特集
週末にチャレンジ! 「Windows 10」へのアップグレード
1カ月以内ならば手軽に「Windows 7」「Windows 8.1」へのロールバックも可能
2015年7月31日 19:18
新OS「Windows 10」が、とうとう正式にリリースされた。「Windows 10」は従来の「Windows」と異なり、なんとアップグレードが期間限定で無償提供される(2016年7月29日まで)。「Windows 7」「Windows 8.1」で提供されているツールでアップグレードを予約しておけば、間もなくアップグレードの案内が通知されるはずだ。
しかし、なかには案内が待ちきれない、この週末にアップグレードしてみたいといったユーザーも少なくないだろう。そこで今回はMicrosoftが公開している「メディア作成ツール」を利用して手動で「Windows 10」へアップグレードする方法をご紹介する。元の環境へ戻す方法も併せて紹介しているので、この週末でぜひ「Windows 10」に触れてみてほしい。
下準備
まずはアップグレードの前にいくつか下準備を行っておこう。
まずは、「Windows 10」のシステム要件と互換性のチェックだ。「Windows 10」へのアップグレードが可能なのは「Windows 7」「Windows 8.1」のみ(一部エディションを除く)。また、“Windows Update”で最新の状態にしておく必要がある。
なお、ハードウェアの要件は「Windows 7」と変わらない。「Windows 7」が動作するシステムであれば、基本的に「Windows 10」も動くはずだ。ただし、アップグレードのためにストレージの空き領域を確保しておくのを忘れないようにしたい。
ハードウェアの互換性は、「Windows 10」のアップグレード予約ツールを利用すれば簡単にチェックできる。また、メーカー製のPCを利用している場合は下記リンクに互換性情報がまとめられている。アップグレードの前に一読しておきたい。
- Windows 10 互換性情報 & 早わかり簡単操作ガイド - Microsoft atLife
- https://www.microsoft.com/ja-jp/atlife/campaign/windows10/compat/default.aspx
次に、自分が今使っているWindowsのエディションとアーキテクチャ(32bit版か64bit版か)をあらかじめチェックしておくとよいだろう。Windowsのエディションとアーキテクチャが掲載されたシステム情報は、「Windows 7」であれば「エクスプローラー」の“マイ コンピュータ”、「Windows 8.1」であれば「エクスプローラー」の“PC”を右クリックし、[プロパティ]メニューを選択すれば閲覧することができる。
もう一つ、忘れてはならないのはデータのバックアップだ。
「Windows 10」は、アップグレード後1カ月の間であれば、いつでも簡単に元の環境へロールバックすることが可能(具体的な方法は後述)だが、特定の操作を行うとロールバック処理が行えなくなるほか、OSそのものを破壊してしまってロールバックできなくなることも考えられる。OSの機能だけに頼らず、自分でバックアップすることを強くお勧めしたい。
窓の杜ではオンラインソフトを利用してイメージバックアップを行う方法を紹介しているので、そちらも参考にしてほしい。
「メディア作成ツール」でインストールメディアを作成
では、早速「Windows 10」のクリーンインストールやアップグレードを行うためのインストールメディアを作成することにしよう。
インストールメディアを作成するには、Microsoftが公式に提供している「メディア作成ツール」を利用する。このツールは、ISOイメージファイルのダウンロードに利用することも可能。このツールを利用したISOイメージファイルのダウンロードは高速かつ安定しているので、“MSDN サブスクリプション”の購読者もこのツールを利用してISOイメージファイルをダウンロードすることをお勧めする。
「メディア作成ツール」は、下記URLから無償でダウンロードできる。32bit版と64bit版があるので、自分の環境に適したものを選択しよう。
「メディア作成ツール」をダウンロードしたら、早速起動してみよう。[ユーザー アカウント制御]ダイアログが表示されたら、[はい]ボタンをクリックして先に進む。
最初の画面では、インストールメディアを作成するかどうかを選択する。今回は[他の PC 用にインストール メディアを作る]ラジオボタンを選択して、インストールメディアを作成することにしよう。インストールメディアが不要であれば、[この PC を今すぐアップグレードする]ラジオボタンを選択してそのままアップグレード処理へ進むこともできる。その場合は、次節まで読み飛ばしてほしい。
なお、インストールメディアを作成するには、4GB以上の空き領域がある書き込み可能なDVD、もしくはUSBメモリが必要。メディア内にあるデータはすべて削除されるため、空のDVDやUSBメモリを利用するのがお勧めだ。
次に、ダウンロードする「Windows 10」の“言語”、“アーキテクチャ”、“エディション”を選択する。言語を“日本語”にすると、“エディション”として「Windows 10 Home」「Windows 10 Pro」が選択できるようになるので、以下の表と現在自分が利用しているエディションを照らし合わせて、適切なものを選択しよう。
“アーキテクチャ”は32bit版と64bit版を選択することが可能。これも今自分が利用しているものに合わせておこう。
