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“声をイチから作りだせる”音声合成モデル「Gemini 3.8 TTS」、Googleが発表

役柄・アクセント・声の特徴で生成、100以上の言語と方言に対応、2,000以上のライブラリ

テキスト読み上げモデル「Gemini 3.8 Flash TTS」「Gemini 3.8 Flash-Lite TTS」を発表

 米Googleは9月23日(現地時間)、テキストから音声を生成(TTS:Text-to-Speech)するモデル「Gemini 3.8 Flash TTS」「Gemini 3.8 Flash-Lite TTS」を発表した。単にテキストを読み上げるのではなく、キャラクターや会話シーンを演出する音声制作スタジオとして位置付けられた、同社で「もっとも表現力豊かな音声生成モデル」となる。

  • Gemini 3.8 Flash TTS:作り込みとキャラクター設計向け。ゲームやオーディオブック、ポッドキャスト、インタラクティブメディアなどを想定し、演技の指示や間の取り方、方言の切り替えといった細かな制御に対応する
  • Gemini 3.8 Flash-Lite TTS:大量処理とコスト効率を重視。吹き替えや音声コンテンツの制作、音声エージェントに向く

 モデルカードによると、いずれもベースモデルは「Gemini 3 Pro」。入力はテキストが8Kトークン、出力は音声で64Kトークンまで。知識のカットオフは2025年1月。

 「Gemini 3.8 Flash TTS」の最大の特徴は、“声を一から作れる”ようになったこと。これまで生成できる音声は30種類に限られていた(「3.1 Flash TTS」など)が、「3.8 Flash TTS」では以下のような仕組みで生成できる音声のバラエティが大きく広がった。

  • 音声のデザイン:自然言語のプロンプトで、役柄・アクセント・声の特徴を指定して一から声を作れる。100以上の言語と方言に対応。同社は「火を吹くドラゴン」や「独特のなまりを持つ魅力的なナレーター」といった例を挙げている
  • 2,000種類以上の音声ライブラリ:すぐ使える音声が2,000種類以上用意される。メキシコのスペイン語、ケベックのフランス語、スコットランドの英語といった地域差もカバーする
  • 音声の複製:30秒の音声サンプルから、一貫した声のプロファイルを再現できる。自分の声か、権利を持っている声が対象
  • 保存して使い回す:作った音声を保存・管理し、プロジェクトをまたいでもブレない声を保てる
  • 音声のリミックス(近日提供):ライブラリの音声を選び、音色・ピッチ・速度・アクセントを調整できる。「南部なまりを少し加えて」「話し方を柔らかく」といったプロンプトでの指定も可能

 さらに、声が決まったあとの“演技指導”も強化。ト書きのように行単位で指示を書くこともできるし、台本の流れに沿ってGeminiに任せることもできる。ポッドキャストやオーディオブックを想定した長時間の生成でも、声質や間の取り方を保ったまま話者のブレを抑えられるという。1つの台本から2人の会話シーンを構成する機能や、「<laughs>」「<sigh>」「<gasp>」といった非言語の発声、「|mhm|」「|yeah|」のような相づちを挿入する機能も用意される。

 性能面では、「Gemini 3.8 Flash TTS」がHume AIの「Voice Design Benchmark」で総合1位(71.4)、アクセントの再現でも1位(60.8)を獲得。品質の総合指標では「3.8 Flash TTS」が1位、「3.8 Flash-Lite TTS」が2位につけた。ブラインドの人間評価「Voice Arena」でも、日本語やブラジルのポルトガル語、ベトナム語、現代標準アラビア語、メキシコのスペイン語、ヒンディー語といった主要言語で上位を占めるとしている。

Hume AIによる音声品質のベンチマーク結果(画像はGoogleの発表資料より引用)

 もちろん安全面も考慮されており、音声の複製を行う際に声の持ち主による同意の録音が必要で、参照する話者と一致しなければ音声を作成できない。また、「Gemini Audio」モデルが生成した音声にはすべて、電子透かし「SynthID」が埋め込まれる。C2PAの来歴情報にも対応する。

 これらのモデルは同日より、開発者向けに「Gemini API」と「Google AI Studio」で提供が開始されている。「Google AI Studio」には音声制作用のプレイグラウンドが用意され、プロンプトから声を作ったり、自分の声を複製したりして、2話者の台本エディターで行ごとに指示を出せる。企業向けの「Gemini Enterprise」でのAPI提供は近日開始の見込み。

 一般ユーザー向けには、「3.8 Flash TTS」が「Gemini Notebook」で、「3.8 Flash-Lite TTS」が「Google Vids」で同日から順次展開される。

 そのほかにも、「Gemini Audio」ファミリーでは以下のモデルが提供中だ。