Windows Insider Preview

Windows 11のあまり使われていないセキュリティ機能「スマート アプリ コントロール」にテコ入れ

「一度オフにしたらオンにできない」仕様が変更、気軽にON/OFFできるように

 このコーナーでは、「Windows 11 Insider Preview」ビルドでテストされている最新のOS機能を紹介します。ただし、テストの結果、紹介した機能が製品版OSに搭載されないこともあります。あらかじめご留意ください。

「スマート アプリ コントロール」(Smart App Control:SAC)

  「スマート アプリ コントロール」(Smart App Control:SAC) 「Windows 11 バージョン 22H2」で導入された比較的新しいセキュリティ機能で、クラウドのAIセキュリティサービスを活用して、悪意のあるアプリや信頼できない(デジタル署名されていない)アプリを検知し、起動をブロックする。「望ましくない可能性のあるアプリ」(Potentially Unwanted Application:PUA)、つまりデバイスの動作を遅くしたり、予期せぬ広告を表示したり、不要なアプリを追加でインストールしたりする“お行儀のよくない”アプリのブロックにも役立つ。

 この機能が有効かどうかは、「Windows セキュリティ」アプリの[アプリとブラウザー コントロール]ページ(windowsdefender://smartapp/)で確認できる。

「Windows セキュリティ」アプリの[アプリとブラウザー コントロール]ページ(windowsdefender://smartapp/)

 ON/OFFのほかに「評価」モードがあり、一定期間SACの導入がデバイスの利用に妨げにならないか、保護に役立つかを学習させることが可能。問題がなければONに、そうでなければOFFとなる。

ON/OFFのほかに「評価」モードがある

 さて、SACは「Microsoft Defender」やサードパーティ製ウイルス対策ツールなどとも共存・連携できるため、安全のためにもできれば有効化しておきたいセキュリティ機能だ(あくまで追加のセキュリティ機能であり、ウイルス対策ソフトを置き換えるものではない点には注意)。しかし、実際に利用するにはいくつかのハードルがある。たとえば、以下の場合は有効にできない。

  • デバイスが組織(会社や学校)で管理されている
  • 開発者モードが有効になっている
    開発者モード。開発中の未署名アプリなどもインストールできるようにして、アプリ開発者に便宜を図っている
  • SACの評価モードで、デバイスがSACに適していないと判断された
  • 手動でSACを無効化した
  • Windowsが「S モード」で動作している
  • オプションの診断データが無効になっている
    オプションの診断データ。「設定」アプリ以外にも、OOBEで無効化することも可能

 そしてなにより、 SACが一度無効化されると、有効化するにはOSをクリーンインストールする必要がある 。「Windows Update」などで「バージョン 22H2」以降へ更新したとしても、クリーンインストールではないため、有効にすることができない。さらに、OSをクリーンインストールしたとしても、うっかりOSの初期設定画面(OOBE)で診断データの収集を無効化してしまえば、SACは有効にできず、再度クリーンインストールしなければならなくなる。

 この制限は“互換性とセキュリティのバランスを保つため”の措置だが、あまりにも不便で、SACがあまり活用されていない要因の一つとなっていた。

 そこで、米国時間11月7日にDev/Betaチャネルでリリースされた「Windows 11 Insider Preview」Build 26220.7070(KB5070300)では、SACがアップデート。わざわざクリーンインストールしなくても、SACのON/OFFを切り替えられるようになった。これで少しはSACが身近な存在となるだろう。