続いて、インストールメディアの種類を選択する。今回はインストールDVDを作成するためにISOイメージファイルを選択したが、光学メディアドライブのないPCではUSBメモリ(USBフラッシュドライブ)を選択することになるだろう。
「メディア作成ツール」で必要な設定は、以上だ。
[次へ]ボタンをクリックすると、「Windows 10」のダウンロードが始まり、ダウンロードしたファイルが改竄されていないか・壊れていないかの検証の後、問題がなければ指定したフォルダーへISOイメージファイルが出力される。
Windows 7以降ならば、ISOイメージファイルをDVDへ書き込む機能がOS標準で搭載されている。出力されたイメージファイルの右クリックメニューにある[書き込み]を選択すれば、接続されている光学メディアドライブでイメージファイルをDVDへ書き込むことができる。
作成したインストールメディアで「Windows 10」へアップグレード
インストールDVDの作成が完了したら、次はいよいよ「Windows 10」へのアップグレードだ。作成したディスクをドライブへ挿入し、“Setup.exe”を実行して「Windows 10 セットアップ」を起動しよう。
なお、インストールメディアを利用して「Windows 10」をクリーンインストールしてしまうと、Windows 7/8.1のライセンスを利用した無償アップグレードの適用外となってしまうので注意。面倒でもかならずWindows 7/8.1環境から「Windows 10 セットアップ」を起動してアップグレードを行うようにしよう。
「Windows 10 セットアップ」の最初の画面は、重要な更新プログラムをインストールするかどうかを選択する画面だ。
アップグレードが失敗してしまうなど、特に理由がない場合は[更新プログラムをダウンロードしてインストールする]ラジオボタンの選択がお勧め。「Windows 10」向けの更新プログラムをあらかじめダウンロードし、セットアップの際に適用しておくことで、安全に「Windows 10」を使い始めることができる。
あとはライセンス条項に同意すると、「Windows 10」のアップグレードが可能となる。
なお、初期設定のままであれば、ユーザーフォルダーに保存されているデータ、インストールされているアプリケーション、システムの設定がそのまま「Windows 10」へ引き継がれ、これまで通り利用することができる。
ただし、「Windows 10」と設定に互換性がなかったり、「Windows 10」には存在しないアプリケーションのデータは引き継がれないので注意。
たとえば、「Windows 7」のデスクトップ ガジェットは「Windows 10」には引き継がれず、利用できなくなる。また、「Windows 7」にあらかじめインストールされていた「ソリティア」、「マインスイーパー」などのゲームは、「Windows 10」へアップグレードする際に削除される(「ソリティア」の後継にあたる「Microsoft Solitair Sollection」は「Windows 10」に同梱。そのほかのアプリも“Microsoft ストア”から入手可能)。
そのほか、「OneDrive」が「Windows 10」に統合されておりWindows 7/8.1環境と互換性がなくなっている。プレースホルダーファイルがサポートされなくなった代わりに、フォルダーの選択同期が可能になっているなど、動作仕様が一変しているので注意したい(下記ニュース記事を参照のこと)。
また、古いアプリから後継アプリに自動でデータが移行されることもないので注意。たとえば「Windows 7」で「Windows Liveメール」を利用していた場合、「Windows Liveメール」はそのまま「Windows 10」でも利用できるが、「Windows 10」標準の「メール」アプリにデータが移行されたりはしない。
特に影響が大きそうなのはWebブラウザーだろう。「Internet Explorer」の設定と「Microsoft Edge」の設定は別に管理されており、自動では引き継がれないので注意したい。
なお、引き継ぐデータの種類は、[インストールする準備ができました]画面の[引き継ぐものを変更]リンクをクリックすると変更することが可能。よくわからない場合は、初期設定のまま進むことをお勧めする(本稿でも初期設定を選択)。
「Windows 10」へのアップグレード中は、システムが何回か自動で再起動されるので30分から1時間ほどそのままにしておこう。“ようこそ、こんにちは”という画面になったらアップグレードは完了。初期設定を済ませると、「Windows 10」へログインできるようになる。
「Windows 10」から元の「Windows 8.1」へロールバック
アップグレードした「Windows 10」は、インストールしてから1カ月以内であれば元の「Windows 7」「Windows 8.1」へ戻すことが可能。万が一なんらかの問題が発生して使い物にならなかったり、どうしても馴染めない場合でも、簡単に以前の環境へ戻すことができる。
ただし、ユーザーの追加を行う、“C:Windows.old”フォルダを削除するなどの操作を行うと元に戻せなくなる。また、「Windows 10」にしてから加えた変更の一部が巻き戻ってしまうことがあるので注意したい。
ロールバック処理そのものは、非常に簡単だ。
まず[設定]画面を開き、[更新とセキュリティ]-[回復]画面へアクセスする。すると、“Windows 8.1 に戻す”という項目があるはずなので、そこにある[開始]ボタンを押す。あとは案内に従って処理を進めていけば、「Windows 10」の再起動のあとに元の「Windows 7」「Windows 8.1」環境が復元される。