週末ゲーム
第592回
氷で敵を足場にするアクションパズル「ペギルンの館」
シンプルなルール、沈思するパズル、繊細なアクションの見事な融合
(2015/3/27 06:00)
氷を作って足場にするアクション
「ペギルンの館」は、冷気を操る女性“コリー”を操り、かつて悪の魔法使い“ペギルン”が住んでいた館を捜索するサイドビューのアクションパズルゲーム。ステージごとに5つ配置された宝石を拾った後、ゴールとなる扉に到達すればクリアとなる。
各ステージには宝石の他に敵や仕掛けが用意されており、それらをうまく潜り抜けて宝石を集めねばならない。敵や敵の攻撃、火や剣山などの仕掛けに触れると即ミスとなり、ステージの最初からやり直しになる。リトライは無制限で、クリアできるまで何度でもやり直せる。
“コリー”は左右への移動(ハシゴがあれば上下にも移動可能)とジャンプ、冷気のショットを使用できる。ショットは上下左右に撃ち分けられ、連射も可能だ。
冷気のショットは、敵に当てることで凍らせることができる。凍った状態の敵には触れても構わないだけでなく、上に乗って足場としても使える。動く敵を適切な位置で凍らせて足場にすることで先に進める、といった仕掛けもあちこちにある。ただし敵は凍らせても倒せるわけではなく、凍らせてから一定時間が経つと氷が解け、再び動き出すので注意が必要だ。
またショットは一部のブロックを破壊したり、凍らせて足場を発生させたりできる。とくに重要なのが泡のような見た目のブロックで、何もしなければ自分も敵も通過できるが、ショットを当てると凍って足場になる。敵を凍らせた時とは違い、永続的に凍って足場にできるほか、凍った状態のブロックにショットを当てると解凍され、何もない状態に戻すことも可能。
宝石を集めてゴールを目指すというルールは、ゲーム画面を見れば一目瞭然で悩むことはない。ただし敵や仕掛けがどんな性質を持っているのかはマニュアルにも記載がない。新しいものを見かけたら、まずは撃つなり触るなりして特性を見極めてから、ステージの攻略へ挑むことになる。
じっくり考え、的確に操作し、何度もリトライ
ルールは単純だが、ゲームは簡単にはいかない。凍るブロックをただ凍らせれば進めるというわけではなく、時には溶かしていないと進めないこともある。また、動く敵をタイミングよく凍らせ、都合のいい位置の足場にする必要も出てくる。
敵や凍るブロックは、失敗したらもう一度凍らせるところからやり直せばいい。しかし撃つと壊れてしまうブロックや、一度凍らせると再び溶かすことができないブロックなど、後戻りができない要素も多い。特定の手順で進まないと手詰まりになる状況も多く、新しいステージにたどり着くたびに行き詰まり、ポーズをかけた画面を見ながら、『このブロックを壊したら戻れなくなるから、こちらの宝石を先に拾わなければ……』などと思考にふけることになる。
1つのステージは1画面内に収まるものと決まっているので、クリアまでに何十分もかかるものはない。また引き返せない状況に陥っても、ワンボタンでリトライできる機能もあるため、繰り返しのプレイもそうストレスにならない。じっくり考えて攻略の道筋を見つけていくのが、本作の面白いところだ。
では攻略の手順を見つければクリアできるのかというと、これまたそうもいかない。ステージを進むにつれ、アクション要素がだんだんとハードになっていく。横にジャンプしつつ、空中で下向きのショットを撃って足元に足場を作る、という複合的な操作は序盤から必須。同じ要領で、動く敵に対して飛びつくようにジャンプし、接触スレスレでショットを当てて乗る、という操作も基本と言っていい。
しかし敵の中には、そもそも凍らないものや、足場になる凍ったブロックを溶かしてしまう炎を吐くものもいる。凍らせられない敵は避けねばならないし、飛んでくる炎は避けるなり氷で相殺するなりしなければならない。
そんな敵がいる中で、別の凍る敵を足場にしつつ移動したり、1つのミスも許されない手順で仕掛けを突破したりしなければならない。空中でショットを連打していると落下速度が低下するのを利用して、多数の敵をやり過ごすという技もある。理屈はわかっていても、複雑な操作を同時に確実に、しかも1ステージ中に何度もこなさねばクリアできないというのは相当に神経を削る。
序盤はパズル的な難しさを感じるゲームだが、途中からはアクションの難易度が非常に高いと感じてくる。本作はキーボードでの操作にも対応しているが、ゲームパッドでの操作を強く推奨しておく。
ステージメイキングのセンスが光る
本作のすごさや面白さは、シンプルなルールよりも作者のステージメイキングのセンスにあると思う。序盤のステージはスラスラとクリアできるチュートリアル的なものだが、少し進むと一手間違えたら即クリア不能になるステージが続く。さらに中盤からは、手順のみならずすばやく正確なアクションを求められるシーンも増える。筆者はアクションが得意な方だと思っているのだが、中盤(と思われる)ステージ20以降は、攻略手順がわかってもアクションが難しくて突破できないものもある。
さほど難しいアクションを求められないステージでも、複数の仕掛けを組み合わせることで、非常に複雑なパズルを形成しているものもある。ショットを当てると同色のブロックが消えるスイッチという仕掛けもあり、同じ場所を何度もぐるぐる周回させられるようなステージもある。
たった1つの画面に収まるステージ、しかも解像度も高くないゲームに、よくこんなに複雑な手順を仕込めるなと驚かされる。ゲームシステムより、作者の見事なステージメイキングのセンスに脱帽させられる。
本作にはステージセレクト機能があるため、先々のステージもプレイは可能だが、筆者もまだ中盤以降のステージは歯抜け状態でしかクリアできていない。まずは頭を使って解くところまでを幅広い方に楽しんでいただいて、アクションに自信のある方はやり込みのつもりで全ステージ攻略に挑んでいただきたい。
なおゲームをある程度まで進めると、ステージエディット機能が開放される。自ら作ったステージを公開できるほか、作者のWebサイトでも投稿を受け付けている。ゲームのクリアだけでなく、作者のセンスを超えるステージの作成にも挑戦してみてはいかがだろうか。
ソフトウェア情報
- 「ペギルンの館」
- 【著作権者】
- モジャ蔵 氏
- 【対応OS】
- Windows XP/7(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.00