REVIEW(10/08/10)
HTML5対応のWebブラウザーからWindows PCを遠隔操作できるVNCサーバー「ThinVNC」
Ajax/JSONなどのWeb 2.0技術を活用、OSやデバイスを問わず幅広い環境で利用できる
「ThinVNC」は、HTML5対応のWebブラウザーを利用してWindows PCの遠隔操作を可能にするVNCサーバーソフト。Windows 2000/XP/Server 2003/Vista/Server 2008/7およびXP/Vista/Server 2008/7の64bit版に対応するフリーソフトで、非商用でのみ利用可能。作者のWebサイトからダウンロードできる。
本ソフトは、“VNC”プロトコルを利用したオープンソースのリモートデスクトップ操作ソフト。最大の特長は、サーバープログラムのみで構成され、接続のための専用クライアントソフトを必要としないこと。接続する側は、HTML5に対応するWebブラウザーを利用してPCを遠隔操作できる。そのため、Mac OS XやLinuxといったWindows以外のデスクトップPCからのみならず、iPhone/iPadなどといった幅広いデバイスからリモートPCを操作できるのが利点だ。
利用するにはまず、操作したいPCへ本ソフトをインストール・起動する。次にメイン画面で“User”と“Password”を指定して、[Start Server]ボタンを押す。これで操作される側の設定は終了だ。途中、「Windows ファイヤーウォール」の設定画面が現れたら、本ソフトの通信を許可しておこう。
次に、操作する側のPCでHTML5対応のWebブラウザーを起動し、操作される側のリモートPCへ接続しよう。Webブラウザーは、「Firefox」「Google Chrome」「Safari」などを利用すればよい。接続先は、“http://(PC名またはIPアドレス):8080”と入力する。さらに“https://(PC名またはIPアドレス):8081”と入力することで、HTTPSプロトコルで接続することも可能。VNCサーバーへの接続とユーザー認証が成功すれば、WebブラウザーへリモートPCの画面が現れる。
リモートPCの画面は、サーバー側によりHTML5準拠のWebページとして出力される仕組みで、利用の際は、Webブラウザー画面の上部にあるツールバーで操作モードを切り替えながら行う。
たとえば、[CONTROL]ボタンをON/OFFして、マウスによるクリックやキーボードの入力をリモートPCへ送信するかどうかを切り替え可能。さらに、[CURSOR]ボタンをONにすると、マウスカーソルの移動でリモートPC上のマウスカーソルも移動するようになる。これはドラッグ&ドロップなどの操作を行う際に利用する。
この点を除けば、一般のリモートPC接続ソフトとほぼ同じ使い勝手を再現しており、操作に迷うことはないだろう。
また、マルチモニター環境にも対応しており、[MONITOR]ボタンを押して表示するリモートPCのモニターを切り替えられる。たとえばデュアルモニター環境では、初期状態でプライマリモニターの内容のみが表示されるが、[MONITOR]ボタンでセカンダリモニターの内容を表示したり、両方のモニターの内容を同時に表示したりと切り替えられる仕組み。そのほか、ツールバーからは画面のリフレッシュや表示色の減色、一時停止、切断といった操作を行える。
編集部にて試用したところ、“Aero”ユーザーインターフェイスの描画に一部不具合があるほか、IMEの変換ウィンドウが表示されない以外は、とくに不満なく利用できた。また、iPadの「Safari」を利用した接続も試みたが、こちらは接続自体は可能なものの、マウスによるドラッグ&ドロップ操作が行えない上、ソフトウェアキーボードを利用できないため、実用には困難を伴いそうだ。
- 【著作権者】
- Cybele Software, Inc.
- 【対応OS】
- Windows 2000/XP/Server 2003/Vista/Server 2008/7/XP x64/Vista x64/Server 2008 x64/7 x64
- 【ソフト種別】
- フリーソフト(非商用のみ)
- 【バージョン】
- 0.9.0.10