#モリトーク

第96話

TweetDeckを試すとき

「MetroTwit for Windows 8」(作者サイトより引用)

 またしても定番Twitterクライアントのユーザー数が、Twitter社の定める上限値に達した。「Janetter」のように、ユーザー枠が枯渇した状態で活動を継続するTwitterクライアントもあるが、Windows 8用アプリとしては貴重だった「MetroTwit」は、開発および公開も即時終了という決断を下した。

 「MetroTwit」のユーザーは約40万人ということなので、規制導入時には約20万人、つまり「Janetter」や「Carbon for Twitter」と同じく10万ユーザー超えのパターンに該当する。「MetroTwit」の作者によれば、Twitter社との交渉を繰り返した上での結果だという。

 「Janetter」の例も衝撃的だったが、「MetroTwit」の終了はそれ以上に重要な意味を示しているかもしれない。というのも、Twitter社はサードパーティ製クライアントのユーザー数規制を発表したとき、ユーザー数が上限を超えたら交渉してほしいと、クライアント開発者へ通達していた。その交渉にも希望がないのだとすれば、いよいよサードパーティ製Twitterクライアントの終焉が近付いていることになる。

Windows用のTwitter公式クライアント「TweetDeck」

 そこで今回は、サードパーティ製Twitterクライアントが消滅したときに備えて、Windows用の公式クライアントである「TweetDeck」に目を向けてみたい。「TweetDeck」は以前、Twitter社が買収で手に入れたソフトだったこともあってか、独自のアカウントを取得する仕組みが残り、公式クライアントであるにも関わらず使い勝手が悪かった。しかし昨年12月、Twitterアカウントでのサインインへと切り替わり、手軽に試せるようになっている。

 「TweetDeck」は、単体で動作するアプリケーション版、Webサービスまたは「Google Chrome」用“アプリ”として動作するWeb版の2種類に分かれる。アプリケーション版の実態は“Webkit”をベースにした専用ブラウザーだと思われるので、「Google Chrome」ユーザーはその“アプリ”版を利用すればよいだろう。なお、どのバージョンを利用しても設定内容が自動で同期される。

 「TweetDeck」は、Twitter公式サイトの機能を超えるフル機能型のTwitterクライアントであり、同タイプのWindows用クライアントは「Janetter」くらいだろう。両クライアントの機能を比較してみると、「Janetter」が実現可能で「TweetDeck」が不可能なことはそれほど多くないどころか、「TweetDeck」には既存のサードパーティ製Twitterクライアントを上回る部分も多く、多機能性を望むユーザーならスムーズに移行できるはずだ。

 逆に言えば、シンプルなクライアントやユニークなクライアントを望む場合、「TweetDeck」は多機能すぎるかもしれない。それでも、「TweetDeck」の高いカスタマイズ性を活かせば、自分の理想に近い画面へカスタマイズできるのではないだろうか。とくに“使わず嫌い”だった人は一度試しておくことをオススメしたい。

(中井 浩晶)