NASでスクリプト言語が動いたらこんなに便利![前編]
~ Perlで「Hello World」をやってみた~
2017年4月4日 06:10
NASボックスに、さまざまな機能を追加、カスタマイズできる製品があることはよく知られている。特に、海外メーカー製NASは、ブラウザ上で動くGUIベースの管理画面を用意、標準の各種サーバー機能に加え、追加アプリで様々な機能追加が簡単に行える。
そして、そのなかでも変わった位置づけにあるのが、PerlやPython、Rubyといったスクリプト言語だ。こうしたスクリプト言語をうまく使えば、「日々のちょっとしたことを自動化して、手間が省けるんじゃないかな」的なことを思いついた人もいるだろう。
しかし、インターネット上を探してみても、まとまった情報はほとんどない。動作報告例はあるものの、その詳しい手順まではなく、「どうしようか……」と思った人も多いだろう。そこで今回、ASUSTORのNASボックス“AS6204T”を例に、実際にPerlを動作させ、何ができるかを前後編でお届けしたい。
前編の今回は、Perlをインストールし、テストスクリプトを動作させるところまで。筆者の力量の関係で、Perlオンリーにはなってしまうが、NASでスクリプトを扱う参考になれば幸いだ。
なお、NASのNASらしい(?)使い方については、これまで掲載した以下の関連記事を参照のこと。
Perlの実行環境を構築するまで(1)NASの「Perlアプリ」をインストール
さて、NASボックスにHDDを装着し、初期化しファイル共有ができるところまでは省かせていただくとして、肝心のPerlの導入までの手順を紹介していこう。
まず、ASUSTOR製NAS導入時にインストールする「ASUSTOR Control Center」を起動し、自動取得されたIPアドレスを元に、ブラウザー上に「ADM」の管理画面を開く。
次に「ADM」のデスクトップ上には「App Central」アイコンがあるので、これを開く。App Centralがパッケージ管理システムだ。なお、App Centralからパッケージ(アプリと呼ぶ)をインストールするためには、セットアップ時、あるいは[設定]の[登録]項目でASUSTOR IDでログイン(あるいはID作成)を済ませておく必要がある。
App Centralはすでにインストール済みのアプリを確認したり、あるいは提供されている各種のアプリを検索&インストールすることができる。そこで、左ペインの「すべてのアプリ」をクリックし、その上で画面右上にある検索窓に「Perl」と入力しよう。そうすれば、Perlのアプリが絞り込まれるので簡単に見付け出すことができる。
インストールは、Perlのパッケージの下にあるボタンをクリックするだけだ。クリック後は自動的にインストールステップが進み、しばらくの後に元の画面に戻って完了する。念のため、左ペインの“インストール済み”を確認し、そこにPerlがあればOKだ。
Perlの実行環境を構築するまで(2)SSHを有効化、PCからSSHでログイン
Perlが導入できたとして、その動作を確認するにはSSHプロトコルを有効化し、SSHクライアントから接続するのがよい。SSHプロトコルの有効化は、ADM上の[サービス]から行なう。サービスを開いたら、左ペインにある[端末]を開こう。そこに[SSHサービスを有効にする]というチェックボックスがあるので、これにチェックを入れ[適用]を押せばOKだ。
Perlの動作確認は、Windows上で利用できるSSHクライアントの「PuTTY」を用いた。PuTTYから“AS6204T”のIPアドレスを指定し、Admin権限でログインする。
SSH有効化時の記載のとおり、“AS6204T”ではrootまたはAdmin権限でしかSSH機能を利用できないとのことだ。PuTTyから“AS6204T”へのログインが成功したら、とりあえず「perl -v」と一行入力してみればよいだろう。Perlが動作する環境が整っていれば、Perlのバージョンを返してくれるはずだ。
“Hello World!”がまず動作!
次はスクリプトを動かしてみたい。とりあえずお決まりの『Hello World!』でいいだろう。
1| #! /user/bin/perl
2| print "Hello world\!\!\n";
これを「PuTTY」から保存した場所までパスを辿って実行してみる。うまく動けばPerlの動作確認は完了だ。
ここまでが、ASUSTOR製NAS上にPerlの実行環境を構築する手順だ。次回は、もう一歩前進してNAS上でPerlを動かすことで何かかゆいところに手が届かないか、探っていこうと思う。
[制作協力:ASUSTOR / ユニスター]