マルわかり!Windows 10 Mobileガイド
第82回いち早くCreators Updateの新機能を知りたい
モバイル版はエンタープライズ系機能の強化が中心
2017年1月24日 06:00
Windows 10 MobileはモバイルOSとしての基本的な機能を備えているだけでなく、タッチパネル搭載のWindows 10パソコンに近い操作感で利用できるのが特徴だ。本連載ではWindows 10 MobileのTipsのほか、OSを取り巻く旬の話題などを紹介する。
PCなどと連動したクリエイティブな活動に期待
Windows 10は年に2回ほど大型アップデートをリリースし、最新のIT技術やセキュリティ対策に追従する仕組みを備えている。それはWindows 10 Mobileも同じだ。2017年早期にリリース予定のWindows 10 Creators Updateを目指し、Windows 10 Insider Previewの開発が進んでいる。そろそろ開発も終盤に入ろうとしているため、直近のOSビルド15007を例にWindows 10 Creators Updateで備わる機能をご紹介しよう。
ビルド15007では、「設定」の[システム]-[ストレージ]画面に並ぶ本体(もしくはSDカード)を選択すると表示される[アプリとゲーム]画面で、任意のUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリの[詳細オプション]が確認できる(極めて一部のアプリは用意されていない)。
[詳細オプション]にはアプリ本体やダウンロードしたデータが示すストレージ容量に加えて、アプリを初期化する[リセット]ボタンが並んでいる。文字どおりアプリのキャッシュをクリアし、「ストア」からダウンロードした直後の状態に戻す機能だ。PC版では先行して実装されていたが、Windows 10 Mobileでもアプリが不安定になった場合に再インストールする手間が省ける。ただし、本ビルドでは正常に動作しなかった。
他方でセキュリティに関する強化が図られるのも特徴の1つだ。クラウド上でIDやアクセス管理を行うAzure Active Directory(AAD)に接続したデバイスの場合、Enterprise State Roamingを有効にすることで、パスワードや無線LANプロフィール、「Microsoft Edge」のお気に入りやリーディングリスト、アプリのデータをデスクトップPCと共に同期可能になる。もちろんデスクトップPCもAADに参加する必要があるものの、これまで連携が弱かったPCとモバイルの関係性が改善されると述べても過言ではないだろう。
AAD接続のメリットは同期機能にとどまらず、Microsoftアカウントの代わりに職場や学校のアカウントでCortanaへのサインインできるようになるほか、MDM(Mobile Device Management)管理下のデバイスではSDカードの暗号化も有効になる。本誌をご覧になっている多くのエンドユーザーにはメリットとはならないものの、日本マイクロソフトが推し進める“Windows 10 Mobileの法人企業推し”では功を奏する新機能ばかりだ。
それではエンドユーザーのメリットに直結する新機能はあるのかと問われれば、残念ながら多くはない。XAMLフレームワークの更新によるUWPアプリの視認性向上や、デバイス管理の向上といった変更が加わったほか、「Microsoft Edge」が“Payment Request API”をサポートすることで、Eコーマスサイトでの買い物時にクレジットカードをサイト側に伝える必要がなくなる。だが、日本国内で利用されている気配がない「ウォレット」は存在感をなくし、Windows 10 Mobileデバイスを通じた電子決済は当分先の話になりそうだ。
だが、Windows 10 Creators Updateは、名前が表すようにクリエイター向け機能が多く搭載される。現在のOSビルド15007でも3Dオブジェクトビューアーである「View 3D Preview」や専用SNS「Remix 3D」の存在を確認できるように、外出先で気になる対象を3Dスキャンし、PCで作った3Dオブジェクトをスマホで確認するといったシナリオも実現可能だ。
すべての機能が未公開である現時点では大きいことはいえないものの、クリエイターに広く門戸を開くというWindows 10 Creators Updateのコンセプトは、Windows 10 Mobileにも展開されそうだ。詳しくは正式リリース以降に、Windows 10 Mobileの視点から改めて注目ポイントをご紹介したい。
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