杜のVR部

第33回

周りを見渡し、アイテムを駆使して脱出せよ「I Expect You To Die」

快適に体験できるVRゲームとは何か

 VRゲームの視点は時に大きな課題となる。いわゆる一人称視点のゲームは、確かに主人公になりきれるという点でゲームの没入感を深めるが、視点の揺れ方などが酔いを引き起こしやすい。そのため、Gear VR向けのソフトでも第三者視点、プレイヤーキャラクターの後ろから追尾する視点のゲームが多くなってる。

 では、一人称視点のゲームはVRに向いていないのだろうか。実際のところは、プレイしてすぐに酔うものもあれば、「Time Rifters」(第12回で紹介)や「World War Toons」(Oculus Rift、Project Morpheus向けに開発中のマルチプレイヤー対戦型FPS)など非常に快適なものもあるという状況だ。

 今回は、一人称視点で快適なVR向けのプレイに特化したOculus Rift用ゲーム「I Expect You To Die」を紹介しよう。

動かない視点、物を動かすテレキネシスの設定

 このゲームでは、プレイヤーはシークレット・エージェントとなり、危険な状況から脱出することになる。いわばVR脱出ゲームだ。

 プレイヤーができることはテレキネシス。頭の動きとマウスを使って照準を合わせ、左クリックで色々な物を掴み、使うことができる。まずはチュートリアルで練習できるので操作に慣れよう。掴むだけでなく、右クリックで掴んでいるものを使ったり、好きな場所に持ってきて空間に固定することができる。

ゲームを起動するとまずはチュートリアル。操作に慣れよう
照準を合わせたら左クリックで物を掴むことができる
遠くの物も。そしてそのまま右クリックして手を話すと空中に固定

 チュートリアル画面で“START”に視線を合わせて左クリックすることで本編が始まる。本編は、車の運転席に座っている場面からスタート。この車内を色々と調べ、この状況から脱出することが目的となる。

本編は車の中からスタート
ギアを入れても車は動かない。エンジンをかけるために必要なものは何だろうか

 とにかく車内を見回して、色々な場所を調べ、アイテムをどんどん探していこう。車外は有毒なガスが充満しているので、うっかりドアを開けたりガラスを割ったりしないように……。

振り返ると後部座席には銃が
試しにフロントガラスを撃ちぬくと……
有毒ガスが流れ込んできて死んでしまう

 とにかくこの車の中には色々なアイテム、仕掛けがある。車内を至るところまで探し尽くそう。10分程度の短い体験ではあるが、プレイするとすぐに仕掛けだらけの車内からの脱出に必死になっていることに気付くだろう。それだけ没入感が高まっているということで、非常に臨場感のあるゲームだ。

とにかく車内をくまなく探そう

VRゲーム開発のノウハウを共有

 このゲームを開発したSchell Gamesは、ゲーム専門メディアGamasutraに“Making Great VR: Six Lessons Learned From I Expect You To Die(素晴らしいVRを実現するために:I Expect You To Dieから得られた6つの教訓)”と題する記事を投稿し、VRゲーム開発のノウハウを公開している。

 実際にこのゲームでは、プレイヤーができる動きは運転席に座って、頭を動かすことだけ。カメラの位置が座標上はほぼ固定されることで酔いが軽減されている。なお、トラッキングカメラは有効なので、覗き込んだりといった席に座っている限りで可能な動きはできるようになっており、まさに運転席という設定が活かされている。また、車という狭い空間で至るところにアイテムを散りばめておくことで、周囲を見渡して後ろまで振り向きたくなるような構図をつくり上げるなど、工夫に満ちている。

 一人称視点でも非常に快適で斬新なVRゲームを作れることを示してくれる一作だ。

「I Expect You To Die」プレイ動画
ネタバレにならないように、プレイ開始数分を撮影。脱出ゲームの雰囲気を味わっていただけるだろうか

ソフトウェア情報

「I Expect You To Die」
【著作権者】
Schell Games
【対応OS】
Windows 7以降
【対応ハードウェア】
Oculus Rift DK2
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.0

評価PCスペック(参考)

マウスコンピューター G-Tune NEXTGEAR-NOTE i790SA1
【CPU】
Core i7-4700MQ 2.40GHz
【メモリ】
16GB(増設)
【グラフィックボード】
GeForce GTX870M
【fps】
75fps
【ヘッドホン】
Creative Sound Blaster EVO Zx

(もぐらゲームス:すんくぼ)