REVIEW(12/09/28)
WPFアプリケーションのGUI構造を視覚化できる開発支援ツール「WPF Inspector」
プロパティの編集をリアルタイムで反映させたり、データやスタイルを閲覧できる
「WPF Inspector」は、“WPF(Windows Presentation Foundation)”を利用したアプリケーションのGUI構造を視覚化できる開発支援ツール。編集部にてWindows 7で動作を確認した。“CodePlex”のプロジェクトページからダウンロードできる。
WPFでは“XAML”と呼ばれるXMLベースのマークアップ言語でユーザーインターフェイスを記述する。「WPF Inspector」はそのマークアップ構造をツリー形式で視覚化するツール。開発者が記述した“論理ツリー(Logical Tree)”と、実行時に展開される“ビジュアルツリー(Visual Tree)”の両方をタブで切り替えて閲覧することができる。自分で開発しているアプリケーションのデバッグだけでなく、ほかの人が開発したアプリケーションの構造を参考にしたい場合にも利用できるだろう。
利用するには、まず調査したいWPFアプリケーションを選択する。本ソフトを起動すると実行中のWPFアプリケーションが列挙されるので、そのなかから目的のアプリケーションを選択しよう。WPFアプリケーションが「WPF Inspector」にアタッチ(接続)されると、“Grid”や“Button”といったユーザーインターフェイス要素のツリーが構築され左ペインに表示される。
さらにツリーの要素を選択すると、アタッチされたWPFアプリケーション上の当該要素が赤枠で強調表示される。要素ツリーと実際に配置された要素の対応関係が一目瞭然で、とてもわかりやすい。
選択した要素に関するより詳細な情報は、右ペインのタブで確認することが可能。本ソフトでは、Properties、DataContext、Resources、Triggers、Styleという5つのタブが用意されている。
[Properties]タブでは、要素の幅や高さ、色といったプロパティ情報が閲覧できる。これは編集することも可能で、アタッチされたWPFアプリケーションにもリアルタイムで反映される。
[DataContext]タブは、選択された要素に紐付けられたデータを表示する。WPFでは“データバインディング”という仕組みを利用してユーザーインターフェイスとデータを結びつけるが、その内容を実行時に確認できる。
そのほか、[Resources]タブでは利用可能なリソースの一覧が、[Triggers]タブでは“トリガー(特定の条件で指定したスタイルやアニメーションを適用する仕組み)”の値と条件が、[Style]タブでは要素に適用されたスタイルが閲覧可能。スタイルでは継承元から最終的に適用されたものまですべてが表示される。
そのほか、WPFアプリケーションのパフォーマンスや保守性、安定性を高める上で有用な警告やエラーを通知する機能も備える。よりよいWPFアプリケーションの開発に役立てたい。
- 【著作権者】
- Christian Moser
- 【対応OS】
- (編集部にてWindows 7で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 0.9.9(11/04/08)