォルダーにアクセスできることを確認した。ただし、セキュリティレベルは低下してしまうため、常に本設定を有効にすることはおすすめしない。

「ローカル セキュリティ ポリシー」のツリーペインで[ローカル ポリシー]→[セキュリティ オプション]と展開し、[ネットワーク セキュリティ: LAN Manager 認証レベルのプロパティ]を[LMとNTLMを送信する]に変更する
[共有の詳細設定]画面で[40 ビット暗号化または 56 ビット暗号化を使用するデバイスのためのファイル共有を有効にする]項目を選択する
Windows 10上の共有フォルダーにアクセスした状態

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