【第493回】
国産オンラインアクションRPGの注目作「ファンタシースターオンライン2」(後編)
MOなのに最大12人での協力プレイが楽しめる“マルチパーティーエリア”が熱い!
(12/07/27)
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は前回に引き続き、国産ならではのプレイのしやすさが光る、基本プレイ無料のオンラインアクションRPG「ファンタシースターオンライン2(PSO2)」を取り上げ、実際の冒険の内容や各種やり込み要素を中心に紹介していく。
各種ランダム要素の導入で周回プレイのマンネリ感を改善
PSO2は、経験値を稼いでレベルを上げ、性能やデザインに優れたレア装備を求めて同じクエストを繰り返しプレイする、いわゆるハック&スラッシュ(Hack and Slash)系の色彩が強い作品でもある。そして、このような繰り返しプレイでもプレイヤーを飽きさせないためのさまざまな工夫が盛り込まれているのも、PSO2の魅力となっている。
まず挙げられるのが、冒険の舞台となるマップがランダムに生成される“ランダムフィールド”の採用だ。同じクエストでも毎回異なるマップが生成されるので、いつものルートをひたすら回り続けるという状況にならずに済む。なお、クリアタイムを競う“タイムアタッククエスト”では、例外的に固定マップが採用されている。
また、PSO2ではアークス達が特色のある惑星を渡り歩くという設定を活かし、全く雰囲気の異なる複数のフィールドを用意しているのも特徴だ。最初の惑星“ナベリウス”では深い緑に包まれた“森林”や雪と氷に閉ざされた“凍土”が、次の惑星“アムドゥスキア”では溶岩が至る所で吹き出す“火山洞窟”が、3番目の惑星“リリーパ”では滅亡した文明が残した採掘施設が砂に埋もれる“砂漠”と、その地下に広がる“地下坑道”がプレイヤー達を待っている。
各フィールドでは、あらゆる場所に出現するダーカー達に加え、ナベリウスでは猿や狼、マンモスなどに似た“原生種”、アムドゥスキアでは独自の文明を築く“龍種”、リリーパでは採掘施設を守ってダーカー達と戦い続ける自動機械“機甲種”といった具合に、それぞれ特色のあるエネミー達が登場する。面白いのはこれら惑星固有のエネミー達は、ダーカーと対立関係にあることだ。両者が争っている場面にプレイヤー達アークスが乱入して3つ巴の戦いになることは珍しくない上、場合によっては巨大なボス同士が戦う“怪獣大戦争”とでもいうべき迫力のシーンに遭遇することもある。
また、フィールドごとに森林なら雷雨と濃霧、凍土ならブリザード、火山洞窟なら熱波と吹き上がる炎に落石、砂漠では砂嵐と、時間の経過にしたがって天候がランダムに変化して行く手を阻む“シームレスウェザー”と呼ばれる仕掛けにも注目したい。
各クエストのクリア条件とは別に、突発的な任務が発生する“インタラプトイベント”も、マンネリ感を打破する重要な要素だ。フィールド移動中に“突然のボス襲来”や“不時着してきた味方戦闘機の援護”“エネミーの捕獲”“NPCの護衛”“さらわれたプレイヤーの救出”といったイベントが、ランダムに発生する。
こうしたさまざまな工夫のおかげで、同じクエストでも毎回異なる展開となり、常に新鮮な気持ちでプレイできるというわけだ。
これらの最たるものが、1日に数回だけ発生する“緊急クエスト”だろう。ダーカーの襲撃を受けた味方の“アークスシップ”に増援として駆けつけるこのクエストでは、普段は入ることのできない“市街地”フィールドを舞台に、大量のダーカー達とのバトルが待っており、経験値とアイテムを大量にゲットするチャンスとなっている。
MOなのに最大12人のプレイヤーと遊べる“マルチパーティーエリア”
本作の魅力を語る上で欠かせない存在が“マルチパーティーエリア”だ。通常、PSO2のパーティは最大4人だが、クエストによっては複数のパーティが同じマップに集結するエリアが設けられており、ここでは最大12人(1人×12パーティも可)のプレイヤー達が一同に会して共闘するMMOのような展開を味わうことができる。
