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Facebookもバックアップ対象に、「Acronis True Image 2017」発売
復元も年内予定、スマホのバックアップもより強化
2016年9月14日 21:07
アクロニス・ジャパン(株)は14日、個人向けバックアップソフトウェア「Acronis True Image 2017」を発表した。本日14日から、30日間無料試用可能な「Acronis True Image 2017」試用版がダウンロード可能。オンライン版も同じく本日から、ボックス版は10月14日から購入できる。
本バージョンでは、あらゆるストレージ上へバックアップデータを保存する“Dual-protection”が高速化されたほか、モバイルデバイスのデータを無線LAN経由でPCにバックアップする機能の追加と同時に、バックアップ制限台数が排除されている。「Acronis True Image 2017」の新機能で驚くべきは、Facebookのバックアップに対応した点だ。投稿や写真などのコンテンツをクラウドストレージにバックアップし、Facebook上で誤って投稿や写真を削除しても手元に残る仕組みである。変更分のみダウンロードする増分バックアップ形式だが、Facebook APIを使用しているため、現時点ではSNSへの復元には対応していない。
容量無制限のクラウドストレージは廃止、容量別で購入可能に
累計で550万人の利用者を持つAcronis True Imageシリーズは2002年から販売を開始したが、14年間も続けてきた理由として、アクロニス・ジャパンの代表取締役の大岩憲三氏は、『高いユーザビリティとシステムバックアップに対する信頼性の2つを維持してきた』からだと理由を語る。現在のバックアップソリューションは、“バックアップからデータ保護”という考え方に変わりつつあるが、スマートフォン単独でデータ作成が完結する時代だからこそ、『最新のデータを最小限の負荷で(データ消失という)リスクを最低限に抑える(大岩氏)』とデータ保護ソリューションの役割について説明した。その考えを具現化するのが「Acronis True Image 2017」だという。
「Acronis True Image 2017」は、2011年以降から注力してきたクラウドストレージに対するアプローチを変化させた。「Acronis True Image 2017」も前バージョン同様に恒久的に使えるライセンス版と、毎年更新するサブスクリプション版の2種類に分かれるが、1年更新のサブスクリプションモデルの構成を変更している。容量無制限のクラウドストレージは廃止され、代わりに50GB(標準搭載)~5TBまでの容量別にストレージを購入できるようになった。アクロニス・ジャパンの調査によると1TB未満の利用者が90%を占め、クラウドストレージをあまり利用しないユーザーにとって価格設定が不利になるという。また、前バージョンまでの容量無制限版よりも、『2,000~4,000円ほど安くなる(アクロニス・ジャパン リージョナルプロダクトマネージャーの古館與章氏)』と変更理由を説明した。なお、既存の容量無制限版利用者に対しては、2019年1月1日までサポートする。
「Acronis True Image 2017」の価格例(いずれも税抜き価格)
- ライセンス版
1コンピュータ:4,980円
3コンピュータ:7,980円
5コンピュータ:9,980円 - サブスクリプション(価格は年額)
1コンピュータ・クラウドストレージ50GB:3,980円
1コンピュータ・クラウドストレージ250GB:4,980円
1コンピュータ・クラウドストレージ500GB:5,980円
1コンピュータ・クラウドストレージ1TB:7,980円
3コンピュータ・クラウドストレージ250GB:7,980円
3コンピュータ・クラウドストレージ500GB:8,980円
3コンピュータ・クラウドストレージ1TB:10,980円
5コンピュータ・クラウドストレージ1TB:11,980円
Facebookのバックアップ機能などの新機能
「Acronis True Image 2017」の新機能については、前述の古館氏とAcronis VP/GM Global Consumer Online SalesのGaidar Magdanurov氏が説明を行った。「Acronis True Image 2017」が備える新機能を大別すると5つに分かれる。1つめは“Dual-protectionのさらなる高速化”。内蔵・外付けストレージやNAS、またはクラウドストレージなどストレージの種類を問わず、高速にバックアップできる。
