#モリトーク

第99話

Chrome拡張機能の第二幕

 Google社は5月1日以降、「Google Chrome」用の拡張機能に対して“Chrome ウェブストア”の利用を義務化する。つまり、“Chrome ウェブストア”以外で公開されている拡張機能は基本的にブロックされる。本コラムの第81話でも取り上げたように、この方針は昨年11月に発表され、今年1月から実施される予定だった。

 しかし実際は、ベータ版での試験導入が今年2月に開始。その後、準備期間を求める意見が挙がったため、正式版での実施もさらに5月1日へと延期される結果になった。閉鎖というマイナスイメージを抱かせる今回の方針転換は、悪意のある拡張機能を排除することを目的としているほかに、大きなメリットを含んでいる。

 そのメリットとは、“Chrome ウェブストア”上で販売可能なコンテンツのひとつに拡張機能が加わったことだ。開発者は“Chrome ウェブストア”上にて、有料の拡張機能をシェアウェアとして公開できる。有料の拡張機能には試用期間を設定することが可能なほか、いわゆる“アプリ内課金”にも対応しているので、スマートフォンやWindows 8のアプリと同じ環境だと考えればよい。

“Chrome ウェブストア”上で販売可能になった拡張機能(開発ブログより引用)

 「Firefox」によって広く普及したWebブラウザー用の拡張機能はこれまで、無料であることが当たり前だった。そのため、無料の拡張機能が減ることを心配する人もいるかもしれないが、むしろ歓迎すべきだろう。

 たとえばフリーソフトだけ、あるいはシェアウェアだけであったら、オンラインソフト文化はここまで発展しただろうか。シェアウェアだから付加価値の高いソフトが生まれ、その対比でフリーソフトの価値も高まるため、フリーソフトとシェアウェアの両方が揃ってこそオンラインソフトが成り立つと言える。

 パソコンでの作業がデスクトップ上からWebブラウザーへ移行した今、Webブラウザー用拡張機能の需要はデスクトップアプリケーションのそれに迫る勢いであり、もしかするとすでに追い抜いているかもしれない。そして今回、シェアウェア化の仕組みが手軽に利用できるようになった拡張機能は、さらなる発展を見せるはずだ。

(中井 浩晶)