さらに、PSO2では一緒に行動しているプレイヤーの数が多いほどエネミーが大量に出現するため、団体行動を取ることがお互いのメリットになる点も見逃せないポイントだ。マルチパーティーエリアでは、通常は特定のマップのボス部屋にしか出現しないボスキャラが通常マップに頻繁に、しかも複数同時に出現することもある。プレイヤーの力を合わせて撃破しよう。
また、エネミーを連続で大量に倒していくと、画面がキラキラと輝き、“PSE(Photon Sensitive Effect)”と呼ばれる現象が発生することがある。PSEには属性や効果の違いにより複数の種類が存在し、種類に応じたさまざまなボーナス効果が得られる。エネミーを倒し続けることでPSEのレベルは上昇していき、最高のレベル8に達すると“PSE BURST”と呼ばれる状態に突入。さらに複数の種類のPSE BURSTが重複発生することで、“CROSS BURST”状態となる。バースト状態では、各種効果がより高まるほか、エネミーの出現率とドロップ率が大幅に上昇し、群がるエネミーと吹き荒れるプレイヤー達の攻撃エフェクトで画面が埋めつくされる一種のお祭り状態へと突入する。
さらにガンガン敵を倒すことで、バースト時間がプラスされていき、場合によっては『ワンモア!』のアナウンスと共に、バーストが連続発動することも! 戦闘のあとには、林のように乱立したドロップアイテムの回収が待っている。マルチパーティーエリアでの意外な出会いと協力プレイを思う存分楽しもう。
パーティプレイとストーリー進行や各種やり込み要素が融合
PSO2は国産RPGだけに、緒方恵美や下野紘、花澤香菜、阿澄佳奈を始めとする豪華声優陣を起用しているほか、ゲームの各所でムービーや3Dモデルによるキャラクターの演技が挿入されるなど、ストーリー要素にも力を入れている。同シリーズの旧作「ファンタシースターユニバース」では、ストーリー要素を楽しむための1人用クエストが用意される形だったが、PSO2ではパーティープレイとストーリー進行を両立させるための“マターボード”と呼ばれるアイテムが新たに用意された。
最初のクエストの完了後、ロビーのショップエリアを訪れることで、謎めいた女性“シオン”から託されるマターボードは『偶事を拾い集め、必然となす』ためのアイテム。“マター”と呼ばれる収拾要素がマス目状に並んでおり、“特定のエネミーからのドロップアイテムを入手する”“フィールドやロビーで特定キャラのイベントを見る”といった条件を満たすことでボードを埋めていく。マターは隣接するものから順に攻略対象を選択できるようになっており、ボード中に散在するオレンジ色の“キーマター”をすべて攻略することで、1人プレイ用の“ストーリークエスト”が出現。プレイヤーの手で物語を大きく動かすチャンスを得るという仕掛けだ。
このようにパーティプレイ中でもマターボードを攻略できるので、ストーリーの進行のために長時間のソロプレイを強いられることがなくなっている。
マターボードのほかにも、ストーリーとの直接の関係はないが、NPCからの依頼をこなす“クライアントオーダー”という仕組みも用意されている。複数のオーダーを同時に受けることが可能なほか、新たな惑星への渡航許可やマグを入手する条件になっているオーダーなども存在する。このほかにも、ゲーム内通貨や専用アイテムを利用したウェポンやユニットの強化、シリーズ伝統となる正体不明のレア武器“スペシャルウェポン”の鑑定、称号システム、アイテム図鑑、各種ランキングなどさまざまなやり込み要素が用意されているのもうれしい。
無料でも十分に遊べるユーザーフレンドリーな課金要素
PSO2は基本プレイ無料のアイテム課金制を採用しているが、強力な武器や装備、レベル制限など、ゲームの面白さの根幹に関わる部分には課金しないと公式に宣言されている。
詳しくは公式サイトのアイテムカタログページを参照してもらいたいが、有料となるのは拡張倉庫などの便利系システム拡張や、経験値やドロップ率が少しだけ上昇する時間節約系のアイテムなどが中心だ。
いわゆるガチャに相当する“ACスクラッチ”も存在するが、コスチュームなどのアバター系アイテムや消費アイテムに内容が限定されている。また、ゲームへのログインやユーザー間でのコミュニケーションで溜まる“FUN”という無料ポイントで引ける無償版“FUNスクラッチ”も存在する。
