クリエイターが知らないと損する“権利や法律”
タイトルや見出しは著作物じゃない
~第2章:著作権で保護される作品を教えて!~
2016年7月21日 07:00
オンラインソフト作者に限らず、あらゆるクリエイターが創作活動を続けるために、著作権をはじめとして知らないと損する法律や知識はたくさんある。本連載では、書籍『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』の内容をほぼ丸ごと、三カ月間にわたって日替わりの連載形式で紹介。権利や法律にまつわる素朴な疑問に会話形式の堅苦しくない読み物でお答えする。
前回掲載した“キャラクターは保護されるのか”の続きとして、今回は“タイトルや見出しは著作物じゃない”というテーマを解説する。
タイトルや見出しは著作物じゃない
先生、さっき、登場人物の名前は著作物じゃないって言ってましたけど、作品のタイトルはどうなんですか?
いい質問ですね。例えば手塚治虫さんの作品に、天才無免許医を描いた『ブラック・ジャック』という漫画があります。
これによく似たタイトルで、研修医が直面する日本の医療現場を描いた『ブラックジャックによろしく』という漫画があります。佐藤秀峰さんの作品です。
うお、似てる。どちらもお医者さんを描いた漫画ですか。
これって、大丈夫なんですか? 『・』がないからOK?
惜しい。一般的に作品のタイトルは、著作物ではないとされています。
登場人物の名前と同様に、短すぎて創作的な表現とは言えない、などというのがその理由です。
じゃあ、長い場合はどうなるんですか?
僕が最近読んだ作品に『男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。』ってタイトルのラノベがあるんですけど。
ずいぶん長いタイトルですね。それくらい長いと、充分創作的な表現として認められそうです。
逆に、例えば多くの俳句は著作物として認められそうですが、たったの17文字です。
じゃあ、17文字あれば著作物なんですか?
法律で文字数が定められているわけではないので、何文字からが著作物とは断定できないです。
ただ、例えば新聞記事の見出し程度の長さや、小説や歌詞からワンフレーズだけ抜き出しても、創作的な表現として認められる可能性は低いです。
また、慣用表現やありふれた言い回しも、著作物ではありません。
じゃあ、よくアニメで有名な作品のセリフや、ネットで有名なネタが出てきて、『パクリだ!』って騒ぎになりますけど、短いフレーズなら問題ないわけですか。
そう。ただ、法的な問題より、勝手に利用したことによって人間関係を壊してしまうこともあるので、実はわりと事前に挨拶を入れるとか、了承を得ている場合が多いそうですよ。
あ、なるほど!
次回予告
今回の続きとして次回は“単なる事実やデータは保護されない”というテーマを解説する。
原著について
『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』
(原著:鷹野 凌、原著監修:福井 健策、イラスト:澤木 美土理)
クリエイターが創作活動するうえで、知らないと損する著作権をはじめとする法律や知識、ノウハウが盛りだくさん! “何が良くてダメなのか”“どうやって自分の身を守ればいいのか”“権利や法律って難しい”“著作権ってよくわからない”“そもそも著作権って何?”といった疑問に会話形式の堅苦しくない読み物でお答えします!