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「Windows 10 バージョン 2004」以降、パッチのインストールを延期するオプションは削除

“Windows Update”の仕様変更に合わせエンドユーザー向けの設定を簡素化

更新プログラムのインストールを延期するオプション(「Windows 10 バージョン 1909」の場合)

 米Microsoftは6月29日(現地時間)、エンドユーザー向けの“Windows Update”設定を簡素化したと発表した。「Windows 10 バージョン 2004」では更新プログラムのインストールを延期するオプションが削除されている。

 最近の「Windows 10」では、OSのサポート切れが近づいたデバイスを除き、機能更新プログラム(年に2回)が自動でインストールされることはない。そのため、ユーザーが望むのであれば大規模アップデートの頻度を年に1回またはそれ以下に抑え、任意のリリースをより長い期間利用できるようになっている。新しい機能更新プログラムが利用可能になっても、“Windows Update”の画面に現れる[ダウンロードしてインストール]というリンクをクリックしない限りアップグレードは行われない。ユーザー側で機能更新プログラムを導入するタイミングをコントロールできるようになったわけだ。

新しい機能更新プログラムが利用可能になると“Windows Update”の画面に[ダウンロードしてインストール]というリンクが現れる(次期バージョン「Windows 10 バージョン 20H2」の場合)

 しかし、この機能が有効化されるのは機能更新プログラムを延期するオプションを利用していない場合だけだ。そのため、初期状態のままにしておけばOSのサポート切れが近づくまで自動でアップグレードされることはないにもかかわらず、延期オプションを指定したがゆえにより短い頻度で自動アップグレードが行われてしまう可能性がある。機能更新プログラムを延期するオプションは企業が社内のデバイスを管理するうえで有用なオプションだが、エンドユーザーが利用すると意図しない結果を招いてしまう。

 そこで、「Windows 10 バージョン 2004」以降では“Windows Update”の[詳細オプション]ページから更新プログラムのインストールを延期するオプションが取り除かれた。つまり、エンドユーザーが機能更新プログラムの延期を行うことはできなくなった(その必要もない)。

「Windows 10 バージョン 2004」以降のWindows 10では、“Windows Update”の[詳細オプション]ページから更新プログラムのインストールを延期するオプションが取り除かれている(「Windows 10 バージョン 2004」以降の場合)

 月次の品質更新プログラムを先延ばししたいケースはなくならないだろうが、それは“Windows Update”の“一時停止”オプション([更新を 7 日間一時停止]するボタンなど)で対処できる。要するに、品質更新プログラムの場合は“延期”と“一時停止”というよく似た2つのオプションが結果的に“一時停止”へ統合され、シンプルになる。

 ただし、延期オプションそのものが利用できなくなったわけではない。「グループ ポリシー」を利用すれば、引き続き機能更新プログラムと月次の品質更新プログラムを延期することは可能だ。「Windows 10 Pro」以上のエディションを用いてデバイスを集中管理している企業ユーザーにとって、今回の変更はあまり問題にならないだろう。

「グループ ポリシー」で“Windows Update for Business”の設定を変更すれば、パッチのインストール延期は引き続き可能