人によっては、復活アイテムの“スケープドール”やキャラクターの外見を再カスタマイズできる“エステショップ”の利用、ユーザー間でのゲーム内通貨によるアイテム売買を行う“マイショップ”、自分の部屋に家具などのさまざまなグッズを飾って自由にカスタマイズできる“マイルーム”、ユーザー間でのアイテム交換“アイテムトレード”といった辺りが有料である点が気になるかもしれない。
しかし、スケープドールに関しては、パーティメンバーを復活させる“ムーンアトマイザー”であればゲーム内通貨での購入が可能であるほか、一部のクエストを除いてキャラクターのHPが0になっても冒険の起点となる“キャンプシップ”に戻るだけで簡単に戦線復帰ができる。PSO2ではデスペナルティもクリア時の個人評価が1段階落ちる程度と非常にゆるく、パーティ全体に迷惑をかけることも少ないため、現状では必須アイテムとは言えない状況だ。
また、エステに関しては無料で利用できる項目も複数設定されているほか、マイショップは出店できないだけで購入は可能、マイルームもフレンドの部屋には出入り自由で、トレードも回復系など一部のアイテムは床置きによるやり取りが可能と、無料で楽しめる範囲が最大限確保されている印象だ。さらにACスクラッチの景品も大部分はマイショップで転売が可能なため、ゲーム内通貨で有料アイテムを入手できるチャンスがあるというのも大きい。実際に遊んでみれば無料でも十分遊べることに逆に驚かされるはずだ。
国産ならではのユーザーへの細やかな配慮が魅力
ここまで紹介してきたように、PSO2にはオンラインで楽しくパーティプレイをするための工夫や、ユーザーを飽きさせないための工夫が至る所にみられる。こうしたかゆいところに手が届く感覚は国産オンラインゲームの真骨頂と言えるだろう。オンラインRPGを遊んでみたいけどしがらみの多さに尻込みしていた人や、ほかのゲームの合間に気軽に遊べる作品を探していたという人には、ぜひプレイしてみてほしい作品に仕上がっている。
また、公式サイトにて2012年の今後のロードマップが公開されており、フィールドやエネミー、クラス、システム、ボス、アイテム、オーダー、インタラプトイベントにストーリーと、まさにあらゆる部分で新要素の追加が予告されているなど、力の入ったアップデートが予定されている。7月18日には初めてのアップデートとなる“目覚めし大機艦”が実装され、惑星リリーパに地下坑道フィールドと、新たな機甲種エネミーが追加となった。巨大なロボットへと変形する戦艦との迫力のバトルは必見だ。
続く8月8日には、早くもアップデート第2弾となる“天翔ける結晶龍”の実装が予告されている。惑星アムドゥスキアに浮遊大陸フィールドと新たな龍種エネミーが追加され、レーザー攻撃を操る新ボス“クォーツ・ドラゴン”が登場するほか、既存の森林フィールドにも新ボスが追加され、夏の期間限定イベントも開催されるなど、盛りだくさんの内容で期待が高まる。
さらに年内には、簡単な操作でPC版と連動して遊べるスマートフォン版(iPhone版、Android版)が、来年の春にはPC版との同一サーバーによる合同プレイも可能なPlayStation Vita版のリリースが予定されているなど、今後も目を離せない状況が続きそうだ。
このようにさまざまな魅力を供えた本作だが、7月26日時点で73万ID作成と9万人を超える同時接続数を記録するなど、あまりの人気ぶりに番号の若いサーバー(PSO2ではShipと呼称)が満員状態となりログインがしにくい状態が続いた点や、さまざまな要素を詰め込んだ作品なだけに整理しきれない部分が散見される点など、気になる部分もいくつかある。運営サイドによる早期の改善とさらなるブラッシュアップに期待したい。
- 【著作権者】
- (株)セガ
- 【対応OS】
- Windows XP/Vista/7/Vista x64/7 X64
- 【ソフト種別】
- フリーソフト(一部有料アイテムあり)
- 【バージョン】
- 1.0004.0