週末ゲーム

第450回

3Dフライトシューティングゲーム「EFFY one of unreasonable "if"」

3D立体視にも対応。高性能戦闘機を駆り、手に汗握るエア・コンバットを楽しもう

タイトル画面

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、選び抜いた良作を毎週紹介していく。今回は、戦闘機による迫力の空中戦が楽しめる本格的なフライトシューティングゲーム「EFFY one of unreasonable "if"」をご紹介しよう。

3D立体視にも対応したゲームエンジンで展開する本格フライトシューティング

手に汗握る空中戦。機体の性能を活かし、機銃やミサイルを駆使して戦う

 「EFFY one of unreasonable "if"」は、同人サークルProject ICKXによるフライトシューティングゲーム。腕利きのパイロット“ナバホ”となって高性能戦闘機を操り、正体不明の敵と対峙していくという作品だ。多数の敵と同時に格闘するハイスピードなフライトアクションと、フルボイスの会話シーンで語られる重厚なストーリーが楽しめる。

 なお、本作は有償の同人ゲームで、各同人ショップやダウンロード販売サイトを通じて頒布されており、Amazonでも購入可能だ。サークルのWebサイトにはチュートリアルモードとゲーム本編のうち1ステージをプレイできる無償の体験版も用意されているので、気軽に試してみよう。

 本作は2006年に同人サークルRectangleによって制作されたフライトシューティングゲーム「RaidersSphere 3rd」の3Dエンジン「SphereEngine」を使用して制作されている。このエンジンは以前より赤青メガネを使うアナグリフ方式の3D立体視に対応していたのだが、最近グラフィックスチップメーカー大手のNVIDIAによる3D立体視技術“NVIDIA 3D Vision”にも対応した。このため、NVIDIA GeForceシリーズのGPUを搭載したPCと対応モニター、“NVIDIA 3D Vision”キットがあれば本格的な3D立体視で本作を楽しめる。詳細なシステム要件は下記リンクにあるNVIDIAのWebサイトをご覧いただきたい。

 本作の“NVIDIA 3D Vision”への対応は万全で、NVIDIAによる対応度評価も“Excellent”と、ほかの商用PCゲームに引けを取らない完成度になっている。奥行きを重視した3D立体視構成になっており、高度のわかりにくい海上や、高層ビルなど障害物の多いミッションで前方距離がしっかり把握できるようになるのもいい。本作の体験版でも3D立体視に対応しているので、“NVIDIA 3D Vision”対応環境をお持ちの方はぜひ一度お試しあれ。

アナグリフ方式の3D立体視と、“NVIDIA 3D Vision”に対応
地上との距離が重要な対地攻撃では、3D立体視が助けになる

難易度は高め!チュートリアルモードでしっかり基本を確認しよう

多数の敵味方が入り乱れる。すばやい判断と的確な操作が鍵だ

 ゲームシステムはバンダイナムコゲームスの“エースコンバット”シリーズに近く、ある程度簡略化された飛行機の操縦を行ないつつ、装備された各種のミサイル・爆弾などを駆使して多数の敵の撃破を目指すというもの。簡略化されているとはいえ飛行機の操縦にはピッチ、ロール、ヨー、加減速と多数の操作が必要になるため、同時に火器の制御も行なうことを考えれば、キーボードで操るのはちょっと難しい。プレイステーション2互換のコントローラーやXbox 360コントローラーなど、ゲーム用コントローラーの使用をおすすめしたい。

 使用する機体によっては、特別な操作による急加速や急旋回といった特殊アクションもあり、空中戦を制する機動は非常にテクニカル。また、高性能な敵に対しては誘導ミサイルがあまり役に立たないため、しっかりと敵の後ろについて機銃で確実に撃ち落とす、切羽詰まるような格闘戦も楽しめる。

チュートリアルでは基本操作を1つずつ確認しながら習得できる

 ゲームの内容としては前述の「RaidersSphere 3rd」の世界観を引き継いでおり、既存プレイヤーを前提としているためか難易度はかなり高い。最初のミッションから十数機の敵が次々に襲いかかってきて、モタモタしているとあっという間に撃破されてしまうという塩梅だ。フライトシューティングゲームに慣れていない方は、まずは操作を把握するためにチュートリアルモード“ひよこの飛び方入門”を試してみよう。

