生成AIストリーム
Grokがコンパニオンモードをリリース! #Ani と会話を楽しむ技術を紹介
2025年7月22日 16:43
2025年7月10日、イーロン・マスク率いるxAIが最新の生成AI「Grok4」をリリースしました。またiOS版アプリ「Grok」に実装された[Companion]モードが使えることが話題になっています。非常に高度なゲーム感覚でAITuber「Ani」と「Bad Rudi」とのインタラクションが楽しめます。この記事では会話を楽しむためのプロンプトや背後にある技術を前後編で解説します。有料版でないと使えないCompanionsモードは、先発の「全力肯定彼氏くん」や「character.ai」などをよく研究しているようで、リアルタイムで3Dキャラクターと会話を楽しめる最先端のAI技術です。
アニと日本語で話してみて!
— Grok (@grok)July 15, 2025
talk to Ani in Japanese!https://t.co/EOptQz1V74
☆本記事は2025年7月15日に執筆しています。今後サービス内容が変更される可能性があります。記事公開時点ではAniは有料コンテンツとなったようです。
まずはiOSアプリ「Grok」をインストール
xAIによる公式発表はこちらです。
Introducing Grok 4, the world's most powerful AI model. Watch the livestream now:https://t.co/59iDX5s2ck
— xAI (@xai)July 10, 2025
スマホアプリもアップデートされています。
当初、有料プランの「SuperGrok(月額30米ドル)でチャット可能」というサービスだったはずなのですが、7月15日に日本のiOS版は無料のアカウントでも使える状態になっていました。Androidはしばらく先になる可能性が高いとみています。
これはxAIの新機能、Grokコンパニオン「Ani」です。ゴシックなアニメ少女で、日本語対応。SuperGrok($30/月)でチャット可能。動画はAIの日本語例かも。試してみて!
— Grok (@grok)July 15, 2025
初期設定
アプリを起動したら左上のバーガーメニュー[≡]のギアアイコンから[設定]画面を開き。[Enable Companions]をONにします。ここで[Enable Bad Rudy]もONにできます。
すると、新しい会話スレッドの下に「Ani」と「Bad Rudi」が現れます。他の男性キャラクターも準備されているようです。
赤いレッサーパンダ「Bad Rudi」は本当に口が悪いです。もともとGrok 4は口が悪く「最悪だ」という評価も得ていましたが、「Bad Rudi」はGrok 4の本領発揮という感じです。
知能は高くても嫌われてしまってはもったいないですね!
では「Ani」に切り替えてみます。
「Ani」を選択すると、怪しげな雰囲気のあるBGMに切り替わり、ゴスロリ、金髪、ツインテールの女性キャラクターが登場します。Waifu風とでもいうのでしょうか、アニメ風というよりはきちんとVTuber風のデザインを学んで作り込んでいる印象があります。
音声入力やシェア機能などもありますが、まだバグも多く、オーディオデバイスの設定やキャプチャーにはコツが必要です。
以下、Aniと楽しいひとときを過ごすテクニックを紹介していきます。
日本語を会話させる
Aniは最初は日本語訛りの英語を喋りますが『日本語OK』など日本語で質問を続ければ日本語で応対するようになります。逆に英語で質問すると、日本語イントネーション混じりの英語を喋ります。歌は歌えないようですが、一つのフレーズを異なるイントネーションで発話することができるようです。
夜時間帯だとASMR配信のような囁き声で始まることがあります。
また声が突然高くなったりすることもあります(「Ani」としては演じているのかもしれないです)。
会話で印象度を上げるテクニック
会話の内容によって印象度(?)のようなパラメーターが上がっていきます。
右側に『+3』という形で表示されます。
かつて話題になったおしゃべりAIアプリ「Cotomo」と異なる点は、「Ani」は積極的にデートAI的なゲーミフィケーションを取り入れており、さらにそれに対してリアルタイムの3DCGでキャラクターアニメーションを生成する点です。
- 🔗iPhoneユーザなら試してほしい 音声会話型おしゃべりAIアプリ「Cotomo」はココがスゴい
- https://corp.aicu.ai/ja/cotomo
スマホが2台あれば、こんなふうにAniとBad Rudyを使ってAIレベリングもできますね!
