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「アバター年賀状」ってアリですか? 紙でもSNSでも使えるデジタル時代の新しい年賀状スタイル

まだ作ってないという人! 2024年の年賀状は自分のアバターをアピールしよう

デジタル時代の新しい年賀状スタイル「アバター年賀状」を作成してみました

 今年も年賀状の季節がやってきました。

 年賀状にイラストを使ったり、家族の写真を使ったり、さまざまな工夫をこらしている方が多いと思います。こだわりをもって作られた年賀状は受け取った方も楽しいですよね。ただ、時代は変わりつつあり、「年賀状じまい」という言葉があるように、アナログな紙の年賀状から、デジタルなメールやSNSへの移行を考えている方も多いかもしれません。

 デジタルに新年の挨拶を伝える時代に、わざわざ年賀状を作るならどんなのものが自分らしいかを考えてみたところ、やはりメタバースで生きる筆者にとって、己の分身である「アバター」を使うのが自分らしいと思ったので、今回は「アバター年賀状」というものを作ってみることにしました。

 というのも、日常的に3Dアバターを使っている私たちの周りでは毎朝自撮りしたアバターのスクリーンショットをX(旧Twitter)にポストする、通称「おはツイ(おはようツイートの略)」という文化があるからです。自分の分身のように使っているアバターですから、可愛く or かっこよく自撮りしてアピールしたいのは当然ですよね。それをあけおめのポストにするだけでなく、紙の年賀状にもしたいと思ったのが、今回の記事を書くきっかけです。

 それに、窓の杜でも何度かアバターを使ったソフトウェアなどの記事を取り上げてきましたので、ご自身の3Dアバターをお持ちの方はきっと多いはず!(……ですよね)。

 悲しいことではありますが、まだご自身のアバターを持っていない方も安心してください。人型アバターの3Dモデルを直感的な操作で作成できる「VRoid Studio」というツールがありますよ。アバターの新規作成については、ぜひこちらのツールの利用を検討してみてください。

 それでは、実際にアバターを使った年賀状のデザインを作ってみます。ちなみに、画像編集ソフトに関しては、今回はWebブラウザーから無料で利用できるグラフィックデザインツール「Canva」を使用しています。

自分のアバターの素敵なポーズ写真を撮ろう!

 本稿で言う「アバター年賀状」とは文字通り、アバターを使った年賀状のデザインのことです。まずは好きなポーズを取らせたアバターの画像から準備していきます。

 今回は事前に用意していたVRM形式の3Dモデルを使っていきます。VRM形式のアバターにポーズを取らせる方法はいくつかあるのですが、今回は120byteさんが開発した無料ツール「VRMお人形遊びPC版」を利用しています。

VRMお人形遊び20220503版

 このツールを使う理由は2つあります。まず、1つが「ポーズを非常に細かく調整できること」。そしてもう1つの理由が「有志が作ったポーズをインポートできること」です。矛盾しているように見えますよね。ですが、それぞれにわけがあるので、順にご説明していきますね。

 まず「ポーズが非常に細かく調整できる」ところから見ていきます。「VRMお人形遊びPC版」では頭や体の向き・角度はもちろん、指の先といった体の隅々まで、とても細かく調整・設定が可能です。

アバターのポーズを非常に細かく調整できるので、こだわるほどオリジナルポーズが仕上がっていきます

 ただし、細かい部分まで調整できるということは、逆に言うと「時間がかかる」とも言えますよね。今回は年賀状を作ることが目的なので、アバターのポーズを作るのにそれほど時間をかけられないかもしれません。

 そこで利用したいのが「ポーズのインポート機能」です。本ツール用にBOOTH上でポーズファイルを公開している方がいらっしゃるので、ここはありがたく利用させていただきましょう。

BOOTHでは「VRMお人形遊びPC版」向けのポーズファイルが配布されています。素敵なポーズがたくさんあるので、作者さんに感謝しながら使わせていただきましょう
今回は「猫丸あず #AzuProject」さんの「【無料】VRMお人形遊びPC版のポーズpngファイル」のポーズを使わせていただきました