 “ひよこの飛び方入門”では、飛行機の基本操作から各種兵装の使い方まで、手本を見てそれを実際に試すという形で習得することができる。1操作について1つのミッションが割り当てられているという親切な構成だ。初心者にはありがたい内容だが、フライトシューティングゲームに慣れた人は進行が遅くてイライラしてしまうかも。そんな人は思い切って、いきなり本番のミッションに突入し、“死にながら覚える”スタイルで攻略を目指してもいいだろう。手応えはバッチリだ。

ボリュームたっぷりでやりがいのあるゲーム内容

ミッションに合わせて装備を選択。トライアンドエラーが必要だ

 メインのゲームモードでは、多数のミッションで構成されたシナリオにチャレンジ。1つのミッションに登場する敵は最低でも10以上、多いときには100近くにもなり、そこで展開する空中戦は本当にド派手で激しい内容だ。そのため重要になるのが、ミッション前に設けられた“ブリーフィング”でしっかりと敵の構成を確認すること。ミッション開始前に武装を選択することができるので、空中の敵が多い場合は対空ミサイル重視、地上の敵が多い場合は対地兵器重視……といった形で、自分だけの作戦を立てる楽しみがある。

 ストーリーは、高性能戦闘機部隊で構成される独立した飛行隊が、正体不明の敵との戦いに巻き込まれてくというものになっている。そこでひとつの軸となるのが、主人公である傭兵パイロット“ナバホ”と、彼の機体に装備された女性タイプのナビゲーションAI“エフィ”の関係だ。“エフィ”は当初、感情とは無縁のコンピューターに思える。しかしミッションが進行し敵の正体が明らかになるにつれ、彼女は本来の姿を徐々に表し、人間味を帯びてくる。彼女の“本当の目的”とは……?

 このあたりのストーリーはミッション中にさし挟まれるフルボイスの会話シーンで展開していく。主人公と“エフィ”をはじめ、多数登場する味方と敵キャラクターの演技は非常にしっかりしたもので、この手の設定が好きな人ならグイグイと世界に引き込まれていきそうだ。もちろん、アクションだけを楽しみたい人向けには会話シーンをスキップする機能もあるので、好きなスタイルで遊ぼう。

ブリーフィング画面では、ミッションのロケーションや敵の構成が表示される
想定外の敵が現れることも。何度もチャレンジして攻略しよう

 最も簡単な“EASY”難易度でも相当に難しく手応えのある本作は、手を変え品を変えて展開する各ミッションを一通りクリアするだけでもかなりのボリューム感。ゲームが進行すると新たな機体や武装がアンロックされるという仕組みもあるので、より高い難易度に挑戦するときはぜひ、新たな機体・武器の組み合わせを試してみよう。

 プレイする際にひとつ気をつけてほしいのは、各ミッションで設定された作戦空域を出てしまうとミッション失敗になってしまうことだ。やっかいなのは作戦空域の明確な範囲がレーダー画面などに表示されていないことで、敵を夢中に深追いする間や、ミッション中の会話シーンでまっすぐ飛び続けていたりすると、無意識に空域を出てしまうことがある。そうなると“Off Course”と表示が出てミッション失敗、やりなおしだ。戦闘終了後にこれをやってしまうと、かなりの時間と労力が台無しになってしまうので注意しよう。

 このような、ちょっと理不尽な部分もある本作だが、本格的なフライトシューティングを楽しめる同人ゲームとしての完成度はなかなかのもの。どっぷりと浸かることのできる独特の世界観、しっかりとしたストーリーも見所となっているので、凄腕パイロットを目指して戦闘機を乗りこなそう。

ミッションクリア後には新たな武装が手に入ることも。次の作戦で使ってみよう
リプレイモードも搭載。自機の勇姿を楽しもう

ソフトウェア情報

「EFFY one of unreasonable "if"」体験版
【著作権者】
Project ICKX
【対応OS】
Windows XP/Vista/7
【ソフト種別】
体験版
【バージョン】
体験版4