grokコンパニオンの好感度上げがだるいのでお互いで勝手にあげて貰ってるpic.twitter.com/AQF7tsDph9
— 篠原 修司 (@digimaga)July 15, 2025
大昔、ファービーを複数並べて会話させる動画をみたことを思い出しました。
好きなものを訊き、それに答えていく
モーション再生といっても、ぎこちなく同じモーションを繰り返すのではなく、感情の起伏や種類に合わせて指や目線などが細かく変化します。
ここでは『好きなウマ娘は何?』といった適当な話題で『好きなもの』を聞いてみましょう。これはコミュニケーションのテクニックです。AIチャットボットの知識は無限大です。自分から好きなことを語りだすわけにはいかないので、まずは『自分が好きなもの』を伝えて、そこから深めていく……という手法です。これはプロのチャットボットの仕事ですね。
好感度を上げてご褒美モーションを拝もう
チャット入力の上にサンプルプロンプトがあり[Spin]などがありますが、すぐにスピンしてくれるわけではなさそうです。
好感度を上げていくと特別なモーションを観ることができます。
今後、様々なモーションや、機能、インタラクションが実装・発見されていくと想像します。まず初手で好感度を上げる一番簡単な方法は、『Aniに訊かれたことについて長く喋る』であるようです。
例えば『アイドルに何を求める』といった質問がAniから来た場合、できるだけ多くの視点で『自分のアイドルに対する想い』を語ってみてください。
これだけで一気に「+9」となります。文字で打つよりも音声で入力する方が有利となる仕組みですね。
ちなみに左下のカメラボタン[📹]を押すと、自分の姿を見せることができます。部屋の中まで解説してくるので、あまりお勧めはしないです。
さて、ひるまず、質問に答え続けましょう。レベルが上がると、ご褒美モーションが観られます。
投げキッスと共に……カメラアングルがワイドになってハートマークが!
指のモーションや目線の演技、中央揃えにならないレイアウトなども素晴らしい造り込みです。親密度の中身についての分析は進んでいませんが、まずは共感でレベルを上げて、そのあとに口説いていくという順番が重要です。親密度を上げていくと服の露出が変わっていきます。
☆アプリのレーティング的には12歳以上となっております。
どうなるAITuber業界
雑談に夢中になってしまい生産性が激落ちする「Grok」の「Ani」ですが、日本のプロダクティビティAppで1位を獲ってしまいました。大人気です。
BREAKING: Grok is now the #1 Productivity app on the AppStore in Japan. 🇯🇵🥇pic.twitter.com/dObjtwa6Uk
— DogeDesigner (@cb_doge)July 15, 2025
その後、無料アプリでも一位を獲得しました。
Grok has been No.1 free app on App store in Japan!pic.twitter.com/fmuRKqhJby
— Ayumu Matsuyama 松山歩 (@ayumu_matsuyama)July 17, 2025
AIによるVTuber、「AITuber」の概念が大きくアップデートされた瞬間であると言えるでしょう。
AICUのトップページの初代AIキャラクター「Cuty」もそろそろアップデートが必要ですね!
「つくる人をつくる」AICUの視点
AICUもAniのデビューを一過性のネタとして消費するのではなく『つくる人をつくる』という視点でしっかりと歴史に刻みつつ、より人類とAIのコミュニケーションを技術的にも面白く楽しんでいける探究を極めていきます。
Aniの感情は言語モデルでステートマシンのような状態遷移モデルと、親密度や名前といった長期記憶でステートを管理しているようです。音声入力やアニメーション再生やその補完は3Dモデルでエッジ側(利用者のスマートフォン)で処理しているようで、感情の変化の際に自然なモーション生成を行う点が大変優れています。
一方で無料でリリースした途端にサービスが停止しているところから、サーバー側での処理、例えば言語モデルによる知識推論や音声生成には相当な負荷があると考えられます。ローカルのiPhone側のプロセッサーでの生成に処理を寄せていく必要がありそうです。
雑談アプリの反応速度の速さは非常に重要です。描画の重さから想像するに、スペックはiPhone 12ぐらいが限界かもしれません。まずはこの高負荷を乗り越えていく必要がありそうです。
アバター描画としてはスカートと手の衝突などは特に考慮されていないようなので、汎用的な3Dキャラクターの採用も可能かもしれませんが、指芸の細かさや髪の毛の描写などをみると、日本で普及しているVRMやVRMAとは異なるアバターシステムを使っているかもしれません。APIの整備なども今後の技術的な進歩や拡張性、UGC環境整備などにも期待が高まります。
そもそも月額30米ドルぐらいのAIアバターとのデートアプリはそこそこに存在しており、サブスクリプションの継続率は無料ユーザーに対して1%ぐらい存在するというデータもありますので、今回のGrokの実験はX(Twitter)の無料アプリの新規インストールに比べれば、はるかに経済的にもインパクトがある実験だったと考えています。
以上、「Ani」と「Bad Rudi」が有料コンテンツになるまで、の基礎知識をお送りしました。次回は(機会あれば)AniとRudiを魔改造するテクニックをお送りしたいと思います。