レビュー

スキルセッティングや隊列が肝となるテクニカルな戦闘が魅力。少女とメイドの一夜の冒険を描く短編RPG「雪のガラドリエル」

スキルを3つまでセットして使用。タイミングの見極めも重要なwait制バトル

「雪のガラドリエル」
主人公のリエル。メイドのラナと共に雪山の山頂を目指す
スキルを使うと別のスキルを閃くことがあり、その場で発動される

 「雪のガラドリエル」は、流れ星を見るために雪山を登る、少女とメイドの一夜の冒険を描いた短編RPG。Windowsに対応するフリーゲームとして公開されており、“ふりーむ!”よりダウンロードできる。なお本作は、作者である巫女瓜氏の前作「泥のガラドリエル」のキャラクターが登場するが、ストーリーとしては独立しているとのこと。

 本作の主人公は少女リエル。彼女を『お嬢』と呼ぶメイドのラナと二人でパーティを組み、立ち塞がる敵を倒しながら山頂を目指していく。戦闘はコマンド選択型で、手持ちのスキルからあらかじめセットした3つのみを使用でき、前衛・後衛という隊列が大きな意味を持つのが特徴だ。

 戦闘時の行動順は敵味方が入り交じり、行動までの待ち時間を示す“wait”の値が0になった順に行動する方式で、スキルによって次に行動できるまでのwaitが変わる。敵や味方のwaitは画面右側に一覧表示されており、行動順やその間隔を常時確認することが可能。特に、次の自分の行動まで防御するスキルなどは敵の行動とのタイミング合わせが重要だ。何もせずwaitを一定数増やす“パス”コマンドも用意されている。

 また、戦闘時はリエルとラナのうち画面左側のキャラクターが前衛となり、敵の単体攻撃は必ず前衛が対象となるため、前衛に攻撃が集中することを前提に戦術を立てることができる。前衛・後衛のいずれかでしか使えないスキルがあるのもポイントだ。前衛・後衛は戦闘中も“交代”コマンドにより入れ替え可能なほか、入れ替えつつ別の行動をとるスキルが用意されていたり、敵の攻撃で強制的に入れ替わってしまうこともある。

 こうした要素が組み合わさり、戦闘はなかなかにテクニカル。同時にセットできるスキルが3つと少なく、さらには一度使ったスキルは連続で使えないという制限もあり、状況に応じたスキルセッティングの戦略と、スキルの使用タイミングを見極める戦術が必要となってくる。安定した戦術を組むにはスキル枠がちょっとだけ足りない……というもどかしさが絶妙だ。スキルは探索で入手できるほか、スキル使用時に新しいスキルを閃くこともあり、特定のスキルからの派生もあるためさまざまなスキルを使ってみる楽しみにもつながっている。

 そのほか探索や敵からのドロップで入手できる装備品を2つまで装備することが可能で、状態異常や属性攻撃への耐性、ステータス上昇などの効果が得られる。本作は能力値がおおむね2桁程度と数字が小さめで、相対的に装備品の効果も実感しやすい。リエルとラナの役割分担も意識した、スキルや装備の組み合わせによる試行錯誤も醍醐味だ。

 公称プレイ時間は1時間前後で、シナリオは軽妙な掛け合いを挟みつつテンポよく進行。戦闘中に台詞が表示される演出もあり、少女とメイドの冒険を賑やかに演出してくれる。画面切り替えや戦闘速度など全体的に動作がキビキビしているのも魅力で、密度の濃いプレイを気軽に味わえる作品だ。

探索や敵からのドロップで入手した装備品の活用もポイント
メニューを開くたびに会話形式のTipsがランダム表示される。雑談も多めのゆるいノリが楽しい

ソフトウェア情報

「雪のガラドリエル」
【著作権者】
巫女瓜 氏
【対応OS】
Windows
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.00(17/02/01)

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