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年賀状の宛名書きにも使える「差し込み印刷」をマスターしよう

Wordの代表的なテクニック「差し込み印刷」を覚えよう

 文書の一部分だけ書き換えて印刷したいシーンは意外とあります。年賀状などの「はがきの宛名」のほか、定型文の宛名、ネームプレートの作成、封筒に貼るラベルなどさまざまです。数枚であれば、ファイルを複製して修正してもいいですが、十枚以上では手間も時間もかかります。

 そんな時は、Wordの代表的なテクニック「差し込み印刷」を使ってください。ファイルのコピー&ペーストを繰り返す必要はありません。最新の「Word 2021」はもちろん、Word 2019/2016/2013、Microsoft 365でも利用可能です。

 昔から難しい機能と言われますが、そんなことはありません。順を追って覚えてしまいましょう。まずは、宛先をまとめた「リスト」が必要なことだけ知っておいてください。


※本稿の内容は「Office Professional Plus 2021」で動作確認しています。

Wordから参照するExcelファイルを準備する

 元のリストは更新されないため、既存の住所録や名簿などをそのまま利用しても構いませんが、これから作成するWordファイルと対になるため、「差し込み印刷」に利用するExcelファイルは別途準備しておくことをおすすめします。

 はがきの宛名書きなら「郵便番号」「住所」「氏名」の項目があれば、その他の項目が含まれているリストでも問題ありません。

Wordから参照するExcelファイルを準備しておく。「差し込み印刷」に関係のない項目が含まれているリストでも問題ない

年賀状の宛名書きにも使える「はがき印刷」

ウィザードに従って新規文書を作成する

 利用頻度の高い「はがき印刷」を例に、差し込み印刷を試してみましょう。前述の通り、宛名書きに利用する住所録を用意しておいてください。白紙の文書から[差し込み文書]タブ→[はがき印刷]→[宛名面の作成]の順に選択すれば、ウィザードが起動するので、画面の指示に従って操作します。

 今開いている白紙のWordファイルとは別の新しいウィンドウが表示され、[はがき宛名面印刷ウィザード]が起動することに戸惑わないように。また、ウィザードの途中で「宛名に差し込む住所録を指定してください」の画面で[既存の住所録ファイル]を選択することもポイントです。

[差し込み文書]タブをクリック。[はがき印刷]-[宛名面の作成]を選択する
[はがき宛名名印刷ウィザード]が起動した。[次へ]をクリックする
ここでは、「年賀状」を作りたいのではがきの種類として[年賀/暑中見舞い]を選択して[次へ]をクリックする
宛名の文字方向を指定して[次へ]をクリック。ここでは[縦書き]を選択した
フォントを選択して、[次へ]をクリックする。画面下のオプションは住所の数値を漢数字に変換するかどうかの設定
[差出人を印刷する]にチェックを付けると、氏名や住所を入力できる状態になる。自分の氏名・住所を入力して[次へ]をクリックする
[既存の住所録ファイル]を選択して、用意したExcelファイルを指定する。[次へ]をクリックする
[はがき宛名名印刷ウィザード]を終了する。[完了]をクリックする
[テーブルの選択]ダイアログボックスが表示される。先ほど指定したExcelファイルのうち、住所録がどのワークシートに含まれているかを選択する。ここではワークシートが1つなのでそのまま。また、先頭行に項目名が入力してあるので[先頭行をタイトル行として使用する]にチェックを付けておく
年賀状のイメージが表示された。Excelファイルの1行目が表示されている。[結果のプレビュー]グループの矢印ボタンをクリックすると、次のレコードを表示できる

 [はがき宛名名印刷ウィザード]を完了すると、参照するExcelファイルの1行目が、はがきのイメージで表示されます。[結果のプレビュー]グループの矢印ボタンをクリックして、すべてのレコードの内容を確認しておきましょう。

「差し込み印刷」を利用した文書の構造

 Wordファイルには「枠」が用意され、Excelファイルに含まれるデータ(レコード)の内容が表示されるため、Word側では文字列を修正できません。間違いに気づいた場合は、参照するExcelファイルを修正するのが基本です。「差し込み印刷」を利用したWordファイルの構造を見てみましょう。

[差し込みフィールドの強調表示]をクリックしてONにすると、Excelファイルを参照している個所が強調される
[結果のプレビュー]をクリックしてOFFにすると、差し込まれているフィールド名が表示される。表示されたフィールドが、Excelファイルの項目を参照している

 個人的な友人などに送る年賀状であれば会社名と部署の情報はいらないので、印刷されないようにしてみましょう。印刷する情報を編集するには[フィールドの対応]ダイアログボックスを使います。