 ポーズのインポートは簡単です。ポーズが含まれた画像ファイルをダウンロードして、「VRMお人形遊びPC版」上でアバターにドラッグ&ドロップするだけです。そうするとインポートしたポーズが取れるようになるので、必要であればライティングやカメラアングルの調整を行い、さらに背景を消して、透過PNGで出力すれば、アバター画像の準備はOKです。

実際にポーズを反映してみました。背景透過のPNGファイルで出力しましょう
背景を[Delete]ボタンで削除した後、画面右上の[PNG]を選択して画像を出力してください

 ただし、注意が必要なのは「利用規約」です。アバターや、アバターに着せる衣装のモデルなどには多くの場合、利用規約があります。例えば、アバターの改変依頼を行う際などは条件が設けられていることもあるので、今回のように年賀状(同じ画像を複数枚に印刷して頒布するもの)として使用する際には、必ず利用条件・ライセンス関連をチェックしておいてください。

利用規約については、あしやまひろこさんが作成された「VN3ライセンス」のテンプレートが利用されることが多いです。利用前には必ずチェックしておきましょう

編集から画像生成まで無料。Webブラウザーから使える「Canva」で作ってみた

 続いて、画像編集ソフトを利用して実際に「アバター年賀状」として完成させていきます。

 画像編集ソフトに関しては、透過PNGを扱えるツールであれば何でも大丈夫です。使い慣れたソフトやアプリがある場合はそちらを使うのが一番だと思います。今回はWebブラウザーから使用できる無料グラフィックデザインツール「Canva」で作ってみました。

今回使用した「Canva」。標準で年賀状のデザインテンプレートがいくつか用意されているので、オリジナルでデザインする際の参考にできるのもポイントです。

 ここはデザインテンプレートを利用せず、白紙の状態から始めてみたいと思います。

 まずは、年賀状のサイズにあわせたキャンバスを作成しましょう。その後、先ほど撮影したアバターの画像をドラッグ&ドロップしてアップロードしてください。

 アップロードが完了すると、画面左側の素材欄に表示されるので、ここからキャンバスにドラッグ&ドロップして文字や背景画像などを重ねていきます。「Canva」には無料で使用できるフォントも豊富に用意されています。

さきほど撮影したアバター画像とフォントを配置してみました

 ここまででも充分に「アバター年賀状」と言えるものが作れたと思うのですが、せっかくなのでいま流行りの画像生成AIを使ってみましょう。

 「Canva」には、内蔵されている画像生成AIの機能があるのでこちらを使ってみます。この機能は無料で使用できますが、画像を生成する度にクレジットを消費します。無料ユーザーの場合は最初から50クレジットを持っており、画像を生成するたびに1クレジットを消費します。クレジットを消費しきってしまうと、次の月まで補充されないので注意してください。

画面左下に[マジック生成]というメニューがあり、こちらから画像を生成できます

 今回は「富士山と初日の出」という指示で画像を生成してみました。ここは本当にイメージと指示次第というところなので、何回かチャレンジしてみてください。

それっぽい画像が出力されたのではないでしょうか

 そしてこの背景画像を配置し、色味や全体のレイアウトを調整すれば完成です。お疲れ様でした。

 完成したデザインは、年賀はがきに印刷してリアルな年賀状として届けるのはもちろん、メールやSNSに添付してデジタルな年賀状として送ってもよいかと思います。

生成された画像を背景にして微調整してみました。「アバター年賀状」の完成です!

 遠くない未来にきっと訪れるであろう、1人1人がアバターを持つ時代。そんな時代にあわせて自分のアバターを使った年賀状を作ってみるのも、アリなのではないでしょうか。

 今回は比較的シンプルな方法で作ってみましたが、工夫できる余地はたくさんあると思います。自分ならではのオリジナリティ溢れる年賀状の表現のひとつとして、ぜひ今回の「アバター年賀状」を作ってみてください。

著者プロフィール:でんこ

バーチャルに活動の場を移したゲームライター。得意分野はビデオゲーム全般だが、最近はメタバースへの関心が強い。
ライターとしてさまざまなメディアで執筆する一方、メタバース内ではラジオパーソナリティや、DJなどの活動を通して、メタバースの魅力を多くの人に伝えるべく活動中。

・著者Webサイト:https://note.com/denpa_is_crazy/