2つめは“リモートバックアップ”。PCやMac、モバイルデバイスの設置場所を問わず、任意のストレージへバックアップできる。たとえばIT知識の低い家族のPCを管理する場合、あらかじめ同じアカウント情報でデバイスを登録しておけば、オンラインダッシュボード経由で登録済みデバイスのバックアップ実行や管理が可能だ。また、バックアップ先として外付けHDDなどを選択しているにも関わらず、何らかの理由で動作しない場合はメール経由で処理が正しく終了しなかった旨が通知される。
3つめは“モバイルデバイスのバックアップ”。これまで台数の制限があったものを今回から台数無制限に変更し、PCやクラウドストレージへ自由にバックアップできる。また、これらのバックアップは無線LAN経由で実行可能。モバイルデバイス公式のバックアップ機能と異なる点として、連絡先など特定のデータを個別に復元できる点を強調した。『AndroidからiPhone、またはその逆も選択できるためベンダーに縛られることはない(Magdanurov氏)』。なお、モバイルデバイスがPCなどと同じネットワークに参加したタイミングでバックアップを自動実行する仕組みだが、手動・充電中のみといった設定項目も用意されている。
4つめは“バックアップデータ内の検索スピードを高速化”。ローカルおよびクラウドストレージに保存したバックアップデータから、必要なファイルを高速に検索する機能を追加し、データ復元に要する時間を短縮している。
そして最後が“Facebookのバックアップ機能”だ。Facebookの自身のプロフィールや投稿した写真などをエクスポートするバックアップ機能を備えているが、その操作や仕組みは容易ではない。また、アップロードした写真はモバイルデバイスの空き容量を確保するため、削除する人も少なくないだろう。そのようなケースでは貴重なデータがFacebook上にしか存在しないため、Facebookも重要なバックアップ対象となり得る。「Acronis True Image 2017」でバックアップできるのは、プロフィール・タイムライン・写真とビデオ・イベント・お気に入りのページ。これらのデータはいったんクラウドストレージにバックアップされ、利用者はクラウドストレージからPCに保存できる。そのため、必然的に同サービスの契約が必要だ。現時点で対象は個人を対象とした通常アカウントのみ。まずはバックアップの処理時間など様子を見ながら、2016年末までに法人ページなどのサポートを実現するため、Facebookと連携しながら順次対応を目指している。また、タイムラインへの復元については『難しい(Magdanurov氏)』と述べつつも、同じく2016年末以降の対応を目指す。
一見するとSNSデータのバックアップ機能は突拍子もないように見えるが、これはAcronisが持つ“すべての情報ソースをバックアップする”という考え方が根底にある。同社が各国で調査したところ、どの国でもFacebookやInstagramなどが上位にあがり、日本だけはLINEを要望する声が大きかったという。同社は今回のFacebookバックアップ機能について、『顧客からもっとも要望が多かったSNS。テスト的に機能を提供し、フィードバックなどを踏まえつつ、他のSNSもサポートしていく(Magdanurov氏)』そうだ。
Magdanurov氏はFacebookデータの重要性を伝えるため、友人の一例を次のように語っている。『子どもの頃から撮りためた写真をデータ化し、Facebookのアルバムとして保存していたという。だが、友人の恋人が何かの拍子に友人のスマートフォンから写真を目にし、そこに写っていた女性にヤキモチをやいて、すべて削除してしまった(Magdanurov氏)』。このような目に遭いたくない読者諸氏は「Acronis True Image 2017」試用版を試されることをお薦めする。
ソフトウェア情報
- 「Acronis True Image 2017」試用版
- 【著作権者】
- Acronis International GmbH
- 【対応OS】
- Widnows XP/7/8/8.1/10およびWindows Home Server 2011
- 【ソフト種別】
- 体験版
- 【バージョン】
- 2017 ビルド5534(16/09/14)