杜のVR部
第50回
名作スマホゲームのデベロッパーが挑んだVRパズルアドベンチャー「Land's End」
没入感という言葉すら感じさせない、世界に引き込む力を持ったVRゲームが登場
(2015/11/17 17:19)
独特な世界観で、有料アプリながら200万本以上を売り上げたスマホ・タブレット向けゲーム「Monument Valley」。その開発を行ったデベロッパー・ustwoが次回作として制作したのがGear VR向けパズルゲーム「Land's End」だ。
11月10日、ついにOculus Storeにて配信が始まったのでレビューをお届けしたい。
世界観に浸らせる秀逸なイントロ
このゲームは、文明が滅んだ後の世界を舞台にしたパズルアドベンチャー。プレイヤーは各地をたどり、パズルを解いて先へ進みながら亡霊のような存在に出会う……。
ストーリーの説明など文字は一切使われず、その世界観を感じて楽しむという趣。派手なアクションなどはなく、プレイしていると自然と心が落ち着いてくる、だけどワクワクする、そんな静かな楽しさを体験できるゲームだ。
なお、操作はすべて“注視”のみ。頭を動かして対象物を見るだけの非常にシンプルなゲームデザインに仕上がってる。パズルアドベンチャーではあるが、その世界観に浸りながら、皮膚から染みこむようにジワジワと、『どういう世界なのか』『何が起きたのか』をぼんやり感じながら進めていくことになる。
ゲーム開始直後も、洞窟の中から始まり、移動方法を覚えながら開けた場所に出て、風景を楽しんだ所で最初のパズルに出会うといった具合で、文字がなくてもスムーズにゲームの世界に入っていくことができる。
パズルはこのゲームのスパイス。引きずり込まれる世界観を楽しもう
用意されているステージは5つ。プレイヤーはそれぞれ特徴的な世界観のステージを巡っていく。
フォトリアリスティックな現実に近い描写ではなく、非常にシンプルな形のギミックで構成された世界だが、まるで絵本の中にいるような不思議な感覚になる。前作のスマホゲーム「Monument Valley」でもエッシャーのだまし絵的な世界を描き出し、プレイヤーをその世界に引きこみ魅了したustwo。その作風は本作でもいかんなく発揮されており、360度を見渡せるVRの没入感とも相まって、その世界にいる感覚=実在感が強まる。
プレイヤーは広く作られたステージの中を移動先のマークを注視することで移動していく。ステージ途中でふと見渡すと、これまでたどってきた世界が広大に広がっており、スケール感を感じられる。
その中で、謎解きであるパズルは『この世界観の中を冒険して世界の謎に迫って前に進む』という好奇心・探究心を盛り上げるスパイスとして存在している。
プレイして感じられるのは、この「Land's End」はゲームとしての面白さを追求したというより、体験としての面白さを追求したものだ、ということ。パズル自体は最後まで比較的解きやすく構成されている。このゲームには、スルスルと解けてしまうのでついプレイしてしまう魅力と、パズルとパズルの幕間、つまり冒険をして世界を前に進んでいく時のワクワクする面白さが詰まっている。
VRの没入感など意識することなく、プレイヤーは気付くはずだ。自分がすっかりこのゲームの不思議な世界にいる気持ちになっていることに。
PS3/PS4向けの「風ノ旅ビト」や、ustwoの前作「Monument Valley」など雰囲気が良く世界観を楽しむゲームが好きという方、そしてこれまであまりゲームに馴染みのない方が初めて体験するVRゲームとしてオススメしたい一作だ。
ソフトウェア情報
- 「Land's End」
- 【メーカー】
- ustwo games
- 【開発者】
- ustwo games
- 【対応ハードウェア】
- Gear VR Innovator Edition for S6
- 【ソフト種別】
- ダウンロード販売 7.99米ドル
- 【バージョン】
- 1.0.4.0