NASでスクリプト言語が動いたらこんなに便利![前編]
~ Perlで「Hello World」をやってみた~

ASUSTOR社のNAS。今回は4ベイタイプの“AS6204T”とWDのNAS向けHDD「WD Red」の組み合わせでテストした

 NASボックスに、さまざまな機能を追加、カスタマイズできる製品があることはよく知られている。特に、海外メーカー製NASは、ブラウザ上で動くGUIベースの管理画面を用意、標準の各種サーバー機能に加え、追加アプリで様々な機能追加が簡単に行える。

 そして、そのなかでも変わった位置づけにあるのが、PerlやPython、Rubyといったスクリプト言語だ。こうしたスクリプト言語をうまく使えば、「日々のちょっとしたことを自動化して、手間が省けるんじゃないかな」的なことを思いついた人もいるだろう。

 しかし、インターネット上を探してみても、まとまった情報はほとんどない。動作報告例はあるものの、その詳しい手順まではなく、「どうしようか……」と思った人も多いだろう。そこで今回、ASUSTORのNASボックス“AS6204T”を例に、実際にPerlを動作させ、何ができるかを前後編でお届けしたい。

 前編の今回は、Perlをインストールし、テストスクリプトを動作させるところまで。筆者の力量の関係で、Perlオンリーにはなってしまうが、NASでスクリプトを扱う参考になれば幸いだ。

 なお、NASのNASらしい(?)使い方については、これまで掲載した以下の関連記事を参照のこと。

Perlの実行環境を構築するまで(1)NASの「Perlアプリ」をインストール

 さて、NASボックスにHDDを装着し、初期化しファイル共有ができるところまでは省かせていただくとして、肝心のPerlの導入までの手順を紹介していこう。

 まず、ASUSTOR製NAS導入時にインストールする「ASUSTOR Control Center」を起動し、自動取得されたIPアドレスを元に、ブラウザー上に「ADM」の管理画面を開く。

Windows用ユーティリティ「ASUSTOR Control Center」。起動すれば自動的にネットワーク上のASUSTOR製NASを検出してくれる。対象のNASをクリックすればWebブラウザーが起動し、「ADM」画面が表示される

 次に「ADM」のデスクトップ上には「App Central」アイコンがあるので、これを開く。App Centralがパッケージ管理システムだ。なお、App Centralからパッケージ(アプリと呼ぶ)をインストールするためには、セットアップ時、あるいは[設定]の[登録]項目でASUSTOR IDでログイン(あるいはID作成)を済ませておく必要がある。

ADMの画面はスマホのホーム画面風

 App Centralはすでにインストール済みのアプリを確認したり、あるいは提供されている各種のアプリを検索&インストールすることができる。そこで、左ペインの「すべてのアプリ」をクリックし、その上で画面右上にある検索窓に「Perl」と入力しよう。そうすれば、Perlのアプリが絞り込まれるので簡単に見付け出すことができる。

App Centralはアプリ全般を管理するツール
すべてのアプリを表示した状態で右上の検索窓にPerlと入力。上段右端がPerlだ

 インストールは、Perlのパッケージの下にあるボタンをクリックするだけだ。クリック後は自動的にインストールステップが進み、しばらくの後に元の画面に戻って完了する。念のため、左ペインの“インストール済み”を確認し、そこにPerlがあればOKだ。

インストールと書かれたボタンを押すと、確認画面が表示されるのでここもインストールを押す
しばらくすれば先程インストールと書かれていたボタンが“インストール済み”に変わるはずだ
“インストール済み”の項にもPerlが表示される

Perlの実行環境を構築するまで(2)SSHを有効化、PCからSSHでログイン

 Perlが導入できたとして、その動作を確認するにはSSHプロトコルを有効化し、SSHクライアントから接続するのがよい。SSHプロトコルの有効化は、ADM上の[サービス]から行なう。サービスを開いたら、左ペインにある[端末]を開こう。そこに[SSHサービスを有効にする]というチェックボックスがあるので、これにチェックを入れ[適用]を押せばOKだ。

サービスの端末の項にSSHの設定項目がある
[SSHサービスを有効にする]にチェックして[適用]ボタンを押せば利用可能になる

 Perlの動作確認は、Windows上で利用できるSSHクライアントの「PuTTY」を用いた。PuTTYから“AS6204T”のIPアドレスを指定し、Admin権限でログインする。

 SSH有効化時の記載のとおり、“AS6204T”ではrootまたはAdmin権限でしかSSH機能を利用できないとのことだ。PuTTyから“AS6204T”へのログインが成功したら、とりあえず「perl -v」と一行入力してみればよいだろう。Perlが動作する環境が整っていれば、Perlのバージョンを返してくれるはずだ。

クライアントは「PuTTY」を使ってみた。“AS6204T”のIPを入力したら右下にある「開く」ボタンを押す
ターミナル画面が開くのでAdmin権限でログインする
Perl導入後は“perl -v”でバージョンが表示される

“Hello World!”がまず動作!

 次はスクリプトを動かしてみたい。とりあえずお決まりの『Hello World!』でいいだろう。

1| #! /user/bin/perl
2| print "Hello world\!\!\n";
名前をsample.plとしてUTF-8形式で保存した

 これを「PuTTY」から保存した場所までパスを辿って実行してみる。うまく動けばPerlの動作確認は完了だ。

無事『Hello world!!』と表示されれば動作確認も完了

 ここまでが、ASUSTOR製NAS上にPerlの実行環境を構築する手順だ。次回は、もう一歩前進してNAS上でPerlを動かすことで何かかゆいところに手が届かないか、探っていこうと思う。

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[制作協力:ASUSTOR / ユニスター]