[フィールドの対応]ボタンをクリックする
[フィールドの対応]ダイアログボックスで、Excelファイルを参照するフィールドを指定できる。ここでは[会社名]と[部署]を[(対応なし)]に設定した。[OK]をクリックしてダイアログボックスを閉じておく
再び[結果のプレビュー]をクリックしてONにする。会社名と部署名が非表示になった

 フィールドを確認すると、住所欄には「<<住所_1>>」「<<住所_2>>」が表示されていることにお気づきでしょうか。ここで利用した住所録には「住所」の項目が1つしかなく、「<<住所_1>>」と「住所」の項目が対応しています。「<<姓>>」と「<<名>>」も同様です。

 元のリストの項目と、Word上のフィールドの対応に不具合がある場合は、[フィールドの対応]ダイアログボックスで調整してください。

保存後にファイルを開く

 なお「差し込み印刷」を利用したWordファイルを保存して開くと、以下のようなメッセージが表示されます。これはエラーメッセージではなく、Excelファイルを参照するコマンドが実行されることの確認です。[はい]をクリックしてください。続けてマクロの警告が表示された場合は[OK]をクリックします。もし、[いいえ]をクリックしてしまった場合は、Wordファイルをいったん閉じて開き直します。

「差し込み印刷」を利用したWordファイルを開いたときに表示されるメッセージ。[はい]を選択する

個別にデータを修正・印刷する

独立したWordファイルとして修正する

 連名の追加など、特定の数枚を修正したいときは、[完了と差し込み]から[個々のドキュメントの編集]を選択します。この操作により、Excelファイルを参照しない独立したWordファイルが作成されて編集可能になります。

 ただし、[すべて]を選択すると、元のリストの件数(レコード数)分のページでWordファイルが生成されるため、例えば、1,000レコードなら1,000ページ生成されます。おそらくWordが固まってしまうでしょう。特定の数枚ならレコード(ページ)を指定してください。

[完了と差し込み]-[個々のドキュメントの編集]を選択する
[新規文書への差し込み]ダイアログボックスが表示された。[すべて]を選択すると、すべての件数分のページを含むWordファイルが生成される。元のリストのレコード数が多い場合は注意しよう
[すべて]を選択した結果。ここで利用したサンプルは50レコードだったので、50ページのWordファイルが生成されたことがわかる。

本番前にテスト印刷で確認しよう

 印刷は[完了と差し込み]から[文書の印刷]を選択します。[プリンターに差し込み]ダイアログボックスで印刷するレコード(ページ)を指定します。まずは[現在のレコード]を指定して、コピー用紙などでテスト印刷することをおすすめします。

[完了と差し込み]から[文書の印刷]を選択すると、[プリンターに差し込み]ダイアログボックスが表示される。まずは[現在のレコード]でテスト印刷しよう

文書の一部に「差し込む」

 「差し込み印刷」の利用例をもうひとつ、文書の一部を書き換える方法を紹介します。本文は共通で宛名のみを書き換える案内状などに利用できます。単に宛名を差し込んでネームプレートを作成するといった使い道もありますね。

 リストを選択してから差し込むフィールドを指定するのが、はがきの宛名書きと異なるポイントです。元となるExcelファイルを選択することで、フィールドが差し込める状態になります。

フィールドを差し込みたいWordファイルを開いておきます。[差し込み文書]タブをクリック。[宛先の選択]-[既存のリストを使用]を選択する
ここでは、先ほどと同じ住所録を指定した
[テーブルの選択]ダイアログボックスが表示される。住所録が含まれるワークシートを指定する。[先頭行をタイトル行として使用する]にチェックを付けておく
Excelファイルを参照できる状態になると、[差し込み文書]タブの各ボタンが有効になる。フィールドを挿入したい位置をクリックしておく。[差し込みフィールドの挿入]の右にある[∨]をクリックし、フィールド名を選択する。ここでは[氏名]を選択した
「氏名」のフィールドが挿入され「<<氏名>>」と表示された。「様」は通常通りに追加する
[差し込みフィールドの強調表示]と[結果のプレビュー]をクリックしてONにした。挿入したフィールドが強調され、レコードの1行目の値が表示されていることがわかる
[結果のプレビュー]グループの矢印ボタンをクリックすると、レコードを切り替えられる

 フィールドの修正や印刷の方法は、はがきの宛名書きと同様ですが、案内状のような文書では宛先によって内容を書き換えたいこともあるでしょう。[完了と差し込み]から[個々のドキュメントの編集]を選択して、個別のWordファイルを生成してから内容を修正してください。